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『月刊 地主と家主』へ。なぜ雑誌名を変えたのですか? 全賃取締役・永井ゆかり編集長インタビュー

不動産投資全般/専門家インタビュー ニュース

2024/03/28 配信

賃貸不動産オーナー向けの経営専門誌『月刊 家主と地主』が2024年1月号から『月刊 地主と家主』へ雑誌名を変えた。2003年6月の創刊から20年超。名称を逆さに再出発する背景や今後の展望について名物編集長の永井ゆかり氏に話を聞いた。

電子書籍や電子版サイトといったデジタルコンテンツへの取り組みや、健美家読者に向けた今後の賃貸経営に必要な視点についても伺った。

取材歴20年超の永井ゆかり編集長。オンライン取材も取り入れているが「対面に勝るものはないですね」と話す。連載コラム「刮目相対(かつもくそうたい)」も人気だ

「土地活用」をテーマに読者層を拡大、コンテンツも多様化

賃貸不動産オーナー向け経営情報誌として20年発行した旧『月刊 家主と地主』は2024年1月号より『月刊 地主と家主』へリニューアル

――2024年1月号から『月刊 地主と家主』へ媒体名を変更されました。「ヤヌジヌ」が「ジヌヤヌ」となり、印刷ミスではないよね?などと思われた方もいらっしゃるようです。

永井編集長(以下、敬称略)「驚かれた方もいらっしゃいますよね。『全国賃貸住宅新聞』から派生してできた雑誌が旧『家主と地主』で、2003年6月から季刊誌としてスタートし2015年に月刊化、2023年6月号で創刊20年を迎えました。

これまでは賃貸住宅の話をメインに記事を構成してきましたが、人口や世帯数が減少する中、次のステージとして住宅以外の不動産の有効活用についても幅広く情報発信していきたいと考えました。

雑誌名を変える際に、家主でも地主でもない全く違う名前も考えましたが、それはまた1からブランディングが必要となります。20年認知いただいた家主、地主という言葉は残したいと思いました。それなら『家主と地主』を逆転させよう。『地主と家主』にしたならアパート・マンションのオーナー色が薄まるのではと考えました」

――まさに逆転の発想ですね。ただ、アパートやマンションの大家の多い健美家の読者としては地主へのシフトはやや寂しい気もします。

永井「もちろん、土地活用の王道は賃貸住宅なので、賃貸住宅経営に関する記事は継続して掲載します。それに加えて、これからの不動産の有効活用として、民泊や駐車場、トランクルーム、介護施設など様々な切り口から家主の皆さんの取り組みも取材していきます。

実際の取材活動については、新型コロナの感染拡大期はリモート取材が中心で、オンラインで“初めまして”と取材をした方もいました。ただ、オンラインだとも関係性が深めるのは難しいですねね。やはり対面に勝るものはないなと感じています。

東京・銀座にオフィスがありますので、関東近郊での対面取材はもちろんですが、地方での座談会を通じた新たなオーナーさんの発掘にも力を入れていきます」

『月刊 地主と家主』4月号の表紙。節税などについてはリニューアル後も特集。全体的に相続や事業承継にポイントを置いた解説や事例記事が増えた

――ところで地主と家主はどう違うのでしょうか。雑誌を拝読いたしますと不動産の規模というよりも二代目、三代目と不動産を承継しているオーナーは地主で、健美家の読者に多いゼロから不動産を購入した投資家は家主という位置づけなのかなと想像しております。

永井「地主と家主の定義はさまざまで難しいですが、所有する不動産の種類や規模に限らず、その地域に根差して代々不動産を承継してきたオーナーを地主、健美家さんの読者のように自ら賃貸物件を買ってオーナーになられた方は家主という位置づけと考えております」

――2024年3月号では家主で健美家コラムニストの極東船長が札幌に新築したRCを「話題の新築プロジェクト」という2ページの企画で取り上げていらっしゃいました。

永井「新築は地主も家主も経験する可能性のあるテーマですので、今後も取材を続けていきます。また土地活用だけではなく、既存建物の再生や新たな活用などについても取り上げていきます。先ほどもお話しいたしましたが地主だけでなく家主も取材して参ります」

――ズバリ、地主が抱える課題は何でしょうか。どのような情報を求めているのでしょうか。

永井「これまで20年超制作をしてきて感じることは、多くの地主にとって関心が高いのは賃貸経営よりも相続だということです。

旧『家主と地主』の頃から相続、特に相続税に関する特集を企画すると実売が伸びました。相続と先祖から受け継いだ不動産と家業をどのように守り、承継していくかは地主の大きな課題ですよね。なかでも二代目、三代目といった次世代に向けた相続の基本などが学べる企画は伸びしろがあると考えています」

――実際に事業承継や相続に絡めた連載が増えているように思います。

永井「そうですね。連載を増やしていますね。2023年から『次世代が困らない不動産承継対策』『円滑に承継をすすめるための相続対策』といった連載を始めましたし、2024年3月号からは医師で法律事務所代表による連載『認知症は怖くない!? 資産を守るためのキホン』も始まりました」

――昨年(旧『月刊 家主と地主』2023年7月号)では「底地と借地」というマニアックな内容を特集されていました。発表されている年間スケジュールを見ますと、2024年12月号でも底地の再特集を予定しています。こちらも反響が大きかったのでしょうか。

永井「反響はありましたね。これまでにない特集でしたので売れました。土地を貸している地主は多いのですが、以前の借地法や現状の借地借家法では借地人の権利が強く、一度土地を貸すとなかなか地主の元には戻ってきません。固定資産税はかかるのに地代は安い。地主と借地人の関係がこじれてしまっているケースも多く聞きます。次の世代への承継を見据えて自分の代で問題を解決したいと考える地主は多かったようです」

今後の賃貸経営の鍵は高齢者、外国人ら「敬遠してきた人」への対応

――素朴な疑問ですが、旧『家主と地主』の頃から不動産オーナーの顔写真付きの記事が多いように感じています。顔写真付きでの記事紹介を基本とされているのでしょうか。

永井「取材した体験談をどんな人が話したのかという人となりや記事の信ぴょう性などの観点から、顔写真を含めて掲載できたらと考えています。トラブル事例など、特集内容によっては顔写真やお名前を出しての記事掲載が難しいこともありますので絶対ではないのですが。できるかぎり取材対象者の人となりが伝わるよう顔写真付きでお伝えできたらと思っています」

――同じ顔ぶれにならないよう取材先の発掘が大変ですよね。新規の取材先をどのようにして見つけていらっしゃるのですか。

永井「20年かけて築いた全国の家主の会にネットワークがあるので勉強会に参加して代表者に紹介してもらうほか、建築家やリフォーム会社、デザイナーなどの関連する企業の方からの紹介。税理士などの仕業の人と会合でお会いして“この人知らなかったら紹介するよ”といった紹介が多いですね。コロナも落ち着きましたので日々、人の集まる色んな場所に顔を出してアンテナを広げています」

――健美家の読者で「ぜひ取材に来てほしい」という人はどうしたら取材を受けられるのでしょうか。

永井「編集部に一度ご連絡ください。ただ申し訳ないのですが〇〇大家というニックネームでの誌面掲載はしていませんので氏名の掲載、できましたらお顔写真の提供もお願いしたいです」

――健美家もそうですがオンラインメディアが増えています。電子化への取り組みはいかがですか。

永井「雑誌以外にも2021年からはkindle、2023年4月からは電子書籍での提供も始めました。

Kindle版は1冊単位(950円)での購入が可能です。電子書籍は定期購読(年間9,500円)での契約となります(※1)。これまで雑誌を定期購読してくれていた人が更新のタイミングで電子書籍に切り替えるケースが増えてきています。電子書籍については、定期購読を契約いただくと2021年以降からの過去3年分のバックナンバーも読めますのでお得感があると思います。

この2024年3月末には、検索機能を強化した電子版サイトも開設予定です。こちらも定期購読の契約者に向けたサービスとなります。読者のライフスタイルに合わせ、紙、タブレットやスマートフォン、PCという3つの媒体から選んでいただけるようになります」

(※1)定期購読の場合、1冊単位での購入よりも年間1,900円安い。雑誌で購入する場合は税込み・送料込みで年間9,500円。1年ごとの購読更新となる

――賃貸経営に絞ってお伺いします。地主や家主にとって今後の経営に重要な視点は何だと思われますか。

永井「都市圏なのか地方なのか、不動産を所有するエリアによっても状況は変わりますが、やはり人口減少を強く認識することだと思います。生涯未婚の人も増えていますので、中高年のおひとり様の賃貸市場は拡大していきますし、高齢者、外国人など今まで避けてきた人たちをどう受け入れるかという視点も必要になるでしょう。

またこの4月から始まる建築物の省エネ性能表示制度は賃貸住宅市場を大きく変えると思います。省エネルギー性能基準を満たす建物について『省エネ性能ラベル』を入居募集時に提示するというもので、2025年4月からはすべての新築建築物に対して省エネ基準への適合が完全義務化されます。これまで入居者に訴求できていなかった省エネという付加価値が今後は強みになってくると思います」

――変化の大きい今の時代に何が求められるのでしょうか。

永井「健美家さんの読者のように、不動産を自分で買うという人はそもそも情報取集力が高く、勉強熱心であることは間違いないと思います。不勉強なまま不動産に手を出し失敗しますとダメージも大きいですからね。情報収集力ということですとよく言われるように、全体を俯瞰して見る鳥の目、細部を集中的に見る虫の目、時間の大きな流れを捉える魚の目という異なる視点は重要だと思いますね」

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2023年賃貸住宅フェア(東京ビッグサイト開催)の様子。不動産業者、オーナーら約1万6000人が来場した(写真:永井ゆかり編集長)

――『月刊 地主と家主』を発行する全国賃貸住宅新聞社というと賃貸住宅フェアが有名ですね。昨年東京ビッグサイトで開催したフェアには約1万6000人が訪れ、約200社が出展されたそうですね。

永井「今年も8月6日(火)、7日(水)に東京ビッグサイトで開催します。さらに12月5日(木)、6日(金)には、4年ぶりにインテックス大阪で開催予定です。前年に続いて土地活用・テナント展も開催するほか、グループ会社のリフォーム産業新聞社、高齢者住宅新聞と「リフォーム産業フェア」、「住まい×介護×医療展」を同時開催します。住まい、土地活用にまつわる商材や、話題の人物による経営術・専門家による法改正への対応などについてのセミナーなど一気通貫で情報を得られる場ですので、健美家読者の皆さまもぜひお越しください」

「税務・法律・相続」「賃貸経営 」「市場トレンド」「経営者向け」「不動産会社向け」など約80セミナーを開催。立ち見の出る講座も(写真:永井ゆかり編集長)

◆永井ゆかり編集長プロフィール

東京都生まれ。日本女子大学卒業後、「亀岡大郎取材班グループ」に入社。リフォーム業界向け新聞、ベンチャー向け雑誌などの記者を経て、2003年1月『週刊全国賃貸住宅新聞』の編集デスク就任。2004年取締役就任。現在『地主と家主』編集長。著書に『生涯現役で稼ぐ サラリーマン家主入門』(プレジデント社)がある

執筆:スドウミキ(すどうみき)

スドウミキ

■ 主な経歴

出版業界で20年勤務。不動産分野を専門とする雑誌での取材・編集をきっかけにサラリーマン大家の夫と出会い結婚。2022年宅地建物取引士の資格を取得。夫の勧めで法人を設立し、築古アパート1棟を購入する。1歳の子どもを持つ一児の母。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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