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不良入居者対策で定期借家契約に活路!? 不動産大手の物件でも導入

不動産投資全般/市況 ニュース

2024/04/30 配信

調整済み三井不レジ「ソコハウス」
女性特化型シェアハウス「SOCO HAUS KORAKUEN」は定期借家契約で今年3月15日に開業した。(内覧用にモデルルーム的に披露した部屋の写真、3月7日撮影)

賃貸マンションで普通借家契約ではなく、定期借家契約を導入する事例が増えている。定期建物賃貸借契約は、入居期間に定めがあるもので、契約満了により賃貸借契約が終了する。

つまり契約期間が終わると入居者は退去しなければならない。一定の期間だけ部屋を貸し出したい、将来の建替え等を想定して入居者が居座ることを防ぎたい、というニーズを取り込んでいる。普通借家契約では、正当な事由がない限り賃貸借契約の更新を拒むことができないが、そうしたリスクを軽減したい大家等が導入するケースが少なくない。

大手の不動産会社が開発した賃貸マンションでも導入が進む。住友不動産が「中野二丁目地区第一種市街地再開発事業」の約2.4haの区域内に建てた高級賃貸マンション「中野ステーションレジデンス」(総戸数396戸)は全戸が定期借家契約となっている。

JR中央線・総武線と東京メトロ東西線の中野駅から徒歩1分の立地だ。間取りは1K~4LDK(26~211㎡)で、その月額家賃は最も狭小で約16万円、最も広い部屋は約210万円である。1坪当たりの平均家賃は坪単価で約3万円とみられるが、単身者やディンクス、ファミリー層と幅広いニーズに対応し、高年収層や法人需要を取り込んでいるという。

三井不動産レジデンシャルが今年3月15日に開業した女性に特化したシェアリング型賃貸レジデンス「SOCO HAUS KORAKUEN」(総76戸)は、三井不動産の旧社宅を賃貸運用していた物件で、それをリノベーションして1ベッドルーム(15~18㎡)の間取りとした。契約形態は定期借家契約(2年間)を採用している。契約満了後も再契約すれば済み続けられる。こちらは高所得者ではなく、都心部で働く単身女性に特化して展開している。

東京23区は大型ファミリーで導入進む

一般的に定期借家契約は、普通借家に比べて普及していない。その背景として、不動産会社の姿勢が後ろ向きであることが理由の一つに挙げられてきた。定期借家でも特約等を付けて契約満了後に再び契約する形で入居を続けることができるが、普通借家契約の更新手続きより手間がかかる。

重要事項説明を契約の際にもう一度する必要があることや、保証人を付けた場合は保証人承諾書をもう一度とらなければならない。そうした不動産会社にとっての負担が大きいとして定期借家契約をしたがらない。

アットホームの調査によれば、首都圏の賃貸マンションに占める定期借家物件の割合は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の各エリアとも6.0%以下(22年4月~23年3月)にとどまっている。

ただ、東京都では増加傾向にあり、東京23区においては70㎡超の大型ファミリータイプは約28%と他のシングルやカップルなどに比べて突出してシェアを拡大している。大型ファミリータイプは、分譲マンションの所有者が転勤等で一時的に貸し出すことで定期借家を導入しているといった事情が反映されているとみられ、実質的に定期借家が一般的に広がるかどうかは未知数だ。

ただ最近は、家賃を滞納する、部屋で大騒ぎする、室内をゴミ屋敷化する、といったいわゆる不良入居者への対応策として定期借家を実践している賃貸オーナーが増えているとの声が聞かれる。特に新築の場合は導入しやすい。
すでに稼働中の物件は、更新時に定期借家を提案しても断られることが想定され、この場合は自然退去を待って新たな入居募集時に定期借家にするケースが珍しくない。

老朽化による建て替え、耐震工事などは「正当事由」

特に老朽化物件を持っているオーナーは、定期借家を取り入れておけば立ち退き料を払わなくて済むというメリットがある。都内の不動産投資家は、「入居者全員が定期借家にならなくても、ある程度定期借家にしていくことで立ち退き料の負担も少なくなる」とアドバイスする。建て替え計画を立てて、その期限内をめどに徐々に定期借家に切り替えいる賃貸オーナーもいる。

もっとも、老朽化による建て替えに伴う普通借家契約者への退去要請は、「正当事由にあたる」とされる。前述の三井不動産レジデンシャルの「SOCO HAUS KORAKUEN」にする前は、普通借家契約での賃貸マンションとして運用されていたが、築古に伴い耐震性を含めてのリノベーションを理由に退去に応じてもらえたようだ。建て替えであったり、耐震補強工事などは正当事由になることを考えれば、そこを契機に定期借家の物件として転換しやすい。

再契約型は、普通借家と利回り変わらず

前出の不動産投資家は、

「利回り的には、普通借家であっても定期借家であっても変わらない。定借だと普通借家より相場を安くしないといけないという不動産業者もいるが、今はそうではない。

定期借家契約といっても『終了型』と『再契約型』の2種類がある。終了型は家賃を低めに設定しないと入居者が決まらないかもしれないが、普通借家に取って代わるような再契約型は、家賃を下げる必要はない。私の場合は、周辺の家賃相場より高めでも住んでもらえている」

と説明する。また、不良入居者は、それなりに知識があるため、定期借家物件の内見には来ないので、不良入居者の抑止にもなるという。

ただ、不動産ポータルサイトには、定期借家の物件が分かるようにマークを付けているが、マークを付けていると内見を避けられることがあるため、マークを外している場合もある。

「再契約できる場合もある」という説明を見て、なにも知らない人は2年間しか住めないなと思ってしまう。つまり、優良な入居者が内見に来ないでビジネス好機を逃しているケースもありうる。

健美家編集部(協力:若松信利(わかまつのぶとし))

■ 主な経歴

学生時代から不動産に興味を持ち個人的に不動産関連の記事を多数執筆。大学卒業後、不動産関係情報誌に20年以上勤務。現在は都内のIT会社に勤め、副業でいくつか投資関連の記事を担当・執筆する40代サラリーマン。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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