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日銀の17年ぶり利上げで融資金利アップは必至!すでに地銀が打診開始の情報も

不動産融資/金利 ニュース

2024/04/15 配信

日本銀行は17年ぶりの利上げを決めた
日本銀行は17年ぶりの利上げを決めた

日銀、マイナス0.1%だった金利を0~0.1%に引き上げ

日本銀行が3月19日に開いた金融政策決定会合で、マイナス金利の解除を決めた。利上げは17年ぶりで、黒田東彦前総裁が進めてきた「異次元の金融緩和」の手じまいが始まったといえる。

不動産投資家が気になるのは、今後の融資金利がどうなるかだ。筆者のもとには、地方銀行が取引先の中小企業に金利の引き上げの打診を始めたとの情報が入り始めた。

これらの中小企業は不動産投資家ではないものの、不動産向け融資にも同様の動きが広がっていくだろう。みずからの賃貸住宅経営で賢く立ち回れるよう、今後の動向にしっかりアンテナを張り巡らせて行きたい。

筆者の耳に届いてきたのは、建設業を中心とした複数の中小企業の動向だ。

金融政策の修正は、金融機関のローン金利上昇につながる
金融政策の修正は、金融機関のローン金利上昇につながる

「マイナス金利が解除されたら、融資の金利を引き上げるので覚悟していてください」

こんなメインバンクの地銀からの申し入れが、今年に入ってから始まったという。「近く日銀がマイナス金利を解除するだろう」。こんなことを見越してのことだ。打診を受けた中小企業の中には、ほかの県の、金利を上げない地銀へと融資の借り換えに動いているところもある。

そして実際、日銀は3月19日、マイナス金利を解除し、金利を引き上げることを決めた。

具体的には、マイナス0.1%としていた短期金利を0.1%以上引き上げ、0~0.1%とする事実上のゼロ金利政策へと移行した。

このほか、長期金利を0%程度に誘導し、1%を上限のめどとしてきた「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)」も撤廃。市場を安定させるために続けてきた上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)の新規購入もやめた。

なお長期金利については、金利が急騰したときに利回りを指定して国債を買い入れる「指し値オペ」をおこなうことなどで、金利を抑制するとしている。

短期金利の引き上げは変動金利に影響 時間差で固定金利も

マイナス金利の解除、つまり短期金利の利上げがすぐに影響してくるのは、融資金利のうち変動型のものだ。住宅ローンでも変動型は同じみだし、企業が運転資金として受ける融資も変動型が多い。

そして当然のことながら、不動産投資家が借りている融資にも、変動型のものは多い。日銀が短期金利を引き上げれば、変動型の金利は、事実上連動して上がることになる。

不動産投資家をはじめ、融資を受けている人にとっては、借りている途中に金利が上がるので、当然、はじめ想定していたyよりも月々の返済額や返済総額が膨らむことになり、負担が増すことになる。

また、新たに融資を受けるにしても金利が上がっているので、借りづらくなる人が出てくるだろう。

さらに、短期金利の上昇は、時間差で長期金利の上昇にもつながっていくとされる。さらにいえば、今回、イールドカーブコントロールが撤廃された。

このことも直接、長期金利の上昇圧力となる。長期金利の上昇は、長期の固定型の融資金利の上昇につながるので、注意が必要だ。

もちろん、日銀による利上げは預金金利の引き上げにもつながる。これは、一般の消費者にとってはメリットといえる。

実際、日銀がマイナス金利の解除を決めた直後、複数のメガバンクや地銀が預金金利の引き上げを発表した。三菱UFJ銀行や三井住友銀行は、預金金利をそれまでの0.001%から0.02%へと20倍に引き上げるとしている。

だが、預金金利を引き上げるだけでは、銀行は、融資金利と預金金利の差分である「利ザヤ」がつぶれ、収益が圧迫される。融資金利を引き上げるのは当然といえるだろう。

そして、冒頭に紹介したような「利上げ」打診の動きが、地銀の中で実際につながってきた。遅かれ早かれ、不動産投資家に対しても、こうした動きは強くなってくるだろう。

金利1%上昇で月2万円、2%上昇で月5万円の負担増も

では、ここで改めて、金利上昇のインパクトをシミュレーションしてみたい。

たとえば、5000万円を20年間の期間で、ずっと年2%の金利で借りていたとする。そうすると、月々の返済額は25万2941円、返済総額は 6070万5840円となる。

不動産投資の返済負担が増す可能性があるので要注意だ
不動産投資の返済負担が増す可能性があるので要注意だ

この金利が年3%へと1%上昇した場合には、月々は27万7298円に、返済総額は6655万1520円へと膨らむ。さらに金利が年4%へと2%上がった場合には30万2990円、返済総額は7271万7600円へと膨張する。

これをみると、かなり負担が増えることが分かる。金利の上がり方が激しかったり、もともと借りている金額が大きかったりすると、当然、この負担は増すことになる。

もちろん、紹介した試算は単純計算なので、あくまで金利上昇のインパクトを実感するための参考としていただきたい。急激な利上げは日本経済を大きな負の打撃を与えることは明らかなので、日銀や民間の金融機関が、ハイペースで急激に金利を上昇させていくことはないだろう。

もっとも、今後の日銀の利上げペースがどのようなものになるかの感覚は持っておいたほうがいい。今のところ、今年中にもう一回利上げするのではないかというのが、市場での有力な見方となっている。不動産投資向けの融資金利にも上昇圧力が増すのは間違いない。

このような状況を踏まえ、不動産投資戦略をどのように組んでいくのか、しっかり考えていきたい。

取材・文:小田切隆(おだぎりたかし)

■ 主な経歴

経済ジャーナリスト。
長年、政府機関や中央省庁、民間企業など、幅広い分野で取材に携わる。

■ 主な執筆・連載

  • 「経済界」(株式会社経済界)
    「月刊経理ウーマン」(研修出版)
    「近代セールス」(近代セールス社)
    ニュースサイト「マネー現代」(講談社)など

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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