これから金利が上昇する、というのが既定路線となっている。それにより、住宅ローンの金利も上がっていくとみられており、日本銀行の金融政策決定会合が注目を浴びている。
3月18日と19日にその会合が控えており、そこでマイナス金利政策を解除するのではとの見方もある。
こうした政策金利の変更は、一般の住宅ローンと同様に個人の不動産投資家(サラリーマン投資家)が使うアパートローンにも影響を与えていく。
金融機関には、メガバンクや地銀、信金、信託銀行、ノンバンクなどさまざまだが、各大手行のホームページを渡り歩いてみると、アパートローンの金利は現在のところ、東京では10年間の固定金利が3%台で推移しており、変動金利では1~2%台となっているようだ。
信販系のノンバンクは、比較的に変動金利も高く3%台後半や4%も見られる。融資の限度額は1億~3億円といったところで、借入期間は1~35年以内となっている。
アパートローンの融資審査では、借り入れる本人に安定した収入があるか、返済原資となる財務力・資産力があるかなどの信用力に加えて、購入予定の収益物件の事業性が重視される。つまり、安定した家賃を得て十分な収益を見込めるかである。
住宅ローンと同じ理屈で金利上がる
こうした中で、金利の上昇局面下で心配されるのが変動金利で借り入れをしている投資家たちだ。日銀の低金利政策の恩恵を受けて参入してきたケースが多く、今後、変動金利が上がっていくことでローン返済に窮する場面に出くわす可能性もある。
基本的にアパートローンも一般の住宅ローンも日銀の金融政策で決まる。多くの専門家がマイナス金利の解除は3月か4月に、遅くとも7月に行われるとの見方をしている。
いずれにしろ年内に解除されそうだ。金利政策に詳しい株式会社MFS(東京都千代田区)の塩澤崇取締役COOは、「政策金利が上昇していけば、アパートローンの金利も上昇していく」として、考えた方としては住宅ローンと同じだと指摘する。
ただ、アパートローンは、住宅ローンと違い金利がちょくちょく上げ下げされている感じを受けるとし、ローン金利を上げすぎると借り換えられるリスクもあるので、そこら辺りとの兼ね合いで判断して動くはずだと指摘する。各金融機関とも日銀の利上げ動向を見てアパートローンの金利が動くことになる。
借り換えをする場合は、借り換えの時期によって違約金が生じる可能性があるため、契約書を確認してから動くことを忘れないようにすることが重要だ。
新金利適用は今年後半以降か
変動金利の適用金利は、「基準金利-引き下げ幅」で決まる。政策金利は2009年1月から1.475%がずっと続いている。変動金利に影響する短期プライムレートは2016年1月にこれまで0.0%だったものをマイナス0.1%と初めてマイナス金利政策を導入し、それが現行まで続いている。
前出の塩澤取締役COOは、一般の住宅ローンを念頭に置いてマイナス金利解除で基準金利を引き上げた場合の新金利の適用時期について、仮に3月に解除となれば基準金利の引き上げを4月1日に判定し7月~12月にかけて新たな金利を適用し、4月に解除であれば10月1日に判定を行い2025年1月~6月にかけて新金利を適用するとしている。
国土交通省の「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」を見ると、賃貸住宅の建設・購入に係る融資(アパートローン)の実績は、2021年度は3万9318件の融資が行われ、その金額は2兆67009万万円となっている。
健美家編集部(協力:
(わかまつのぶとし))