■ 不動産投資トラブルに巻き込まれたお医者さん
昨年末、年の瀬も年の瀬に、塾を経営している友人から連絡が来た。
友人『 うちの元講師でお医者さんになっている子が不動産投資のトラブルに巻き込まれて、平八に相談したいと言っているんだが、連絡先を教えていいか?? 』
ワシ『 え?なぜワシ??』
友人『 平八にお金のミニセミナーをやってもらった時にいた子なんだよ。同じBBQ会に参加したことがあるはずだよ。平八が不動産やってるの覚えてて、話を聞いてもらえないかって… 』
そういえば5〜6年くらい前にそんなことをした記憶がある。大分困っているようだったのと、親友からの頼みだったので二つ返事でOKした。
そのお医者さんの話を聞いてみると、利回り4%ほどの中古( 築10年程 )ワンルームマンションをサブリース契約付で3戸購入( 総額8,200万円程 )していた。
先月、入金がないのでおかしいと思っていたところ、連絡が取れなくなってしまったそうだ。
調べてみると、運営会社が購入者に家賃をふかして( 多めにもらってるということにして )物件を購入させたことがバレて、金融取引停止命令をくらっていた。そのせいで、オーナーへの入金が止まったのだ。
一方的な文面で、「 来月には少しずつ支払いを再開する 」的な連絡は来たらしいが、お医者さんの方から連絡しても全く反応がない。そこで、困り果ててワシに相談に来たという状況じゃった。
■ ワンルーム投資に手を出しがちな公務員・お医者さん
実は、この手の話は公務員やお医者さんに多い。ワシの親戚の警察官も上司に勧められて、3戸のワンルームマンションを購入したと聞いた。
公務員は基本的に副業が禁止されているため、やるとしても5棟10戸の事業規模にならない( 副業規定に抵触しない )ワンルーム投資をしがちなイメージがある。
同僚や上司もやっていて、毎月の生活費にちょっと余裕があると、『 節税 』『 資産形成 』『 老後( 定年後 )の収入or完済後の売却で老人ホームの入居費用という皮算用 』という売り文句に抗うのは難しいのじゃろう。
今回のお医者さんもそうじゃった。日本人にとって、『 周りもやっている 』という安心感は強い。やっている方も周りを引き込むことで、より安心感( そしてお小遣い )を得ようとするのは想像に難くない。
収支を聞くと、「 収入=銀行返済 」で、管理費・修繕費・固定資産税・火災保険等を入れると実質マイナスになるという。月々わずかな持ち出しで『 節税 』効果というのが謳い文句だったらしい。
35年後には無担保のマンション( 築50年くらいで管理費と修繕費も上がっているだろうが )が手に入るから、『 資産形成 』にもなると言われたら、欲しくなる人もいるじゃろう。
じゃがワシは、投資とは毎月のCFを得たうえで、それを再投資してお金を働かせることだと信じている。他人の買い物に口を出すつもりはないが、この手法を『 投資 』とは呼びたくはない。
■ 問題点を洗い出そう
さて、お医者さんの話に戻ろう。問題は次の3つ。
1)入金は止まっているが、ローンの支払いは続いているということ
2)破綻寸前の運営会社に、入居者からの家賃が振りこまれていること
3)格安で確定申告を代理でしてくれていたのだが、今年はどうなるかわからないこと( 公務員のお医者さんなのでうまく確定申告をやってもらえるのは助かっていたらしい )
借入は3戸で8,200万円。O銀行で金利1.9%の35年ローンで購入しており、総返済額は27万程。入金はほぼ同額だったので、サブリースの金額が振り込まれないと毎月この分が持ち出しになってしまう。
お医者さんなのですぐに生活が破綻することはないとのことだったが、決して小さくない金額。書類を見せてもらったが、家賃の記載はあるものの、入居者の情報は全くなかった( 写真参照 )。
家賃をふかしていることがバレて金融取引停止命令を食らったということだから、このお医者さんのワンルームも、聞いている家賃で契約しているのかどうか、疑わしい。

実際の資料
通常ならばサブリースの契約を切り、管理会社を変更する流れじゃが、元の管理会社に連絡が付かないのではどうにもならない。しかも年末で、ほとんどの不動産会社は長期休みに突入していた。
購入物件の住所は分かっているので、そこに突撃して入居者と直接コンタクトを取って状況を説明すれば、家賃の振り込みの一時的なSTOPや管理会社の変更は可能になるかもしれない。
しかし、契約書には管理会社の変更についての記載はあっても、勝手に変えていいとは書いていない。とはいえ、今回は緊急事態。この場合、法的にそれが可能なのかを弁護士に相談する必要があった。
とにかく、入居者に家賃の振り込みを止めてもらわないと、入居者は家賃を払っているのにオーナーの元には届かないという悪循環が止まらない。
入居者の情報がない( もちろん賃貸契約の書類もオーナーは持っていない )ことと、管理会社と連絡が付かないということで、これほど身動きがとりづらいとは…。
確定申告の時期が近付く中、今まで有料だが格安でやってもらっていた収支報告書と確定申告がどうなるか分からないというのも、お医者さんの心労を増やす原因になっていた。
激務のお医者さん。年末年始を家族とゆっくり過ごしたいところに、降って湧いたような災難話。想定されるリスクについて話をして、年明けからどう動くのがよいのかをアドバイスした。
そして、どうせ『 今 』動けることは少ないので、せめて年末年始はあまり考えないようにした方が良いですよと、伝えたところで急転直下、12月31日に事態は動き始めたのじゃった…。
( 文字数が足りないので続きは次回! なんじゃ!)