東葉高速鉄道の新駅
開業目標は2026年
千葉県の船橋市は海老川上流地区の土地区画整理事業を計画しており、その中で船橋駅の北東へ東葉高速鉄道の新駅を誘致するべく準備を進めている。
海老川は船橋駅の東側を南北に流れており、南船橋を経由して東京湾までつながっている川だ。
海老川と東葉高速鉄道の線路が交差する周辺について都市計画の策定が進んでおり、川の東側が土地区画整理事業の予定地となっている。


※引用:船橋市
船橋市では、土地区画整理事業の対象エリアで東葉高速鉄道の新駅を誘致する方針だ。
東葉高速鉄道は東京メトロ東西線に乗り入れている路線であり、西船橋から東葉勝田台までを結んでいる。
東葉勝田台は八千代市だが佐倉市との市境にあたるエリアであり、千葉県の東部から日本橋や大手町などの東京都心までを結んでいるのが東葉高速鉄道と東西線だ。
東葉高速鉄道の新駅ができれば、東京都心で勤務する人の居住ニーズを喚起する可能性もあるだろう。なお、新駅の開業見込みは2026年となっている。
土地区画整理事業の中心は
「ふなばしメディカルタウン構想」
2021年時点では、土地区画整理事業の方針として「ふなばしメディカルタウン構想」というまちづくり構想が持ち上がっている。
土地区画整理事業の対象エリアは船橋駅から近い一方で、調節池に隣接するなど緑が多いことから、新駅の誘致と同時に医療センターを移転させることなどが構想の概要だ。
現在の医療センターは土地区画整理事業の対象エリアから見て北に位置しており、船橋駅からは徒歩約20分またはバスで13分の位置にある。

※引用:船橋市
医療センターという施設の特性上、駅から遠く交通利便性が低いことはあまり歓迎すべき状態ではない。
市としては、医療センターを新駅の近くへ移転することによって利用しやすくすると同時に、同エリアを街の中核とすることを狙いとしている。
なお、ふなばしメディカルタウン構想の中では、新駅の誘致や医療センターの移転に加えて医療系人材の育成についても施策の導入が検討されている。
施策の具体的な内容として挙がっているのは、医療系・介護系の専門学校や医療系大学・研究機関などの誘致だ。
船橋駅の周辺では、東京医療保健大学という医療系の大学に加えて東京経営短期大学という大学がキャンパスを構えているが、それ以外に大学のキャンパスなどは見当たらない。
もし大学や専門学校などを誘致できれば、船橋市で学生の賃貸ニーズを喚起することも期待できるだろう。
2021年時点では、まだ土地区画整理組合の設立に向けた準備会が組織されている段階だが、業務代行予定者にゼネコンのフジタが選ばれるなど事業は確実に前進している。
隣の飯山満(はさま)駅前でも
土地区画整理事業が進行中
船橋市内で土地区画整理事業が持ち上がっているのは海老川上流地区だけではない。
東葉高速鉄道の飯山満(はさま)駅前でも約18.5haに及ぶエリアで土地区画整理事業が進んでいる。
こちらは2025年に工事が完了して清算期間へ移る予定だ。2021年3月時点では計画全体の約3分の1が進んでいる。
飯山満駅前では、駅北側の一部エリアが商業系ゾーンに指定されており、マミーマートという商業施設が建設された。
また、交通広場も整備されており、ローカル感が強いながらも利便性は向上していると言えるだろう。
船橋市の都市開発は、南船橋駅の周辺と併せて確実に進んでいる状況であり、10年間続いている人口増加に拍車をかけることが期待される。
近年の船橋駅周辺は、首都圏の中でも特に狙い目のエリアと言えるだろう。
取材・文:
(はたそうへい)