西武新宿線の連続立体交差事業に合わせた動き
東京の人気エリア、吉祥寺の真北に位置する武蔵関駅の周辺でまちづくりの動きが出てきている。
武蔵関駅はJR・京王の吉祥寺駅から真北へ約3km進んだ先に位置しており、西武新宿線の停車駅だ。各駅停車に加えて準急の電車が停車する。
準急を使った場合、武蔵関から高田馬場までの所要時間は約15分、西武新宿までの所要時間は約20分だ。
駅周辺の環境としては、生活利便施設が駅周辺にコンパクトにまとまっており、少し離れると住宅街が広がっている。
駅直結の商業施設はあるものの、そこまで規模は大きくないため、買物の目的によっては吉祥寺まで行かなくてはいけないことも。
買い物などを全部近場で済ませたい人には不向きだが、閑静な環境を好む人には良いエリアと言えるだろう。
なお、繁華街と言えるようなエリアが無いことから、比較的治安が良いのも特徴的だ。
街づくりの動きが出てきたきっかけは、踏切の除却に向けた西武新宿線の連続立体交差事業だ。
中井駅~新井薬師前駅間の地点から野方駅までの区間が地下化され、野方駅から西武柳沢駅までの間が高架化される。
連続立体交差事業の対象となっている通過区間は中野区・杉並区・練馬区など。
各自治体は西武新宿線の連続立体交差事業に合わせた各駅周辺の街づくりについて検討を進めており、武蔵関駅が位置する練馬区も同様の動きを見せている。
2024年初頭時点におけるまちづくり構想の内容は
武蔵関駅周辺のまちづくりについて、練馬区はこれまでに都市計画の策定や地元住民向けのオープンハウス(参考資料の展示や区職員による都市計画説明会など)などを実施している。
武蔵関駅周辺のまちづくりに関する目玉は、駅北口における駅前広場の整備だ。駅前広場の整備が検討されているのは駅北口を出てすぐの場所。
※引用:練馬区
武蔵関駅周辺の交通環境については、以下のポイントが解決すべき課題として挙げられている。
- 駅直近のバス停が分散している上に、駅から離れている。
- バス運行ルートの大半は歩道のない道路であり、バスに乗り降りする人の安全が十分に確保されていない。
- 駅の利用者が集い憩うスペースが整備されていない
※引用:練馬区
なお、武蔵関駅の南口には、小さいながらもバス乗場とタクシー乗場のまとまったスペースが確保されているが、北口には公共交通を利用するためのスペースが設けられていない。
このため、利便性と安全性の確保を目的として、北口にも交通広場を整備することが決まった次第だ。
※引用:練馬区
場所の割にローカル感の強い武蔵関駅周辺の印象が変わるきっかけになるのではないだろうか。
まちづくり構想の他の内容としては、青梅街道と新青梅街道とを南北につなぐ都市計画道路に関するものや、駅周辺の建物に関する高さ制限および建物のセットバック制限などに関するもの。
南北の幹線道路をつなぐ都市計画道路は、西武線が高架化されるからこそ作れるものだ。
いずれも駅周辺住民の利便性向上に貢献するものと言えるだろう。線路の高架化やまちづくり構想の実現に向けた進捗に要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)