
知名度はそこそこでも生活利便性は高い街
関東圏で鉄道事業や都市開発を手掛ける東武鉄道は、東京都足立区の竹ノ塚駅周辺で、高架下のスペースを活かしたアーケード商店街の開発を推進すると発表した。
竹ノ塚駅は足立区の中央北寄りに位置する駅で、東武スカイツリーラインの停車駅だ。西新井の隣駅であり、北千住からは5駅目、電車で10分前後となっている。
竹ノ塚駅から東京駅までは、上野で乗り換えれば30分〜40分程度。竹ノ塚は埼玉県との県境にあたるが、東京都心からの通勤圏内にあると言えるだろう。

なお、竹ノ塚駅に停車するのは各駅停車のみであり、急行電車などは停車しない。
東武鉄道のウェブサイトによると、竹ノ塚駅の乗降客数は1日平均で59,069人(2021年度)。JR東日本管内の駅と比較すると、横浜市の鶴見駅(61,833人)より少なく、埼玉県の北朝霞駅(58,234人)より多い。
竹ノ塚はそこまで知名度が高い街というわけではなく、足立区の中でも北千住・亀有・綾瀬などの陰に隠れがちだ。
しかし、東武線沿線駅の乗降客数を見ると、竹ノ塚駅の乗降客数は足立区の中で北千住駅の次に多い。

なお、足立区というと東京の下町というイメージが強く、竹ノ塚もその例に漏れない。
駅の西口側には下町を象徴するような細い路地が入り組んでおり、昔ながらの居酒屋などが軒を連ねている。
一方で東口側は駅前に交通広場が整備されているなど、開けた街という印象だ。
駅の目前には公営団地が並んでいるが、その1階部分には多数の飲食店やスーパーなどが軒を連ねており、少し歩けばドン・キホーテもある。

竹ノ塚駅周辺の生活利便性は高い一方で、交通利便性も低いわけではない。
北千住と比較すれば家賃水準も一回り下がるので、都心勤めの単身者やDINKS世帯には住みやすいのではないだろうか。
約25店舗の商店街を開発
東武鉄道が商店街開発に乗り出すきっかけとなったのは、2022年3月に完了した東武線の連続立体交差事業だ。

※引用:東武鉄道
竹ノ塚駅が高架化されたことで、踏切2か所を除却したほか高架下にスペースができた。高架化工事の着手は2012年だったので、約10年かけて高架化が完了したことになる。
竹ノ塚駅の高架化完了後に、東武鉄道は足立区およびUR都市機構とまちづくり協定を締結、駅周辺の開発について検討を重ねてきた。
新設される商店街の敷地面積は約5,300u・店舗面積が約2,300u(約697坪)の予定。

※引用:東武鉄道
現在予定されている店舗数は約25店舗で、その内訳はまだ発表されていないが、東武鉄道のプレスリリースには食料品・飲食・雑貨などの店舗を誘致する予定と記載されている。
工期は2023年6月〜2024年5月。商店街の開業は2024年度上期の予定だ。

昔ながらの下町というだけあって、駅周辺にも古くなった建物は多い。高架化によって駅舎が新しくなったうえ、駅の足元に新たな商業施設もできるとなれば、街の印象も変わってくるのではないだろうか。

※引用:東武鉄道
2023年6月時点では、高架下商店街以外の開発計画は特に発表が無いものの、東武鉄道・足立区・UR都市機構の協定は2025年3月末までとなっている。
他にも何かしらの開発計画が発表されることを期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)