私はこれまでかなり多くの建物で、外壁塗装を行ってきました。さすがにセルフでやる勇気はなかったのでプロにお願いしたのですが、私自身の無知から失敗してしまったことが2回あります。
今回はそういう事例をご紹介しつつ、外壁塗装の注意点についてお伝えしようと思います。
■ 最初の失敗は自宅・・・
私たち家族は義父の介護のため、2005年に東京から福岡に戻りました。家内の実家近くで任意売却物件を購入し、そこに移り住みました。パナホーム施工の軽量鉄骨戸建です。割安で買えたのですが、任意売却だけあって内外ともにヒドい状態です。
内装はセルフリフォームしたのですが、外壁は手つかずで、「 ボチボチ塗装しないといけないな・・・ 」と思っていた矢先、背広を着た営業マンが飛び込み営業にやってきました。そして口八丁に乗せられ、その日のうちに契約してしまったのです。
( ↑高い契約をしてしまった戸建。10年経過しても劣化しませんでしたが・・・ )
フッ素系という高級塗料を使ってもらったのですが、後から考えると割高でした。床面積100㎡に満たない2階建てで140万円もしました。実はその後移り住んだ戸建も塗装したのですが、床面積140㎡超の大型戸建で100万円でしたもん!
まあこの戸建は10年経過しても塗膜はしっかりしていたのでそこだけが救いでしたが、ボロ家にあそこまで高価な塗装をする必要はなかったと今でも悔やんでいます。
■ 「 下請け 」か「 飛び込み 」か「 紹介 」か
その後、経験を重ねてわかったのですが、塗装業者さんの受注経路は概ね、
①大手メーカーや総合リフォーム業者からの下請け工事
②飛び込み営業による自主獲得
③既存のお客さんからの紹介
②飛び込み営業による自主獲得
③既存のお客さんからの紹介
の3つに大別されるようです。私の失敗は②の飛び込み営業で、他業者さんと比較もせずに契約してしまったことにあります。相見積もりさえしておけば後悔することもなかったでしょう( 汗 )
特にスーツを着た営業マンの飛び込み営業は要注意だと思います。営業に専念している人員を雇っているということは、その人件費が工賃に乗っかっているわけですから割高になりやすいと思います。
■「 下請け 」の場合は何倍にも!
先日、ある大家さんから興味深い話を聞きました。義理のお父さんが自宅をハウスメーカーに頼んで塗装したそうなのですが、その工事費がなんと200万円!
高いと思いつつ、工事の親方がいい方だったので、「 うちの戸建も塗装して欲しいのですが、ハウスメーカーを通さずに直接発注できますか? 」と打診してみたそうです。
すると、「 もちろんいいですよ! ここだけの話だけど、メーカーを通さなかったら70万か80万でできるよ。ナイショだよw 」と言われたとのこと。
つまり、元請けが差額を取っているわけで、その結果、お義父さんは3倍近いコストを負担することになってしまいました。「 お義父さんにはとても言えません… 」とその方はおっしゃっていました( 笑 )。
こういうケースはハウスメーカーに限らず、「 総合リフォーム業者 」や「 工務店 」などでも大なり小なり見られる現象です。
もちろん、そういったところに依頼することで商談がスムーズに進んだり( 塗装職人さんは説明下手のことが多いですから )、施工管理をきちんとしてくれたりというメリットもあるでしょう。しかし、価格が3倍と思うと、ちょっと考えものですよね(^_^;
■きちんと3回塗りしなかった失敗
いまから4年ほど前、床面積500㎡ほどのアパートを塗装しました。当時の管理会社さんからのご紹介で知り合った業者さんです。
塗装前にはドブネズミ色の暗いアパート↓だったのですが・・・
塗装するとピカピカのいい感じ↓になりました。
このときは現場にちょこちょこ行って進捗を確認していたのですが、汚れ落としの高圧洗浄が終わったあと、いきなり中塗りを始めていてビックリしました。
外壁塗装は一般的に、
①下地塗り
②中塗り
③仕上げ塗り
②中塗り
③仕上げ塗り
の3回塗りを行うのですが、ここの場合は①の下地塗りをすっ飛ばしていたのです。もちろん、見積り段階では3回塗りのお約束でした。
■ 現場監督は「 下地塗りが不要な塗料です 」と・・・
あわてて現場監督に確認すると、塗料のカタログを見せられ、「 中塗りには二液性の塗料を使っています。通常の塗料に強力な接着剤を混ぜて塗装するタイプのもので、これを使うと3回塗りと同等の耐久性になります 」と説明されました。
メーカーの塗装要領をきちんと守れば、下地塗りが不要になるそうです。私は不満でしたが既に中塗りが8割がた終わっていましたので受け入れるしかありませんでした。
3回塗りを2回で済ませば、塗装工事に要する人員と期間が圧縮できます。アパートオーナーは現場にほとんど来ないものなのでダマでやればわからない・・・と思ったのでしょうが、私はマメに通っていたので気づいたというわけです。
余談ですが、懇意にしていただいている塗装会社の社長さんに塗装工事のコスト構造を質問したことがあります。すると、「 売上に占める塗料の原価は20%行きません。ほとんどが人件費です 」 とおっしゃっていました。
そういう意味では人件費削減のために手抜きや工程省略が生まれやすい業界だと言えますね。
■ 塗装が3年で剥がれだした・・・
監督の説明では「 下地塗りは必要ない 」という話でしたが、1年半ほど前から、北側の壁だけは塗膜がはがれだしました。塗装工事から3年しか経過していない時点です。
鉄部のサビ落とし( ケレン )もキチンとやってくれるよう指示していましたが、もうサビが浮いて来ています( 涙 )
2液性の塗料自体は性能が良いものだったかもしれませんが、下地処理などが雑だったのかもしれません。
もちろん約束を違えたことからこの業者さんは二度と使っておらず、いまは知人の紹介で信頼できる親方に直接発注しています。その方にお願いするようになってからはこういうトラブルは皆無になりました。
私の失敗談、いかがでしたか? 塗装工事は奥の深いものなので私もまだ勉強中なのですが、こういう痛い目にあって塗装業者さんは「 一にも二にも信頼と実績が大事 」だと痛感しました。
いまでは間違っても飛び込み営業には発注しませんし、総合リフォーム業者にも依頼しません( 笑 )。ではどうするかというと、現場に出る親方に、直接発注します。
どうやって出会うかですが、大家仲間が発注したことがあり、数年間は剥がれなどの問題を起こしていない業者さんを紹介してもらうのがベストではないでしょうか?