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【不動産投資の法律知識】 初心者大家さんの注意点その5 サブリース契約のトラブル事例

不動産投資全般/法律知識 ニュース

2024/04/06 配信

今回も初心者大家さんが注意すべきポイントについて、法律知識も交えてご紹介していきたいと思います。第5回は、サブリース契約のトラブル事例です。

サブリースにはさまざまなトラブル事例がある
サブリースにはさまざまなトラブル事例がある

前回までは、老朽化物件だったり、購入時の注意点だったり、購入場面に注目してお話してきましたが、今回、初心者がトラブルを起こしがちなサブリース契約を、お話していきたいと思います。

まず、一般的に「サブリース」と呼ばれている枠組みは、厳密には以下のように、①マスターリース契約と②サブリース契約を組み合わせたスキームになります。

①物件オーナーさんから、サブリース会社に部屋を貸し出す賃貸借契約をマスターリース契約といい、
②更に、サブリース会社から、実際の居住者に部屋を貸し出す賃貸借契約をサブリース契約と呼びます。

この二つが組み合わされた転貸借関係のことを「サブリース」と呼んでいることが多いです。

という契約関係になります。①をマスターリース契約、②をサブリース契約と呼びます。

なぜ、このような業者を挟んだサブリース契約を行うかというと、大家さんが不安な空室リスクに備えるためです。

大家さんとして一番のダメージになるのが、入居者がおらず、賃料収入がなくなるケースです。融資を組んで収益物件を購入しているケースも多く、空室になり賃料収入が途絶えると、収入がないのに返済だけを行うということになります。

金銭余力がない状態ですと、この空室、賃料収入の途絶に耐えられない状態になりかねません。

そこで、サブリース契約の出番です。サブリース契約を締結していると、サブリース会社が、空室時であっても契約内容通りの賃料を払ってくれるという契約です。

これで、「空室リスクに備えてサブリース契約を結べば、不動産投資も安全ですよ!」というのがサブリース契約の営業文句です。

ただ、幾つかトラブルも生じてきており、近年ではサブリース新法などという新しい法律もできて、消費者庁からも注意喚起が行われております。

一つ目の落とし穴は、「空室保証で安心、家賃補償」というのも、そのサブリース会社が倒産しない限り、又は契約違反しない限り、という限定付きだという点です。「かぼちゃの馬車事件」で調べていただきたいのですが、2018年頃、サブリース会社が倒産するという事件が発生しました。

「そんなに早々会社が破産なんてしないだろう。」という思う方は、少なくとも、そのサブリース会社の資本金等を調べたほうがよいです。

すごく大雑把にいえば、確かに上場しているような企業が倒産するケースは、それこそ事件というべき珍しい事柄かもしれませんが、他方で、小規模の個人事業主に近い形態の法人や規模の小さい中小企業の経営破綻は日常茶飯事です。

破産までいかずとも、10年ぐらい経過した後に、「やっぱり採算が合わないので、契約通りの賃料払えません。」なんてトラブルが多数生じています。

問題を難しくしているのは、このように契約違反があったとしても、簡単にサブリース会社との契約を解除することができない点にあります。

サブリース会社も、「借主」であり、借地借家法という借主を守る法律により強く保護されています。前述のような賃料不払いや契約違反があったとしても、追い出すことができない、というのが問題なのです。

全てのサブリース会社が悪いわけではないのですが、実際問題としてサブリース契約による収入だけでは企業としての収益には見合わないのではないか、という構造的な問題もあります。

本来であれば、マスターリース契約に比べて、空室保証分も多めに賃料をもらっておかないとサブリース会社の事業は成り立ちませんから、マスターリース契約とサブリース契約の家賃には、空室保証分、サブリース会社の人件費等の運営費を賄っても足りるだけの差額がなければ成り立たないはずです。

もっとも、世の中のサブリース契約は、本来得られる賃料収入との差額はわずかで、サブリース事業だけを切り取って収益を成り立たせるのは非常に困難な状況のことが多いです。

では、こんなに旨味のないサブリース事業というものが、なぜ、存在するのか?答えは、先に、サブリース契約を締結する前提となる、不動産の売買益や、建築代金などから利益を得ることを主眼としており、いわば、サブリース契約自体は、収益不動産を買ってもらう、収益不動産を建ててもらう、「おまけ」という立ち位置になっていることが多いのです。

全てのサブリースが悪いわけではないのですが、非常に問題が多発している契約類型だということは、認識して契約締結されるとよいと思います。

さて、今回のお話でも、初心者大家さんの気を付けるポイントということで、サブリース契約についてお話しさせていただきました。

前回までの不動産購入のお話しとも合わせて、一言でまとめると、「そんなにおいしい、簡単に儲かる話はない。」ということなのです。

それでも不動産賃貸業というのは、ミドルリスクミドルリターンといわれるように、しっかりと戦略を練って、勉強して対応していけば、長い目でみれば、上手くいく資産形成方法だと思います。

ただ、不動産賃貸業で収益を上げている方は、相応の労力をはらって、相応のコネクションを作り、その上で戦略を練って取り組んでいる印象を受けます。

不動産賃貸業は、ただただ言われた通りに契約書をかいていけば儲かるような甘いものではなく、あくまで個人の事業として取り組むべきものだということを、他の記事でも引き続きお話しできればと思います。

執筆:山村暢彦(やまむら のぶひこ)

山村暢彦

山村法律事務所ホームページ(不動産・相続)
山村法律事務所ホームページ(企業法務)
不動産大家トラブル解決ドットコム

■ 主な経歴

弁護士法人 山村法律事務所 代表弁護士 神奈川県弁護士会 所属
不動産・相続の法務に精通した、スペシャリスト弁護士。不動産投資・空き家活用・相続対策などのセミナーで講師経験も多数有している。不動産・相続をテーマとしたFMラジオにも出演。
自身でも築古戸建を購入し、大家業の経験を積むなど、弁護士の枠内に収まらない不動産の知識と経験を有する。大家さん、不動産投資家に寄り添い不動産賃貸トラブルを解決する姿勢から、近年、不動産投資関連トラブルの相談も急増。

不動産投資関連トラブルでは、「賃貸」法務だけではなく、リフォーム、建設、不動産取引、融資業務など関連する法分野が複雑かつ多岐に携わる。そのため、多数の不動産・建設会社の顧問業を務め、不動産・建設分野全般にわたる知識とノウハウが問題解決に役立っている。
近年では、ラインワークス(チャットワーク)やzoom等のITツールを駆使して、依頼者と気軽に相談できる体制を構築している。また、その評判から、個人の不動産投資家の方の顧問業務の依頼も増加している。関東一帯を中心に、なかには、関西や東北からの相談や顧問業務をこなす。
現在は、弁護士法人化し、所属弁護士数が3名となり、事務所総数6名体制。不動産・建設・相続・事業承継と分野ごとに専門担当弁護士を育成し、より不動産・相続関連分野の特化型事務所へ。2020年4月の独立開業後、1年で法人化、2年で弁護士数3名へと、その成長速度から、関連士業へと向けた士業事務所経営セミナーなどの対応経験もあり。

クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産関連のトラブルについての解決策を、自分ごとのように提案できることが何よりの喜び。

■ 主な著書

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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