ネット不動産マーケットプレイス「RENOSY(リノシー)」を運営するGA technologiesが、2024年に注目を集めるであろう、不動産業界のトレンドと注目エリアを発表した。
投資をするうえで知っておきたい話題や注目エリアなどをピックアップして紹介する。
★注目その1:新NISAを機に「分散投資」が進む
日本漢字能力検定協会が毎年発表している2023年の『今年の漢字』では「税」が選ばれるほど、昨年は増税や物価高騰などお金に注目が集まる1年となった。2024年はさらに「お金」への関心が高まりをみせそうだ。
その主な一因となりそうなのが今年から始まった「新NISA」の影響だ。以前から政府は「貯蓄から投資へ」を掲げ、投資を後押ししていたが、2024年から「新NISA」の内容を拡充させた。年間投資額がアップし、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用できるようになるため最大年間360万円までの投資が可能になる。
「資産形成に関する意識調査」(出典:SOMPOホールディングス株式会社)によると「新NISAを利用する予定がある」と回答した人は約7割で、さらにこれを機に4割以上が「資産運用を見直す予定がある」と回答している。
新NISAの成長投資枠では、REIT(リート)という不動産投資信託も購入が可能である。REITについては、健美家ニュースでも毎月取り上げているため、こちらの記事を参考にしていただきたい。
こうした点から現在投資を行っている人は、NISAにおける毎月の投資金額を増やすほか、金融商品だけではなく、不動産をはじめとする実物資産への投資も行うなど、様々な方法でマネーポートフォリオを見直すことが考えられ、「分散投資」が広がる可能性がある。
★注目その2:2024年も進む再開発。注目の3エリア
2023年は東京だけでも東急歌舞伎町タワー、麻布台ヒルズ、道玄坂通、Shibuya Sakura Stage、東京ミッドタウン八重洲、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーなど数多くの商業施設がオープンし、それぞれの街はさらなる盛り上がりをみせた。
この傾向は2024年も続き、各所で商業施設等がオープンする予定となっており、インバウンドを含め人の流れにも変化がありそうだ。なかでも注目は次の3つのエリアである。
【湾岸エリア】
湾岸エリアは、ふ頭や倉庫として利用されていたが、居住空間などへの土地利用転換が東京都により計画されている地区であるため、近年再開発が活発に行われている。
近年では、東京五輪の選手村跡地をマンションと商業施設などによる街区「HARUMI FLAG(晴海フラッグ)」へ建て替え、分譲マンションの予約が殺到したことが大きな話題に。2024年からマンションへの入居がスタートし、3月にはライフスタイル型商業施設「三井ショッピングパーク ららテラス HARUMI FLAG」がグランドオープンする。
勝どきには「GRAND MARINA TOKYO」が2024年4月に入居開始、その他にも現在建設中のタワーマンションもあることから、多くの人の湾岸エリアへの流入が見込まれる。
湾岸エリアには虎ノ門や新橋と繋ぐ「東京BRT」が住む人の足となっており、2023年12月には地域の交流センター「はるみらい」の開業など居住者の満足度が高いエリアとなりそうだ。
秋には有明にアスレチック施設や飲食店が入る「有明アーバンスポーツパーク」がオープン予定であり、お出かけスポットとして賑わいそうだ。
【赤坂エリア】
2024年に赤坂エリアには、2つの商業施設が誕生する予定となっている。5月にはオフィスや飲食店などが立ち並ぶ、東京メトロ溜池山王駅・国会議事堂前駅直結の施設「赤坂グリーンクロス」がオープン予定だ。
8月には「東京ワールドゲート赤坂」の第1期が竣工予定で国家戦略特別区認定を受けた「赤坂二丁目プロジェクト」によって開発されている「赤坂ツインタワー」の跡地に、オフィス、ホテル、サービスアパートメントを備えた施設が誕生する。
赤坂は伝統と最先端施設が融合し、国際的にもこれまで以上に注目を集めるエリアとなりそうだ。
【大阪梅田エリア】
大阪梅田エリアは、大阪市が進めている「うめきた(大阪駅北地区)プロジェクト」により2013年から再開発が進められており、2013年4月に「グランフロント大阪」、2023年3月には大阪駅地下ホームが開業。
2024年9月に「グラングリーン大阪」が開業することで、大阪の中心エリアとしてさらなる発展が予想される。
★注目その3:相続関連の制度変更相次ぎ、空き家対策が加速
空き家問題に対する取り組みが進み、2023年は下記の制度が始まった。
◇2023年4月 「相続土地国庫帰属制度」開始
◇2023年12月 「改正空家特措法」施行
2024年も引き続き、土地・相続関連の制度の変更が予定されている。
◇相続登記義務化
2024年4月1日より、土地を相続した人はその土地を3年以内に相続登記の申請をしなければならない。正当な理由なく義務に違反した場合は、10万円以下の過料を支払う必要がある。
◇マンション節税防止ルールの適用
富裕層がマンションを購入し相続税対策をする「タワマン節税」が問題視されてきた。背景には、マンションの相続価格が実際の購入価格よりも安く計算されていることにあり、特にタワーマンションの高層階であれば乖離が大きくなっていた。2024年1月1日以降の相続に対しては、実際の市場価格に近い方法で計算するように変更される。
◇贈与税持ち戻し期間の延長
これまでは相続発生の3年前までの生前贈与は、相続財産とみなされていた。2024年1月1日以降の贈与からは、贈与税の持ち戻しが7年へ延期。
2031年まで段階的に延長され、2026年12月末までは3年、2027年1月~2030年1月末までは3~6年、2031年に7年となる。これは生前贈与のかけこみ贈与での対策のため行われる施策となっている。
2024年は新NISAのスタートとともに、投資への関心が高まり、不動産投資に新規参入する層も増えるかもしれない。
また国や自治体の空き家対策が加速することで、すでに所有している土地や、相続への関心の高まりから売却や活用が進む可能性もある。
昨年は観光需要が戻り、一部ではオーバーツーリズムが問題視されるほど賑わう事態となったが、再開発などにより、活気づくエリアはますます活気を増しそうだ。
上記のような流れがあることも、今後の投資の参考にしていただきたい。
※取材協力:ネット不動産マーケットプレイス「RENOSY(リノシー)」を運営するGA technologies