地面との接点、水のお話を続けます。大きいRC造、S造の話が続いたので、今回は小さな戸建て。私が最近、埼玉某市に買った木造の超絶ボロ戸建て、お値段190万円の鉄骨柱のお話です。
木造建物の横に鉄骨の柱梁が組んであり、下がガレージ、上にプレハブの6畳の部屋が乗っています。プレハブを支える柱は、根元がさびて穴が空き、ほとんど支えていないような状況でした。
業者さんに見せたら、まず取り壊せと言われるはずです。
当たり前のことですが、
鉄は水が当たるとさびます!
鉄骨の足元は、ガレージのコンクリートと同じレベルにあって、雨水が当たってしまいます。さらに雨樋が横にあり、水が普通よりも多く流れます。どんなに丈夫な鉄骨でも、大量に水が当たる位置にあったら、さびて強度がなくなってしまいます。次第に穴が空き、ついには倒壊してしまいます。上がどんなに丈夫な構造物でも、足払いを食わされるように倒れます。基礎と足元は、建物の根幹を担っています。
鉄骨の柱の足下でさびているものが多いのは、水が当たりやすいからです。足下が1cmでも周囲より上に上がっていれば、そんなにさびずにすみます。上から2枚目の写真を見ると、ガレージのコンクリートと同じ高さに鉄骨の足元があります。水が当たってさびて穴が空き、柱がほとんど効いていないのがわかります。
この写真では、すでにディスクグラインダーという回転する機械でサンダーをかけて、表面に盛り上がったさびをけずり落としています。このあと、3枚目の写真のように鉄骨の穴の中に水を少なく練ったモルタルを詰めて上まで上げて、金網を下ろして周りを板で囲んでモルタルを詰め、固まるまで放置しました。金網はモルタルの亀裂防止のために巻いています。
固まった後に回りの板をはずした状態が4枚目の写真です。鉄骨内部のモルタルも、周囲のモルタルよりも上まで行って固まっているはずです。
鉄骨柱の足元をコンクリートで囲うのは根巻きと呼ばれ、足元をガッチリと固定させることができます。新築工事ではよくやりますが、修理でも応用可能です。構造的に安定するばかりでなく、モルタル、コンクリートはアルカリ性なので鉄がさびないというメリットもあります。
セメント+砂がモルタルで、それに砂利を入れたのがコンクリートです。モルタルだけだとボリュームがかせげないので、砂利を入れるわけです。砂、砂利は骨材といわれます。セメントという接着剤で骨材をくっつけたのが、モルタル、コンクリートです。
柱の周りに打つ時に少し砂利を入れましたが、細かいところに入れ込むのでモルタルがメインでやりました。セメント、砂、砂利はすぐ近くのホームセンターで仕入れ、調合、型枠などは義父がプロ並み( へたなプロ以上 )にくわしいのでやってもらい、また教えてもらい、そしてセメント、モルタルをかき混ぜるしんどい作業は学生バイト2名にやってもらいました。6本の柱は根巻きでしっかりと固定され、倒れる心配はなくなりました。
木造アパートでも、外階段、外廊下を鉄骨で支えているケースが多いです。柱の足元を見て、さびているようなら早めの対策を講じておきましょう。軽いさびならさび止めの上に塗装、床と同じ高さならちょっとだけモルタルを周りに盛る、穴が空いているようならモルタルやコンクリートで根巻きをするのが正解です。
結論として
鉄骨の足元は水から遠ざけよ!
です。