サウナブームのなか賃貸住宅でも「サウナ」を併設するケースが増えており、健美家ニュースでもたびたび「サウナ」を話題にしてきた。そんななか神奈川県横浜市保土ケ谷で、社員寮だった建物をリノベーションし、サウナ付きのマンスリーマンションに再生した「TOMOS保土ケ谷」が８月１日にオープンした。
無印良品が監修し、共用部や居室に備え付けの家具家電は無印良品の製品がそろう。サウナや無印良品好きの20～30代の男女に人気だ。リノベーションを手掛けたグッドルームと無印良品の担当者に話が聞けるメディア向け内覧会を取材した。
4月にオープンしたサウナ付き物件は、
29戸が1週間で満室。ニーズの高さを実感
今回取材した物件はグッドルームによる「サウナ付き物件」の3つ目となる。1つ目は「goodoffice日本橋」で、シェアオフィスにサウナを設置。2つ目は「TOMOS学芸大学」で29戸が募集開始から1週間で満室になるほどの人気となった。TOMOS学芸大学は15年間使われていない社員寮をリノベーションしたが、今回取材したTOMOS保土ケ谷も1年半使われていない社員寮を改装した。
まずはグッドルーム代表の小倉弘之氏に今回の経緯を聞いた。
「これまで賃貸物件のオーナーさまから依頼を受け、空室の多い賃貸物件を借り上げてリノベーションし、マンスリーマンションなどに運用する事業を行ってきました。かねてから物件取得から再生したいとの思いがあり、今回初めて1棟丸ごと購入するところからスタートしました」
もともと4階建てで52戸あったが、1階の管理人室をなくすことで3戸増やし、全55戸に。取得費は非公開だが、リノベーション費用は1.5億円、実質利回りは6％である。
元社員寮として、トイレや食堂、浴室などの水廻りが共用で使われていたため、通常の賃貸住宅として再生するのが難しかった。そのため55戸中4戸に水廻り設備が揃った3点ユニットを導入し、その分、家賃を高く設置。ほかの居室の入居者は、共用のサウナ、シャワー、水風呂、トイレを利用することになるが、昨今のサウナブームから、サウナがあることに魅力を感じる層を入居者に想定した。
賃貸住宅ではなくマンスリーマンションとして運用。
通常の賃貸より1～2万程高い家賃設定が可能に
一般的な賃貸住宅として貸し出すのではなく、グッドルームならはでのマンスリーマンションとして活用。家具家電付きで、電気代や通信費も込みですぐに住むことができる点が大きな利点である。
コロナを機に、ホテル暮らしが注目され、ホテル感覚で利用できるマンスリーマンションの人気がましている。そう教えてくれたのは、グッドルーム広報の岩田梨沙さんで、岩田さん自身、これまでに15～20か所のホテルやマンスリーマンションを利用してきた。その様子はYouTube動画やインスタグラムで見ることができる。
「スーツケース2つ程に荷物がおさまるようなミニマリストにとってホテルを点々とするようなマンスリーマンションの暮らしは気軽で楽しく、私自身、すっかり虜になっています」（岩田さん）
入居者の募集は、自社サイトで行う。ターゲット層にあったコラムを掲載するなどして月間訪問者200万人超と一定のファンを集め、入居者を募集しやすい環境を整えている。
家賃は１室、約8～10万円。これに加え1日330円、月額にして約1万円の管理費が必要になる。こちらに光熱費や通信費などが含まれる。
実際に入居者の募集をはじめると、20～30代の男女に人気で、55戸中3～4割が埋まっている。ライフルホームズで保土ケ谷の家賃相場を調べると1Kで6.1万円。それに比べると管理費を考慮してもプラス1～2万円ほど高い家賃設定が可能といえる。
東京都内では銭湯に併設されたサウナも進化し、「自動ロウリュウ」が人気のサウナやBGMでジャズが楽しめるサウナなどもあり、筆者の近所の銭湯のサウナも大変人気で、ときには数時間待ちのときさえある。この空前のサウナブーム、賃貸でも浸透するのかどうか、気になるところである。
なお賃貸住宅のオーナーから既存の賃貸住宅をサウナ付きにリノベーションしたいなどの相談も、エリアや建物の条件などあるが、グッドルームでは受け付けている。
