神戸駅前広場の機能配置や
駅前空間の再整備を推進
神戸市は現在、神戸の都心の一角を形成するエリアであり、鉄道やバスの交通結節点としても重要な機能を誇るJR「神戸」駅周辺の活性化を図るべく、駅前広場の機能配置や駅前空間の再整備を推し進めている。その神戸駅前広場の再整備デザインが、2023年4月に決定した。
神戸駅は1874年、大阪駅~神戸駅間の終着駅として開業した。現在の駅舎は1930年に三代目駅舎として開業し、その後は周辺に「デュオこうべ」や「ハーバーランド」がオープンするなど、商業・観光・居住などの複合的な機能を支える駅の一つだ。
しかし、歴史や文化が息づき、立地的にも恵まれたエリアありながら、神戸駅周辺は神戸の中心地としての活気やにぎわいが思うように見られないことが課題だった。
そこで神戸市は、都市ブランド向上と人口誘引につなげるプロジェクト「リノベーション・神戸」の対象として、神戸駅をその一つに位置付けた。
2021年10月には、再整備の方向性を示す「神戸駅前広場再整備基本計画」を策定。2022年2月より設計に着手し、神戸の名を冠するにふさわしい高質で風格のある駅前空間の実現に向けて、基本計画に基づく再整備計画についての検討を進めている。
約1,100台を収容する
神戸市内初の地下タワー式駐輪場も
再整備のコンセプトは、「駅前広場がつなぐ、人とまち。~神戸“湊”劇場~」。神戸という舞台へ誘う駅前広場が憩いや交流、コミュニケーションの拠点として新たに生まれ変わる。
神戸駅前広場の再整備デザインは、広場空間と駐輪場に大別。まず、広場空間はバスロータリーやタクシーロータリーの再編、地下駐輪場の整備により創出された空間を、人のための広場として再整備する。
地下街の吹抜空間を覆う大屋根には木材を使用することで、落ち着きがあり、温かみのある空間を創出。さらに、地域のシンボルである「湊川神社」や三代目の「神戸駅舎」と調和の取れたデザインを手掛け、神戸の名を冠するにふさわしい高質で風格のある広場景観を構築する。
また、駐輪場については、現在広場空間の大部分を占めている駐輪場を広場の地下に集約。地下平面式駐輪場(約260 台収容)のほか、神戸市内初の地下タワー式駐輪場(計5基/約1,100 台収容)を整備することにより、広場空間の有効活用を図るともに、駐輪場不足の解消や利用者の利便性の向上を図る。
現神戸駅舎開業100周年の
2030年度に完了予定
今後の再整備計画のスケジュールは、2023年8月下旬に地下駐輪場の事業落札者の決定・公表を行い、2026年度から駅前広場の再編・リニューアルに着手。そして、現神戸駅舎開業100周年にあたる2030年度に全面リニューアルを完了させる予定となっている。
2023年8月下旬 神戸駅前地下駐輪場整備事業 【落札者の決定及び公表】
2026年春 地下タワー式駐輪場 供用開始予定
2026年度~ 駅前広場の再編・リニューアル
2027年度~ 大屋根のリニューアル
2030年度 全面リニューアル完了
神戸駅前広場を再整備することで周辺エリアへの波及効果を生み出し、地域全体の価値、魅力をさらに高め、活性化につなげていくことが期待される。
健美家編集部