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熊本市の「熊本西環状道路」で新区間の開通が迫る。深刻な渋滞解消につながるビッグプロジェクトが進行中

都市計画・再開発(地域情報)/福岡/九州・沖縄 ニュース

2023/11/08 配信

福岡市・北九州市に次ぐ九州3番目の都市
政令指定都市ワーストの交通渋滞が課題

熊本県の県庁所在地である熊本市。九州の中央、県の北西部に位置し、74万人弱と福岡市・北九州市に次ぎ九州で3番目に人口が多い。2012年4月1日に九州で3番目の政令指定都市に指定され、西区、北区、中央区、東区、南区の5つの行政区が設置されている。

政令指定都市に移行した都市のなかで、もっとも新しいのが熊本市。まちの中心は熊本城の天守閣から見て南東から東の旧城下町周辺。下通商店街は国内でも有数の規模を誇る全蓋式のアーケード商店街だ。画像は熊本駅周辺の様子。
政令指定都市に移行した都市のなかで、もっとも新しいのが熊本市。まちの中心は熊本城の天守閣から見て南東から東の旧城下町周辺。下通商店街は国内でも有数の規模を誇る全蓋式のアーケード商店街だ。画像は熊本駅周辺の様子。

同市の交通事情だが、中心市街地を九州の大動脈である国道3号線が南北に走る。その西側をJR九州の鹿児島本線・九州新幹線が縦貫し、熊本駅からは市街地南端を迂回して阿蘇・大分方面へ向かう豊肥本線が伸びる。

中心市街地は熊本駅および北隣の上熊本駅間の線路から東側一帯、豊肥本線の沿線周辺に広がっており、市内交通として熊本駅・上熊本駅から中心部と、水前寺成趣園を経て市東部の拠点である健軍に至る熊本市電が走り、地域住民の足として使われている。

JR九州や熊電、熊本市電と複数の鉄道が乗入れ、熊本都市バス、九州産交バス、電鉄バス、熊本バスと、路線バスも充実し、道路は先述の国道3号線をはじめとする国道や県道、九州自動車道路のICも市内に複数。交通インフラも十分に備わっている印象を受けるが、同市喫緊の課題は政令指定都市ワーストとされる交通渋滞だ。

国交省の調べによるとマイカー使用率は約59%とデータを取った14指定市のなかでももっとも高く、公共交通機関使用率は約6%ともっとも低かった。

一方、同市の主要交通渋滞箇所は180か所と全国ワースト1位、中心部の平均速度も全国でもっとも遅いことも判明。渋滞は通勤・通学の妨げになり、運送・配送などの遅延にもつながる。熊本の持続的な発展を維持するには、交通渋滞の解消は欠かせないとされている。

渋滞の原因のひとつは、中心部から高速道路ICや空港など交通拠点への道路網が限られること。市などの調査でも空港までの移動時間は53分と、全国主要都市と比較してもっとも長い。距離の問題もあるが、渋滞も深く関係している。

こうしたなか、市は国や県とともに課題解消に向けて取り組みを推進。2012年度に県の主要渋滞箇所の選定・公表(309か所)を実施し、2015年度から2020年度にかけては交通渋滞対策協議会やエリアワーキングによる議論も行った。

2019年には国や県とともに「熊本都市道路ネットワーク検討会」を設立し、21年6月には中心部から現在35分かかる最寄りの高速ICまでを10分、空港までを20分で結ぶ新たな道路ネットワークを整備する計画も立案。施策は功を奏し、同年9月までに17か所の渋滞が解除された。

主要渋滞箇所の解除状況。熊本市やその周辺でバイパス整備及び交差点改良を実施、交通状況の変化などにより渋滞が解消されている。 画像出典:令和4年度 第1回 熊本県交通渋滞対策協議会
主要渋滞箇所の解除状況。熊本市やその周辺でバイパス整備及び交差点改良を実施、交通状況の変化などにより渋滞が解消されている。
画像出典:令和4年度 第1回 熊本県交通渋滞対策協議会
熊本市による「スマート交差点」への取り組み。道路空間を有効活用した道路改良や信号時間の調整を実施している。 画像出典:熊本市ホームページ
熊本市による「スマート交差点」への取り組み。道路空間を有効活用した道路改良や信号時間の調整を実施している。
画像出典:熊本市ホームページ

インフラ整備は着実に進んでいて、「熊本環状道路」の事業はそのひとつ。「熊本環状連絡道路」「熊本西環状道路」「国道3号植木バイパス」「国道3号熊本北バイパス」「国道57号熊本東バイパス」から構成される環状道路で、中心市街地の渋滞緩和や都市交通の連携を促すといった効果が期待されている。

熊本環状道路の事業概要。整備されることで環状道路内側の市街地で通過交通の減少する見通しだ。 画像出典:地域高規格熊本環状道路建設促進期成会ホームページ
熊本環状道路の事業概要。整備されることで環状道路内側の市街地で通過交通の減少する見通しだ。
画像出典:地域高規格熊本環状道路建設促進期成会ホームページ

各線で工事や供用が進められ、2023年2月には国道3号植木バイパスの一部が完成し熊本北バイパスとつながることに。

南区砂原町と北区硯川街を結ぶ「熊本西環状道路」は全延長約12㎞のうち下硯川IC花園ICまでの4.1㎞区間が2019年3月に暫定2車線で供用が始まった。

市の調査によると朝の渋滞時において「北部消防入口交差点から上熊本駅間では、開通前の熊本田原坂線経由に比べると約8分、熊本市役所までのルートも開通前の国道3号線経由に比べて約9分短縮。交通の分散化により、並走する道路で起きていた渋滞も解消されたという。

搬送ルートの確保などによる商業活動の支援、通学路などの安心安全の向上、救急搬送の迅速化による救急医療活動の支援、災害に強い道路ネットワークの形成による防災性の向上も認められた。

池上ICから砂原ICに関しては、2022年4月に事業化。現在は工事が進行中で、2025年に完成予定。この区間が開通すると熊本駅の西側近くまで高速道路が伸びるので、市街地の交通渋滞や環境改善が大幅に進展する。池上ICから南砂町までの約3.7㎞の区間は調査区間に指定され、事業化の目途は立っていない。

一方、先ほど挙げた国道3号植木バイパスは、下硯川IC入り口からさらに北側、九州自動車道の植木IC付近まで延伸する計画だ。完成した暁には、熊本市西部から九州自動車道へのアクセスは飛躍的に良くなり、商業のみならず地域住民の日常生活に好影響を与えるだろう。

健美家編集部(協力:大正谷成晴(おしょうだにしげはる))

大正谷成晴

■ 主な経歴

フリーランスの編集・ライター。
不動産投資、株式投資、投資信託、FXなどマネー関連、ビジネス全般、働き方、副業、クレジットカード、医療・介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。

■ 主な著書

  • 『決定版 1万円からはじめるFX超入門』(かんき出版)

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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