
川口駅東口から徒歩3分の好立地
野村不動産は、埼玉県川口市で「川口栄町3丁目銀座地区」の再開発建物が3月22日に竣工したと発表した。
再開発建物の場所は、JR川口駅の東口から徒歩で3分(約300m)の好立地となっている。

駅近の立地であるほか、駅東口の商店街である川口銀座商店街(樹モール:じゅもーる)に面しているのが特長的だ。
商店街のwebサイトにも再開発に関するページが設けられており、野村不動産の再開発には地元の期待も集まっていることがわかる。

野村不動産のプレスリリースで再開発の始まりは2006年6月の勉強会発足と紹介されており、再開発の話が持ち上がってから完了するまでに17年の年月がかかったことになる。
これだけの時間がかかったとなれば、地元の期待も大きくなるというものだろう。
再開発建物の規模は、地上28階・地下2階建てで敷地面積9,069.41u・延床面積66,572.28u。
建物の1階〜3階には商業施設・オフィス・医療モール・保育園が入っている。商業施設部分の店舗数は約40の予定。

建物内の認可保育園は主に入居者が利用すると予測されるが、地域のファミリー世帯にも貢献することが期待される。
商業施設は「樹モールプラザ(じゅもーるぷらざ)」という名称で、webサイトも稼働開始済だ。
フロアガイドを見ると、スーパーマーケットとしてマルエツ・店舗部分には一風堂(ラーメン屋)・コージーコーナー(洋菓子店)・ダイソー(100円ショップ)などが入ることがわかる。

5月5日時点でオープン予定日が発表されている店舗・クリニックの数は25で、5月1日に歯科がオープン済だ。5月11日以降にその他の店舗もオープンしていく予定。
また、オフィスフロアについても入居テナントが4つ公表されている。
4階〜28階はタワーマンションになっており、総戸数は481戸。マンション部分の入居は3月下旬から開始済だ。
再開発には複数のテーマがある。その1つは商店街の活性化だ。再開発建物には商業施設が入っており、商業施設の入口は商店街に面した位置にある。
そのほか、入居者以外の通行人が通り抜けできる通路の配置や敷地全周に歩道上空地を設けるなど、地域貢献も再開発のテーマとなっている。
そごう川口店閉店からのイメージアップに期待
前述の長らく年月がかかった事情以外にも、再開発に地元の期待がかかっている理由はもう1つある。2021年のそごう川口店閉店だ。

そごう川口店は、1991年に開店してから長らく川口駅前の顔だっただけに、閉店の事実が地元に与えたショックは非常に大きかった。
川口市のwebサイトには「市・川口商工会議所・川口市商店街連合会から、2020年2月と12月の2回に渡り、そごう・西武に対して店舗の活用方針を示すよう要望している」と記載がある。
しかし、2023年5月時点で閉店からすでに2年以上が経過しているが、建物が解体される気配はなく、そごう・西武からは新たな店舗が入る発表もない。
一方で、そごう・西武の親会社であるセブン&アイ・ホールディングスは、そごう・西武を売却する方針を示したが、実際の売却時期は現時点で不透明なままだ。
駅前の顔が今後どうなるのか予測できない状況下で、地域に根差した再開発建物の完成は明るい話題と言えるだろう。川口のイメージアップに期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)