多摩堤通りで途切れていた目黒通り
多摩川に橋が架かり往来が改善
東京都と神奈川県。ともに首都圏を代表する自治体として発展し続けている。都県境には多摩川が流れていて、その間にはいくつもの橋が架かっている。その数は限られので、朝夕の渋滞は珍しくない。
東京都心から放射状にのびる幹線道路には、国道1号(放射1号線)や中原街道(放射2号線)、国道246号(放射4号線)などの一般道路があり、国道1号線なら「多摩川大橋」、中原街道なら「丸子橋」が架かり、お隣の神奈川県川崎市につながっている。
こうしたなか、2025年の完成に向け、新たな橋の工事がすでに始まっている。それが、目黒通り(放射3号線)が延伸する形で新たに生まれる「(仮称)等々力大橋」(以下、等々力大橋)だ。
橋が架かるのは、有料道路・第三京浜の約1㎞東側で、一般道路であれば二子橋(国道246号線)と丸子橋の中間地点。両者の距離は約5㎞あるので、その間に新しい橋ができることで、渋滞の緩和に期待がかかる。
目黒通りは、東京都港区白金台の清正公前交差点から、世田谷区玉堤の多摩提通りまで走る、延長10㎞の都道。
途中に品川区、目黒区を抜け、桜田通りから環八通りまでは往復4~5車線、環八通りから多摩堤通りまでは2車線の道路で拡幅事業が進められている、外苑西通りや山手通り、環七通り、自由通りとも交わり、東京メトロ南北線の白金台駅、JR目黒駅、東急東横線の都立大駅、同大井町線の等々力駅などが沿道にある。
他の放射道路が多摩川の橋を通じて川崎市につながっているのに対して、放射3号線の目黒通りのみが、多摩川手前となる世田谷区の多摩堤通りで途切れた状態。多摩川を越え、神奈川県境とのネットワーク化が求められており、都心アクセスの向上や都市間連携強化を目的に、等々力大橋の建設が始まっていた。
これにより港区から川崎市まで道路1本でアクセスでき、その先は現在整備が進められている宮内新横浜線につながる。川崎市内では等々力競技場の北側を通るので、大型施設へも行きやすい。
さらにその先につながるのは、新横浜駅だ。同駅には新幹線が乗り入れ、相鉄・東急新横浜戦の開業により、鉄道のアクセスも抜群に良くなった。加えて車の行き来もしやすくなると、ビジネス・住宅需要はさらに伸びると考えられる。
多摩川に架かる橋と言えば、2022年3月12日に開通した「多摩川スカイブリッジ」が記憶に新しい。羽田空港(羽田グローバルウインズ)と川崎市(キングスカイフロント)をつなぐもので、東京都と川崎市が共同で行った調査によると、次のような効果が確認されたという。
・多摩川スカイブリッジの上流に位置する大師橋の交通量が約3割減少、大型車が約4割減少
・歩道のない弁天橋通りの交通量が約2割減少、大型車が約3割減少
・大田区~川崎市間の代替性が確保され防災性が向上
・羽田グローバルウイングズからキングスカイフロントまでの平均所要時間が、約14分から約3分に短縮
・バス路線の開通などによる利便性の向上
新たな橋がもたらす効果は大きく、混雑緩和だけではなく生活道路の安全性にもつながる。等々力大橋にもそういった役割や、近隣地域を発展させる契機になることが期待されている。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))