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不動産市場は「バブル」か。だとするといつ、どのように崩壊するのか。

長嶋修さん_画像 第210話

IMFによれば2019年の世界全体の実質成長率は3.3%と1月から下方修正、日本は1.0%と0.1%引き下げられましたが、米中貿易交渉、さらには日米貿易交渉の結果いかんによってはさらなる減速が予想されます。

とりわけ気になるのは日米貿易交渉ですが、このことに関し政府はあまりにも楽観視している節があります。

これまで日米の関係は日本が大幅な貿易黒字、米国が赤字というものでした。これは、自動車などを輸出することにより日本が得た黒字を、米国債をはじめとする米金融市場に還流する、といった、いわばバーター取引で成立してきたものと思われます。

しかしトランプ政権は、世界からの「 軍の撤退 」と同時に「 米ドルの引き上げ 」を意図しているのは明白です。だからこそ、表向きにはFRB( 連邦準備制度理事会 )の高金利政策に表向きは文句を言いながらも容認しているのではないでしょうか。

対日的なトランプの姿勢は明確で「 貿易赤字の解消 」。つまり、まずは「 農畜産品の輸入 」「 自動車など輸出制限 」を、関税を通じて行うこと。そして何より「 円高ドル安 」への誘導です。

これは結果として強烈な円高、そしてバブル経済をもたらした85年の「 プラザ合意 」と酷似しています。プラザ合意の狙いは、ドル安によって米国の輸出競争力を高め、貿易赤字を減らすことで、現USTR(米通商代表部)のライトハイザー代表は、このプラザ合意の際に副代表でした。

この後日本は強烈な不況に見舞われ、それを脱するために金融緩和、そしてバブル経済と崩壊へと突き進みます。

今回、日米交渉の結果として円高となれば日経平均株価は下落、デフレと景気悪化をもたらすのは必至。そこで政府がさらなる金融緩和に踏み込めば、あのころと全く同じ構図が出来上がりそうです。

■ 不動産価格はどう動くのか?

こうした事態を受け、日本経済や不動産価格にはどのような影響があり得るでしょうか。

健美家のデータによれば、物件種別ごとの価格推移は、リーマンショック後の2009年を100とすると「 区分マンション 」は169、「 一棟アパート 」は129、「 一棟マンション 」は95となっています。

「 スルガショック 」などの金融引き締めをものともせずに、区分マンション価格はいまだ上昇基調、その他はやや下落トレンドにある、といったところです。



このさき不況になれば、家賃水準減から不動産価格にはマイナス。ただし、ここで政府がさらなる金融緩和に踏み切ると、不動産市場がバブル化する恐れがあります。

すでに金融緩和は十分行われており、安倍政権以前に90兆円程度だった日銀資産はすでに550兆円と、もはやこれ以上の緩和の余地はそれほどないようにも思えます。が、さらなる株( ETF )や不動産( REIT )の買取り、さらにはマイナス金利政策にまで踏み込むのかもしれません。

■ この先の日本経済、3つのシナリオ

考えられるシナリオは大きく3つ。まずは「 ダラダラ下落 」。景気悪化に対し政府が主だった手を打たず、経済が縮小するに任せるといったケース。

次に「 バブル化 」。前述のようにさらなる金融緩和策がとられ、マネーが株式市場や不動産市場、はたまた仮想通貨市場などに流れ込むシナリオ。しかしこの場合は90年バブル崩壊の二の舞で、実態がない以上、大きく上げた後に底なしの下落が待っていそうです。

最後に「 突然の大下落 」。世界を見渡せば、7,000兆円を超えるともいわれるCDS( クレジット・デフォルト・スワップ )を抱え株価は破たん水準の1ユーロを切るドイツ銀行、混迷を極める英国のブリグジット、5,000万戸以上の住宅在庫を抱える中国、長短金利が逆転している米国と、火種は満載であり、どこから崩壊しても全くおかしくない状況です。

かつて経済市場では、甚大な被害をもたらす想定外の事態を「 ブラックスワン( 黒い白鳥 )」と呼びましたが、今回は、大危機が予想される事態があちこちに見られるものの、現時点では放置されている状況を指す「 グレーリノ( 灰色のサイ )」が意識されています。

黒い白鳥はめったに現れないことに由来し、灰色のサイは、高い確率で存在し、大きな問題を引き起こすにもかかわらず軽視されがちな問題で、普段はおとなしいものの、ひとたびが暴走を始めると誰も手を付けられなくなるというわけです。

90年のバブル崩壊、90年後半の山一ショック、08年のリーマンショックと、このところ日本経済は10年ごとに経済ショックに見舞われてきました。

前回リーマンショックの際は、国( FRB )が住宅金融などに公的資金を投入することであの程度で済みましたが、現在はFRBやECB( 欧州中央銀行 )はおろか日銀も、かつてないほど金融緩和をしており、これらを救う先はどこにも残っていません。

元号の変わり目には大きなイベントが起きてきたことは以前にお話ししましたが、歴史を振り返ると社会が混乱・混沌としている時期には地震などの災害も起きやすいもの。

令和となる今年から数年のうちには、何らかのイベントが起きてもお全くおかしくはないといった前提で、自身のポートフォリオを見直すとともに、気持ちの準備をしておく必要があるでしょう。


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プロフィール

■ 長嶋 修さん

長嶋 修さん

不動産コンサルタント
さくら事務所 会長

長嶋修さんのブログ

不動産デベロッパーで支店長として幅広く不動産売買業務全般を経験後、1999年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社である、不動産の達人 株式会社さくら事務所を設立、現会長。

以降、様々な活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築く。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任。

2008年4月、ホームインスペクション(住宅診断)の普及・公認資格制度をめざし、NPO法人日本ホームインスペクターズ協会を設立、初代理事長に就任。

また、TV等メディア出演 、講演、出版・執筆活動等でも活躍中。

現在、「東洋経済オンライン」、「Forbes JAPAN WEB」等で連載コラムを執筆中。業界・政策提言や社会問題全般にも言及。

主な著書に、『空き家が蝕む日本』(ポプラ社)、『不動産格差』(日本経済新聞社)、『5年後に笑う不動産』(ビジネス社)等。

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