王子公園再整備の大学設置・運営事業者の
優先交渉権者に学校法人関西学院
神戸市は2023年6月、「王子公園再整備にかかる大学設置・運営事業者公募 (2022年12 月21日公募開始)」の優先交渉権者として、学校法人関西学院に決定したと発表した。
学校法人関西学院が運営する関西学院大学は、神戸市灘区の王子公園の再整備に伴い、敷地内に新キャンパスの開設を構想している。
王子公園エリアは関西学院大学の創立の地で、阪急「王子公園」駅のすぐそば。王子公園は敷地内に動物園やスタジアム、プールなどが備わり、開園された1950年以降、地元の人々から親しまれている憩いのスポットだ。
また、公園周辺には、六甲山系の美しい山並みを背景とした阪神間を代表する景観が広がり、良好な住環境を形成。文化や教育、スポーツ施設が集積する学術・文化のまちとして発展を遂げてきた。
一方で、施設の老朽化や利便性の高い文教エリアのポテンシャルを活かし切れていないといった課題を露呈。持続可能な神戸の発展の実現に向けた「王子公園再整備基本方針」を2022年12月に公表した。
神戸市は、動物園やスタジアムなどをリニューアルするとともに、プールや相撲場といった一部のスポーツ施設を廃止。大学キャンパスを誘致し、地域の活性化や定住人口の増加を目的とした計画を打ち出した。
そこで、王子公園への新キャンパス誘致に名乗りを上げたのが関西学院大学だ。
多くの施設を一般開放する
開かれたキャンパスに
関西学院大学の提案によると、新キャンパスのコンセプトは「自分で、みんなで。未来を起動するオープンイノベーションパーク」。関西学院大学のミッションである「“Mastery for Service(奉仕のための練達)”を体現する世界市民の育成」のもと、神戸王子公園に地域・社会・世界とシームレスにつながる緑豊かなキャンパスをつくり、神戸と世界の次世代を担う人材の育成、地域活性化への貢献を目指していくという。
人材育成では、「未来をデザインし、起動できる世界市民」を育むことが目標。新キャンパスの学生は4,000人程度、教職員は200人程度を想定。理系学部を主体とする神戸三田キャンパスと、文系学部を主体とする西宮市のキャンパスからそれぞれ一部を移転し、文理融合を目指す。
また、キャンパスの建物以外は基本的に一般開放し、図書館や食堂・カフェ、ホールやアリーナなどは地域住民や動物園利用者らも利用可能。さらに、社会人が知識や技術を学び直す「リカレント」、会社が人材を強化する「リスキリング」といった教育プログラムを提供するなど、地域交流も活性化させるという。
新キャンパスの開設は
2029~2031年になる見込み
神戸市は、王子公園内の土地約3.5haを約100億円で関西学院に売却する方針。今後は関西学院大学と事業計画を策定し、2023年秋頃を目途に基本協定を締ぶと見られる。
順調に話が進めば、2026年度末に土地を引き渡し、新キャンパスの開設は2029~2031年になる見込みだ。
数年後に関西学院大学の新キャンパスが開設される王子公園周辺。今後、文教エリアとしてのポテンシャルを活かせるか、にぎわいを見せられるか、期待が大いに膨らむ。
健美家編集部