パナソニックの拠点が、また、なくなる。2014年9月に茨木工場敷地が大和ハウスに売却されて物流施設等の事業用途に、2015年2月には門真市の「本社南門真地区」では三井不動産が「ららぽーと」を開業するとの新聞記事があった。
そして、今度は枚方市と八幡市の工場が閉鎖という発表だ。茨木工場や門真地区と比べ、今回の枚方/八幡の拠点は住宅需要が多いエリアではない。とくに枚方については工場団地のような立地。八幡については「パナソニック需要」で成り立っていた周辺賃貸住宅は打撃が大きいであろう。
工場や病院等の大規模施設が無くなると、そこで勤めている従業員等の住宅や飲食需要が無くなる。賃貸経営に取ってはマイナス要因だ。しかし、門真の例のように、集客施設がくるとなると話は別。地域に与えるプラスの影響も大きい。
なんといっても「ららぽーと」が来ることでエリアの知名度がアップする。また、買物の利便性が高まる。これまでの「本社南門真地区」周辺はそれほど駅に近いわけでもなく、商業施設などが充実しているわけでもないと、賃貸住宅市場において広域訴求できる立地ではなかったが、「ららぽーと」のようなビッグネームの商業施設がオープンすることで「ららぽーとが近いし便利で良いよね!」という人が必ず出てくるはず。そうなれば、従前と異なる層へアピールでき、ニーズが高まってくることもあり得る。
枚方市と八幡市については閉鎖が決定されただけで次の利用方法等はまだ発表されていない。物流基地、住宅開発、商業施設。何がくるかによって周囲の土地/建物の値打ちや最適な利用用途が変わってくる。パナソニック社員需要がなくなり収益価値が減った不動産は、そのまま不良資産となる可能性もある一方、次の展開次第でお宝になるかもしれない。今後の報道が気にかかるところだ。
健美家編集部(協力:田中和彦)