日本初の没入型エコロジカルリゾートへ
1957年の開園以来、多くの人々から愛されてきた大阪府岬町の「みさき公園」が、2020年3月に閉園。その跡地を利用すべく、株式会社ArkLE(アークル)は2022年9月、新たなみさき公園「MiLEX(マイレックス)」のプロジェクトを発表していた。
そして今回、“世界で最も美しい動物園”と称されるシンガポール動物園を運営する「マンダイ・ワイルドライフ・リザーブ社」を監修に迎えることになり、国内外からの訪問者が岬町の豊かな自然や生態系に触れ、学ぶことのできる計画へとブラッシュアップされることが発表された。
新たなみさき公園のMiLEXは、自然破壊や地球温暖化を引き起こす一因と考えられる自然・動物への意識や興味の低下を回復することがミッションとなる。
すべての生き物には神が宿っているという日本古来の考え方に加え、人間も自然も動物もすべて平等で、上下関係がないことを示す「共生き(ともいき)」の精神を感じつつ、自然環境や動物の保護を目的とする。
MiLEXは日本初の没入型エコロジカルリゾートとして、来園者はリゾートを楽しみながら、「共生き」へとつながる自然界への尊厳が感じられる施設となる。
当初の計画からの変更点とは
今回変更が発表されたMiLEXプロジェクトの内容は以下の通りだ。
まず、「亜寒帯」「亜熱帯」「サバンナ」という3つのドームを建築し、海外の気候を再現する計画を予定していたが、ドームの数を1つに変更。その分、岬町の自然を活かし、既存林を散策できる「森林・四季の散策エリア」を整備することになった。
また、当初は子どもたちが自然や動物について学べるインターナショナルスクールの導入を計画していたが、都市公園法の規定により、自然と戯れる場所を併設した「商業エリア/子どもの遊び場エリア」を整備することに変更された。
本格的な工事に入るまで、一部エリアを2024年春に暫定開園。海まで続く道を開放し、MiLEXプロジェクトの進捗や詳細を案内するための公園内事務所の設置、計画図やパースを放映するモニターの設置、公園内でのイベントを予定している。
シンガポール動物園の知見と岬町民の意見を鑑みること、33haという大規模な再開発計画になることなどを総合的に踏まえ、公園の整備スケジュールも変更。
2024年春に駅前広場やパブリックエリアの一部が暫定開園するほか、2027年頃には子どもの遊び場や商業エリアなど、2029年頃にはプレーリーホテル&SPAやツリーハウスなど、2032年頃には熱帯雨林ドームやドームホテルなどをオープンさせていく予定だ。
“大阪最南端”の地に再びにぎわいを
大阪府の泉南地域に位置する岬町は、大阪府と和歌山県の県境にある“大阪最南端”のまち。関西国際空港からほど近く、泉南地域の主要エリアである「りんくうタウン」からは、車、電車(南海電鉄)ともに30分ほどの場所にある。
また、山や海も近いことから「自然とふれあいたい」「アクティビティを楽しみたい」という人にとっては、うってつけのエリアと言えるだろう。
前身の動物園の機能を継承し、自然と動物にふれあえる体験型リゾートへと生まれ変わる新たなみさき公園。「みさき公園」でにぎわいを見せていた岬町の活気を再び取り戻せるか、注目が集まる。
健美家編集部