
住宅事業と再生可能エネルギーを軸として事業を推進
首都圏で鉄道事業や不動産事業を展開する東急ホールディングスとJR東日本は、2023年2月に2社間で包括的業務提携契約を締結したと発表した。
2社はそれぞれ経営ビジョン・成長戦略を掲げているが、包括的業務提携によってビジョンや戦略の実現を加速することが目的とされている。
業務提携の範囲は、住宅事業・再生可能エネルギー事業と海外事業展開とのこと。
住宅事業の部門では「多様な生活シーンを融合させた多機能複合型のまちづくりを推進する」ということで、既に第1号開発予定案件が発表されている。
船橋市のJR社宅跡地では再開発も
第1号の案件は「(仮称)船橋市場町プロジェクト」であり、千葉県船橋市にあるJRの社宅跡地を再開発するというものだ。

※引用:JR東日本
再開発の対象地は船橋駅の北口から徒歩で9分の場所にある。敷地の隣には船橋市地方卸売市場があり、市場の中には一般人も入れる飲食店があるなど、人や車の通行量はそれなりに多い。

船橋駅は南にある船橋漁港からあまり遠くないため、船橋の卸売市場にも東京湾の海産物が入ってくる。市場内の寿司屋や食堂は一般市民も利用可能だ。
再開発の現場では、現在JRの社宅を解体する工事が行われており、工事の囲いに貼られているお知らせからは、解体の半分程度は終わっているように見える。


現場に貼りだされている看板を見ると、完成建物はA工区・B工区の2つに分かれており、双方の建物とも住宅と商業施設が入るようだ。

なお、JR東日本のプレスリリースでは、開発用途の欄に住宅・商業施設と再エネ発電施設・コミュニティ施設ほかと記載されている。
現地のお知らせに記載されている以外の施設が入る可能性もありそうだ。
開発面積は合計で46,000u弱となっており、東京ドーム1個分に相当する。船橋駅周辺での都市開発はそれほどめずらしくないが、ここまで大規模なものはあまりないだろう。
建物規模はA工区が8階建て・B工区が10階建てとなっている。現場周辺にはマンションも多いため、建物の高さはそれほど目立つものではない。
しかし、広さ的には上述した市場の片割れ(市場の敷地は海老川という川によって2分されている)とそれほど変わらないため、インパクトはそれなりに大きいだろう。
JRのプレスリリースによると、再開発の完成時期は2026年以降となっている。
船橋駅の周辺は、南口の方に京成船橋駅もあるため、北口よりも南口の方が広範囲に活気があるように見える。

北口の周辺エリアも、再開発によって南口に負けないくらい活気づくことを期待したい。
他のエリアの再開発にも期待
JRと東急の業務提携期間は2023年2月〜2033年2月となっており、今後10年間に渡って業務提携が続くことになる。
また、船橋の再開発はプレスリリースに「第1号開発予定案件」とあるため、今後は他のエリアで第1号に続く開発案件が出てくる可能性もあるだろう。
船橋の再開発と併せて、他のエリアでの再開発にも期待したいところだ。
取材・文:
(はたそうへい)