江戸川を隔てて東京都と隣接
人気の住宅街最寄りの駅に商業施設
千葉県の西部、江戸川を隔てて東京都に接する市川市。都心から20㎞圏内に位置することからベッドタウンとして発展し、2000年時点の約44万人だった人口は直近で約49万人を超えている。これは千葉市、船橋市、松戸市に次ぐ規模だ。
都心部と県内各地を結ぶ広域交通網の集中する位置にあり、東西方面はJR総武線・京葉線、東京メトロ東西線といった鉄道が走り、国道14号線(千葉街道)などの道路も通っている。
都営地下鉄新宿線、京成電鉄、北総電鉄といった各鉄道、首都高速湾岸線や南関東自動車道など高速道路と、交通網は非常に充実している。
市南部の行徳地区は、東京メトロ東西線が通る区画整理が進んだエリア。かつては湿地帯で、江戸時代には塩田が作られ大量の塩が生産されていたが、現在は沿岸部が工業地帯となり企業の工場や倉庫が建ち並ぶ、物流の拠点となっている。一方、区画整理が進み道幅の広い新しい街として開け、人気の住宅街となっている。
東西線のうち市川市にあるのは南行徳駅、行徳駅、妙典駅の3つ。そのうち、行徳駅は相対式ホーム2面2線を有する高架駅。2022年度の1日平均乗降人員は5万人弱で、これは東京メトロ全130駅のうち68位となる。
駅周辺には行政施設や教育・医療施設、ショッピングセンターなどがあり、駅前の「かもねぎ商店街」をはじめとする商店街、その周辺には住宅地が広がっている。
6月下旬には、高架下に商業施設「M’av行徳(マーヴ行徳)」が開業。これまで駅周辺で展開していた店舗に加え、飲食店やデンタルクリニック、理髪店など6店舗が新たに加わった。
東京メトログループでは鉄道高架下用地の有効活用を進めていて、これまで東西線の高架下(西葛西~原木中山)では「M’avみょうでん」のほか、妙典駅を除く各駅でショッピングセンターの「メトロセンター」を開業し、飲食を中心に食販物やスーパー、コンビニなどの商業店舗を展開してきた。
「M’av行徳」もそのひとつで、既存店+6店舗を開業することで、駅の利用者や周辺住民にとって、魅力ある場所や価値の提供を目指すという。
東京メトロに限らず、高架化スペースの活用は鉄道各社にとって課題であり、チャンスでもある。日本は人口減時代に入り、将来的な鉄道利用客は減少する可能性が高い。いまある資源を再利用し新たな価値を創造して、鉄道以外の収益源を作る必要に迫られている。
また、渋滞の緩和など鉄道の高架化には大きなメリットがあり、各自治体は鉄道事業者とともに積極的に取り組んでいる。これに合わせ地域ニーズに合わせた開発を進めることで、まちの付加価値も向上するだろう。
これまでも駐輪場やトランクルーム、さらには福祉・子育て支援、買い物などの生活支援機能、医療施設や商業施設などを誘致してきた。
例えば、JR東日本なら、秋葉原~御徒町駅間をアクセサリーや革製品などのショップでつなぐ「2k540」、東急東横線・東京メトロ日比谷線中目黒駅の「中目黒高架下」、京急蒲田駅の「ウイングキッチン京急蒲田」などは有名で、いまも新たなプロジェクトが各所で進められている。
今後、都市部において高架下は空白地帯ではなく、地域に求められる施設が続々と誕生する、楽しくまちに賑わいを生むスポット化していくのではないだろうか。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))