駅の目前約2.6ヘクタールの敷地が対象
埼玉県の東部にある春日部駅前で再開発の計画が進んでいる。春日部駅は、東武アーバンパークライン(東武野田線)と東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)が乗り入れるターミナル駅だ。
東武鉄道が発表している資料によると、2022年度における春日部駅の1日平均乗降客数は61,279人。
JR東日本の駅と比較すると、新木場駅や飯田橋駅などとほぼ同数となっている。
アーバンパークラインは大宮・柏・船橋などの駅につながっているほか、スカイツリーラインは浅草・北千住・越谷などにつながっている。
鉄道による都内へのアクセスが良好なことから、春日部駅の周辺は首都圏のベッドタウンとして発展してきた。
今回再開発の対象になっているのは「春日部市中央一丁目地区」。春日部駅の西口を出てすぐ目の前に広がる約2.6ヘクタールの土地だ。
※引用:春日部市
春日部市が作成した資料によると、東武スカイツリーラインの東京メトロ日比谷線乗り入れに伴って、春日部駅周辺は首都圏のベッドタウンとして急速に成長してきた背景があるという。
ちなみに、日比谷線は東京の北千住から中目黒までをつなぐ路線で、霞が関や六本木など、東京都内でも大きなオフィス街を多く通過する。
交通アクセスの改善によって利便性が向上したことに加え、春日部駅周辺にはオフィスや医療機関等が多いことなどから、昼間の人口密度は高い。
その一方で、古くなって更新されていない建物や、青空駐車場などの低未利用地が増えており、街の空洞化につながることが懸念されている。
街の空洞化は訪問者や滞在者の減少を招き、いずれ地元経済に悪影響を及ぼすとの懸念から、再開発計画が持ち上がった次第だ。
そのほか、地元住民に対するインタビュー・アンケート調査では、春日部駅前において「公園・広場」や「子どものための施設」などを望む声が多いことがわかっている。
まちづくりのコンセプト
これらの課題点を受けて、春日部市が策定している「まちづくりのコンセプト」は以下のようなものだ。
- 誰もが安心・快適に歩いて回り、ゆったり過ごせる、愛着の持てる居場所づくり
- 豊かな日常を創出し、何度も訪れたくなるような、魅力的な目的地づくり
- 多様な人々の交流を生み出し、まちを育む拠点づくり
具体的には、既存の西口駅前広場を活かしつつ、対象範囲を3つのゾーンに分けて再開発していくという方針が示されている。
※引用:春日部市
1つ目の「安心・快適に歩いて回り、ゆったり過ごせる居場所づくり」という点については、歩行者ネットワークと車道の整備を進めるという。
2点目と3点目については、西口駅前広場からの連続性を感じさせる広場空間の整備や、歩行者の滞留を創出するような商業施設の整備などがアイディアとして挙げられている。
※引用:春日部市
現状の西口周辺は、ともすれば昭和的な雰囲気も漂っているので、再開発によってイメージ図のように街が変化するのであれば、街の印象もかなり都会的で明るいものになりそうだ。
今後の計画の行方に要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)