2023年10月30日付で国交省からの認可を取得
UR都市機構は、JR大船駅と藤沢駅の間に建設される新駅周辺における街づくりの構想である「村岡・深沢地区 土地区画整理事業」が、2023年10月30日付で国土交通大臣から事業認可を取得したと発表した。
新駅は村岡新駅(仮称)と命名されており、2032年頃に開業する予定。
土地区画整理事業は新駅を挟んで南北で計画されており、村岡工区と深沢工区に分かれている。
※引用:UR都市機構
上記の写真を見てもわかる通り、村岡工区の広さは約7ヘクタール、深沢工区の広さは約31ヘクタール。合わせて約38ヘクタールの広大な土地区画整理事業だ。
UR都市機構が発表したプレスリリースによると、事業期間は清算期間も含めて2038年度までとなっている。
村岡工区の整備計画
それでは、事業範囲の北側に該当する村岡工区ではどのような街づくりが予定されているのだろうか。
藤沢市が発表した資料によると、村岡工区における街づくりの中心は駅前の広場であり、その周辺に緑地や公園などを配置するというもののようだ。
※引用:藤沢市
今発表されている資料からわかることは、目立った商業施設などが建つと決まったわけではないということだ。
現状の村岡新駅予定地の周辺は「だだっ広くて何もない場所」と言って差し支えない。
何か目立った施設と言えば、武田薬品工業の研究所としても利用されている「湘南ヘルスイノベーションパーク」と、レンタルショップのTSUTAYAおよびドコモショップの入った建物がある程度だ。後者は建物として大きくもない。
また、路線バスも通っているには通っているが、本数は極端に少なく利用者もほとんどいないのが実態だ。
一方で、藤沢市が作成した資料を見ると、4つのテーマとテーマごとの方針が示されている。主だった方針は以下の通り。
- クリエイティブ産業やクリエイティブ人材が集まる場を作る
- 人々の滞留を促すような空間や施設を作る
- 緑や歴史的な資源を活かす
- 災害に強い街をつくる
1点目のテーマについては、既存の武田薬品の施設を活かすことを意識していると考えられる。
※引用:湘南アイパーク
2点目については、具体的な計画は示されていないものの、「レストラン・カフェ・雑貨屋」などのキーワードが資料に並んでいる。
3点目については、駅の南側にある鎌倉市内の寺や古道などを活かすことだ。
4点目については、敷地のすぐ近くに柏尾川という川が流れていることを意識したものだろう。
深沢工区の整備計画
一方で、深沢工区の方はというと、こちらも鎌倉市が既に大枠の方針を示している。全体的なコンセプトは「GREEN × INNOVATION」で、主として行政・居住・業務の3つの機能を集積することが計画されているようだ。
※引用:鎌倉市
村岡工区と同様に、深沢工区も湘南ヘルスイノベーションパークや湘南鎌倉総合病院が近隣にあることを活かし、ヘルスケア産業の創出を図ることを軸としており、その周辺で道路や住宅を整備するというものになっている。
その中には鎌倉市役所本庁舎の移転も含まれているが、一部報道によると、移転するために必要な条例の整備が難航しているという。
市役所新庁舎開設の時期に影響は出ているものの、計画が実現すればエリア一帯のイメージが大きく変わることは間違いないだろう。
駅の開業とともに、目に見えた変化が現れるのはまだかなり先のことだが、今後の進展に期待したいところだ。
取材・文:
(はたそうへい)