2001年の警察大学校及び警視庁警察学校の移転に始まる中野駅周辺の開発が急ピッチに進んでいる。
周辺では駅に始まり、新北口駅前エリア、中野四丁目西地区、新区役所、囲町東地区、中野二丁目地区、中野三丁目地区と開発計画が目白押しとなっており、実際に動き始めている計画も多数。今回のはそのうちのひとつ、南口の駅前広場に隣接する中野二丁目地区をみていこう。

この計画は市街地再開発事業と土地区画整理事業の一体的施行という手法を用いて、単に建物を建てるだけではなく、駅前広場の拡張整備、駅周辺の回遊性を高める交通動線の整備などを行い、駅南口一帯を総合的に変えようというもの。

開発が行われれる地域は西側が南口駅前広場、北側が千光前通り(幅員約8m)に接する約1.0haの土地で、駅前広場に面しては商業、業務の複合建物、その背後には1952、1953年に建てられた東京都住宅住宅供給公社の中野住宅が建っていた。
中野住宅は7棟248戸と当時としては大規模な団地で、建物は4階建て、30u弱の2Kという今から見るとコンパクトな住まいだったが、申込み開始はまだ戦後7年目の住宅不足時。大変な人気になったそうだ。
取り壊された後はかつての団地北側の土地に14階建て、203戸のコーシャハイム中野フロントとして生まれ変わっており、高層化して集約した土地を次に再開発で利用するというわけである。
この一画は駅に繋がる東西の道路がなく、高低差のある土地。また、南口駅前広場は歩行者、自動車双方にとっての空間が少なく、通過車両が多いことから、歩行者の導線が交錯するなどの問題もある。そこで、建物を建てるだけではない開発が模索されたわけである。
実際の計画では前述の駅前広場、交通動線の整備の他、敷地内に広場空間を確保することにもなっている。建物は北側に高さ約120m、20階建のオフィス棟、南側を高さ約150m、37階建の住宅棟を建設するというもので、両棟共に低層部には店舗等が配され、駅前の賑わいに資するものになるという。

建設予定の住戸は約400戸。中央線を挟んで反対側、北口の囲町東地区では2025年に700戸超の住宅の計画があることを考えると、これから数年の間に中野駅周辺の人口は一気に増えることになろう。参加組合員として再開発事業に参画しているのは住友不動産である。

2020年3月に工事に着工しており、今後のスケジュールとしては2024年2月に市街地再開発事業の施設建築物竣工、2025年度に土地区画整理事業の南口駅前広場工事完了となっている。ここ数年で駅周辺の景観は大きく変わるわけである。
中野区役所、中野サンプラザの建替えも
ちなみにそれ以外の中野駅周辺の開発では中野四丁目西地区、中野駅新北口駅前エリア再整備が大きなところ。後者は現在中野区役所、中野サンプラザがある場所の整備で、すでに事業者の公募は締め切られており、決定するのは2021年の1月以降である。ただ、実際に建物が誕生するのはだいぶ先になる。というのは区役所の移転が先にあり、その後に中野サンプラザ閉館予定となっており、玉突き状に開発が進む予定だからである。
順に説明すると、中野区役所は現在の中野体育館敷地に建設される予定で、着工は2021年7月、竣工は2024年6月が予定されている。新しい区役所は地上11階、高さ約50mで地下2階建て。区議会、東京都第三建設事務所も入る。
区役所移転後、中野サンプラザが閉館し、それらの跡地などが「中野駅新北口駅前エリア再整備」として再開発される。7000人収容のアリーナや超高層複合ビルが誕生する予定となっており、完成は2028年度末頃。駅周辺の整備の掉尾を飾る計画というわけである。
中野四丁目西地区はその少し前、2026年度の供用開始が目標。計画としては地上42階、高さ165mのタワーで住宅が1000戸近い住宅が入り、それ以外では店舗、オフィス、子育て支援施設、駐車場・駐輪場など。2022年度に解体工事に着工する計画である。
これから10年と経たないうちに中野駅前は激変する。どのような街になるか、注目していきたい。
健美家編集部(協力:中川寛子)