※引用:名古屋鉄道
神宮前駅周辺の状況
愛知県名古屋市の名鉄神宮前駅周辺で、2つの商業施設の開発が進んでいる。
名鉄神宮前駅は名鉄名古屋駅から3駅目で所要時間は6~7分。名古屋の都心からほど近い場所にある。
「神宮前駅」という駅名の由来は、駅の西にある熱田神宮にあり、熱田神宮は市内で最も多くの人を集める観光資源だ。
※引用:愛知県
2021年の名古屋市観光客・宿泊客動向調査によると、熱田神宮を訪問した人の数は約310万人。なお、コロナ前の2019年には約740万5,000人が熱田神宮を訪れている。
名古屋市内で熱田神宮の次に集客力のある観光資源は東山動物園だが、2019年に東山動物園を訪れた人の数は約251万4,400人。
熱田神宮を訪れた人数と比べると3分の1強になっており、熱田神宮の集客力がいかに強いかがわかる。
神宮前駅の西口を出てすぐのところに熱田神宮があり、駅前通りとなる大津通沿いには「神宮前商店街」というアーケード商店街がある。
しかし、商店街にはシャッターを下ろしたままになっている店もあり、活気があるとはあまり言えないような状況だ。
一方で、東口側はオフィスビルとマンションが混在するような街並みになっており、こちらも観光客の消費を促すような商業施設などは建っていない。
熱田神宮は観光資源として大きな集客力を持っているが、その集客力が地元での消費につながっているとは言いづらいのが現状となっている。
2024年にオープンする2つの商業施設
神宮前駅の周辺では、現在2つの商業施設の開発が進んでいる。1つは西口の目前で建設されている「あつたnagAya」だ。
こちらは名鉄が開発を進めており、約7,000㎡の敷地に木造平屋建ての施設が3棟建設される。
※引用:名古屋鉄道
開業予定は1期と2期に分かれており、1期開業は2024年9月の予定。2期の開業予定は2024年12月だ。店舗数は3棟合計で15店舗とのこと。
15店舗のほかにも、ワゴンやキッチンカー等を誘致して賑わいの醸成を図るという。
コンセプトは「地域で継がれる魅力を嗜み、再発見できる場所」とされている。観光客が集客の主なターゲットとなっている。
開発が進んでいるもう1つの商業施設は、駅東口から通りをまっすぐ約1.2㎞進んだ先にある「iiNEマルシェ」だ。
こちらは、中部電力のグループ会社が約20,000㎡ある社宅の跡地を住宅と商業施設に分けて開発しているもので、約12,000㎡が商業施設となる。
商業施設は3棟に分かれており、3棟合計の延床面積は約6,000㎡だ。こちらも食料品店・ドラッグストア・クリニックなど、13店舗のテナントがすでに決定しており、第1弾が2024年4月にオープンする予定。
ちなみに、住宅は2025年6月に分譲マンションが竣工する。分譲予定戸数は135戸。
iiNEマルシェの方はどちらかというと地域密着的な商業施設であり、あつたnagAyaの方は観光客をターゲットとした商業施設だ。
地元とインバウンドの双方で消費が盛り上がれば、神宮前駅周辺の経済活性化を期待できるだろう。
なお、駅の周辺では今回開発対象エリアの南北でも別の再開発が検討されているということで、今後さらなる都市開発の構想が持ち上がってくることもありそうだ。今後も神宮前駅周辺エリアの動向に要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)