この家を買えると再建築可能になるのです
■ 私のメインバンク( ノンバンク) へ意気揚々と融資打診
12号物件は再建築不可物件だったので、一般の銀行からは融資を受けられません。そのため、ノンバンクで融資を受けていました。
私としては『 再建築不可物件が、隣地を買うことによって、キレイな制限のない土地に生まれ変わるのだから、担保価値もUPする。当然隣地の買い取り資金も融資してくれる! いや、しないはずはない! 』と思っていました。
担当者に「 いい話ですよ! 」と、言わんばかりにメールに資料を添付して送信しました。しかし、返ってきたのは意外な回答でした‥‥。
ノンバンク担当者
「 斉藤さん、2017年に1,880万円、2018年には2,090万円。4件も融資しているのでしばらくは貸せません 」
斉藤
「 でも隣地ですよ。共同担保も出しますのでなんとかお願いします 」
ノンバンク担当者
「 ダメです 」
斉藤
「 では他の金融機関に相談しますが構いませんか? 」
ノンバンク担当者
「 構いません 」
・・・というわけで、まさかの融資不可!!!!
思えばこの時期は某地方銀行の融資審査の不祥事でこのノンバンクが大忙しだったのでしょう。
さらにタイミングが悪いことにこの担当者は翌月に転勤を控えていました。担当者の忙しさ具合や12月という時期も、私のような融資額の小さい客を断る要因になってしまった可能性は高いと思われます。
ちなみにこちらのノンバンク、融資総額が5,000万円以上になると金利が年3.9%から2.9%に下げてもらえるという「 大口割引 」があります。それも狙っていたので残念です。
別の金融機関から融資を受ける際には12号物件の2順位に担保設定することも了承してもらい、やむを得ず「 転進 」です。
■ 日本政策金融公庫へ融資申し込み
隣地に1番の抵当権を設定しているノンバンクに筋を通して先に相談しましたが、謝絶されてしまったので仕方ありません。そもそも購入対象物件は再建築不可の建物ではありません。
よって、一般の金融機関でもいいだろうというわけで、私は次に日本政策金融公庫に融資を申し込みました。日本政策金融公庫は融資期間は10年と短めですが、圧倒的低金利、フルローンも可能、担保設定が後日で良いなど、柔軟な融資に定評があります。
利回り10%程度の物件を公庫10年で組むと、キャッシュフローはゼロです。しかし、他の物件からの収益でカバーすればいいですし。元金の返済分は利益になるわけで、返済も早く進むので、GOです!
■ なんと!『 違法建築物件 』であることが判明
そういえば敷地一杯に3階建…
当初、公庫には物件価格1,000万円、リフォーム費用等300万円の合計1,300万円で申込をしました。当然融資してもらえるものと強気の申込です。必要書類を全て提出した2019年1月、担当者から連絡がありました。
公庫担当者
「 すみませんが、建物の容積率がオーバーしているようですので、このままでは融資ができません 」
斉藤
「 どうしたらいいですか? 」
公庫担当者
「 検査済証の提出をお願いします 」
斉藤
「 ありません 」
公庫担当者
「 オーバーしている部分を取り壊していただくとか 」
斉藤
「 検討します 」
公庫は国家が経営する金融機関ですから、国家の法律で「 違法 」とされる不動産を担保に融資をして、「 違法 」な不動産で賃貸経営をするということを許してはいけないのは当然です。残念ながら公庫さんも一旦保留とします。
一階のLDK
■ 東証一部上場の不動産担保ローン会社に相談
次に相談したのは東証一部上場の不動産担保ローン会社です。金利5%~と高めですが、繰り上げ返済手数料がなんと無料!!!
「 ドンドン繰り上げ返済をすれば高金利も怖くない 」というわけで、担保設定がない不動産を担保提供することを条件に融資を申し込みました。
しかし、スピーディな融資判断に定評のあるこの会社、2日後に「 ゼロ回答 」となりました。
■ 建物を維持することを諦めて公庫に融資を再度打診
会社勤めの合間に融資付けに奔走して、何とか建物を残して賃貸することを目指しましたが、ノンバンク2社に断られたことで私もついに諦めました。残念です。
公庫さんの提案通り、建物を解体して更地にする前提での融資をお願いしました。最終的に、物件価格900万円と解体費用の一部100万円の、合計1,000万円の融資条件となり、無事に2019年3月末に引き渡しとなりました。
天井が屋根の形になっている最上階
■ 投資としてはいまひとつ…
12号物件は775万円で購入して購入費用に約60万円かかっています。この土地は900万円で購入し、諸費用で200万円程かかりました。合計で1,935万円かかったことになります。
さらに将来、12号物件を更地にしたら解体費用が150万円程かかり、投資総額は合計2,085万円です。そしてやっと私の再建築不可の土地は道路に接して、ファミリータイプにピッタリな戸建用地75㎡となるわけです。
このエリアの土地価格は路線価で1㎡あたり20.5万円。実際の取引価格で1㎡あたり35万円が上限だと思います。私道負担も14㎡ほどありますので、売れば2,400万円というところ。売る際の仲介手数料も80万円程度かかるとすると‥‥。
2,400万円( 売値 )-2,085万円( 原価 )-80万円( 売却時仲介手数料 )
=235万円( 利益 )
=235万円( 利益 )
という計算になります。すごく手間がかかった割には利益が235万円しかないというのは寂しい気がします。
一方で、再建築不可だった戸建の出口はちゃんとできる! ということも実証できたのはよかったかなと思います。売るときはしっかり投資金額は回収でき、保有期間内は賃料収入で収益を上げることができる。
そう考えれば損をするわけでもありませんし、いい勉強になったと思った方がいいかもしれません。さらに記事にも書けて皆さんに紹介できるわけですからね! 感謝です。