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高属性強みに大家デビュー。所有する4棟中3棟で金利4%台スタート。あらしさんの現在地

不動産投資全般/投資家インタビュー ニュース

2024/04/25 配信

大手の金融機関に勤めるあらしさん(40代独身)は国内に4棟のアパート・マンションと海外不動産2戸を所有。大手金融機関勤務、年収1000万円超えという個人の属性を活かし2010年に不動産投資をスタートさせた。スタート時には頭金2000万円以上を保有しており、順調に規模を拡大していけるはずだった。

ところが個人の属性を使い切ってしまったためか、国内での借入に苦戦し続けている。また海外不動産でもプレビルドで倒産の憂き目にあってしまった。これまでのあらしさんの歩みを紹介したい。

2棟目に購入した中古アパート。1棟目の満室に8か月かかった反省から、2棟目は満室状態で購入。利回り15%超、所有物件内で一番の稼ぎ頭
2棟目に購入した中古アパート。1棟目の満室に8か月かかった反省から、2棟目は満室状態で購入。利回り15%超、所有物件内で一番の稼ぎ頭

1棟目の建売新築RCの入居に苦戦。2棟目に利回り15%APを満室で購入

不動産投資歴13年超のあらしさんの、国内での投資歴を見ていきたい。

あらしさんは小学生の頃から不動産投資に興味があったという。

「母方の祖父が事務所や駐車場などの不動産を所有していたので、子ども心に影響を受けました。モノポリーも好きでしたので、大人になってお金が貯まったら不動産を購入したいと思っていました」

先だって中学時代に株式投資をスタートし、その後始めたFXでも大きく負け越したことはないという。金融機関への入社が決まると株やFXは卒業した。子どもの頃から憧れていた不動産投資はサラリーマンと兼業しやすいことから物件購入に向けて頭金を貯めていった。

30代になり2000万円を超える資金ができたところで2010年に念願の不動産を購入する。

当時は収益不動産の情報は少なかったそうで、インターネットでサイトを見つけてはメールマガジンに登録し、物件の問い合わせを繰り返した。土日の休みを利用して20棟超を内見の末、ようやく手に入れた1棟目だった。

購入したのは北海道にある利回り10%の新築建売のRCだ。1LDKと2LDKの16戸で物件価格は約1.4億円だった。当初は2000万円を超える預貯金を頭金にと考えたが、フルローンが引けると聞き、販売会社があっせんしたX銀行で約1.4億円の融資を引いた。金利4.5%、融資期間は35年。諸経費の約1000万円は現金で支払った。

「20棟ほど物件を見ましたが、中古の上、木造、一部鉄骨造でした。購入した物件は、RCという構造のわりに利回りがよく、かつワンルームでもなく、立地も良かったのでこの利回りなら4.5%の金利でも回るかな、と思いました」

振り返ればということになるが、あらしさんのような融資の出やすい高属性サラリーマンこそ、1棟目の目利きがもう少し必要だったのかもしれない。あっせんを受けた金融機関からの金利4.5%スタートではなく、自ら融資先を開拓する方法もあっただろう。物件価格約1.4億の新築RCが満室になったのは購入から8か月後のことだった。

「ワンルームは客付けに苦労すると考え1LDKと2LDK物件を購入したのですが、想像以上に競合が多くスムーズな客付けができませんでした。

管理会社との連携不足もありましたし、仲介店へのADが3か月必要になったこともすぐに黒字化できなかった要因の一つです。不動産取得税を差し引いても最初の1年間は年間100万円ほどの赤字でした。

この経験から新築を買うと空室からのスタートで満室まで予想以上の時間がかかることが分かりましたので、利回りが十分に出る満室の中古物件を買おうと2棟目を探しました」

1棟目の購入から約1年後。2棟目に買ったのは東海地方の24戸の単身向け中古アパートだった。

大企業の工場に近く賃貸重要の多いエリアだが、市街化調整区域にあるため担保価値が低い。その一方で競合物件の少なさが強みとなっており、購入から12年経っても満室状態にある。利回りは15%超えであらしさんが所有する4棟の中では一番の稼ぎ頭だという。

この2棟目は物件価格が約8000万円。1棟目と同じ販売会社から購入し、頭金1割を入れてX銀行から借入をして購入。金利は4.5%、融資期間は耐用年数オーバーの24年だった。

年間100万円を超える赤字を出していた1棟目も購入から2年で3件の退去があったが、購入当初と比較して入居者は安定してきたようで、購入から2年目に年間10万円程度の赤字に抑えられるようになった。

金融機関との交渉に成功。金利4%台から2%台へ引き下げ

2棟目の満室稼働を追い風に、さらなる規模拡大を考えていたあらしさんだが、2棟目の購入でよくいわれる個人の借入2億と言われる壁に到達してしまい、3棟目の購入は難航。ようやく4年後の2015年に3棟目を購入。某収益不動産会社が販売する新築木造の単身向けの建売だった。

3棟目の融資では、1棟目、2棟目の融資を引いた金利4.5%のX銀行にあらしさん自ら融資の依頼をするも承認は下りなかった。地銀や信金も当たったが、良い返事はもらえなかった。

そのため販売会社のあっせんで、海外の金融機関から約6500万円の金利3%台のフルローンを35年で引いて購入。利回り6%台と低かったが、通学や通勤に便利なエリアでありその資産性の高さと、販売会社による海外系の金融機関のあっせんが決め手となった。諸経費の支払いには2棟目のキャッシュフローとサラリーマン給与を当てた。

4棟目の購入は2017年。再度X銀行から融資を引いて東北地方に約8000万円の中古アパートを購入。

当初は4.8%の高金利だったが、2018年にかぼちゃの馬車の問題が明るみになると、ヒアリング名目での面談機会がX銀行側から設けられた。思い切って「金利が高いのでもう少し引き下げていただけないでしょうか」と低姿勢で切り出したところ、2%台まで引き下げに応じてもらえたそうだ。

計4棟のアパート・マンションと海外不動産も併せた現在のCFは約600万円だという。

その後は、債務超過状態ということもあってか、国内では手詰まり状態にある。

天災リスクから物件を地方に分散するも、地銀・信金から借入できず

金融機関での借入先に苦戦している理由は3つ考えられそうだ。

1つめは、全国でアパートローンを積極展開していた某X銀行から1、2棟目、4棟目の融資を受けたことだ。

約3億5000万円の総借入額のうち、8割がX銀行の借入。1~2棟目の金利が4.5%、4棟目にいたっては金利4.8%とさらに高かった。融資先の金融機関は、いずれも販売業者からのあっせんだった。前出のとおり2度の金利交渉で、2%台まで下げることができた。

金利の引き下げで収支はやや改善されたが、年収の20倍を超える借入で債務超過状態にあり、4棟目購入以降、新たな融資先を開拓できずにいるという。

2つめは北海道、東海地方、東北地方と広範囲に物件を購入したためだ。

それはあらしさんなりの考えからだった。

「融資のことを考えたらドミナントでまとめるのがいいと思うのですが、天災リスクを考えると、何かあった際は保険で全部まかなえるわけではないですから、地域分散して購入するようにしています」

ただ、全国規模で融資を実行する金融機関は限られている。1棟目、2棟目と銀行開拓を販売業者任せにしてきたあらしさんだったが、3棟目以降は自ら金融機関の開拓に取り組んだ。

だが都銀にアタックするも断られ、新規で地銀や地元の信金に融資の依頼をするも、各地に点在する所有物件がネックととなり話は進まなかった。

担当者から「今後物件所有地に引っ越しをする予定はありますか?」と聞かれたこともあるが、その土地に地縁も血縁もなく、本業のため関東に暮らすあらしさんが引っ越せるはずもなかった。

3つ目は、あらしさんの仕事は内勤が中心。就業時間中、自由に外出することが難しい環境にあり、販売業者があっせんする金融機関で融資を受けることになったことだ。

「新規の融資先を開拓したい」と海外不動産に手を出すも…

次にあらしさんが目を向けたのは海外不動産投資だった。

国内のノンバンクで融資を引いてアジアに利回り10%のオフィス1戸を購入。1000万円以下の小規模融資を引いて実績を作り、ノンバンクでの次の展開に期待したが新たに国内物件を持ち込んでも融資はつかなかった。

施工会社の破産で頓挫したヨーロッパのプレビルド物件。写真の建物横に学生アパートが完成するはずだった

また、国内の政府系金融機関から融資を引いて、ヨーロッパでプレビルドの学生アパートを購入したのだが、施工会社が倒産するという憂き目も経験した。

「東南アジアのプレビルド物件では話を聞きますが、ヨーロッパでしたし、隣にはすでに完成済みの棟が建っていましたので完成を待たずに倒産するなんて思ってもみませんでした」

ほかにも融資先の開拓のため定期預金口座の開設や投資信託の購入も考えたという。しかし「債務超過状態にあるので融資できません」と金融機関に言われてからというもの、「どこに打てば良いのか、先手を打つ価値があるのかと考えてしまいます」と話す。

借入総額は約3億5000万円で約2億5000万円の残債を抱えるあらしさん。個人の属性を使い切ってからはなかなか浮上できずにいる。

打開策として考えられるのは足を引っ張っている1棟目RCの売却だ。新築時より家賃は5%~10%下がっており、AD3か月分の負担も重くのしかっかっているという。

「売却も何度か考えましたが、売却して残債と相殺ができるかどうか。追加で個人での借入ができないとなると現状維持で良いかなという。中途半端に思われるかもしれませんが……」

多くの不動産投資家にいえることだが不動産投資をするにあたり何をゴールとするかで戦略は変わってくるだろう。あらしさんの場合は、勤務先の大手金融機関での仕事や収入には満足しており、このまま投資活動として続けられたら、という考えだ。

「会社を辞めたら本当に人との接点が減ってしまいます。本業もあって、不動産の収入もある今の状態を維持できたらと思います」

法人を設立し、法人で不動産を買い進める方法も考えたが家族に代表の成り手がいなかった。自らが代表となれば会社経営となり、勤務先に言い訳ができなくなると考え、投資として個人で買い進めるほかないと思っている。

それでも3棟の融資をX銀行から4.5%、4.8%スタートで引き(後に交渉し金利2%台)、残りの1棟を海外系の金融機関で3%台(後に交渉し2022年から金利2%台)の融資を引いて保有し続けられる点はさすがだ。高年収のサラリーマンでなければ物件を所有し続けられなかっただろう。

今後、経年により所有物件の家賃がもっと下がり、入居付け場面でのさらなる苦戦も十分に考えらえる。思い切った意思決定によりあらしさんの賃貸経営が改善に向かうことを期待したい。

執筆:スドウミキ(すどうみき)

スドウミキ

■ 主な経歴

出版業界で20年勤務。不動産分野を専門とする雑誌での取材・編集をきっかけにサラリーマン大家の夫と出会い結婚。2022年宅地建物取引士の資格を取得。夫の勧めで法人を設立し、築古アパート1棟を購入する。1歳の子どもを持つ一児の母。

※ 記事の内容は執筆時点での情報を基にしています。投資等のご判断は各個人の責任でお願いします。

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