万博会場へのメインルートで
利用客の増大が見込まれる「弁天町」駅
JR西日本は2022年11月、2025 年の大阪・関西万博に向けた取り組みとして、大阪市港区の「弁天町」駅の改良計画を発表。現在の駅舎の南口改札と北口改札の間に新駅舎を整備し、改札口も新たに設置するというものだ。
この計画に至った背景としては、既存施設の老朽化やバリアフリーの課題はもちろん、万博会場へのメインアクセスとなる大阪メトロ中央線とJR大阪環状線の乗換駅になることが大きい。
特に、大阪メトロ中央線は万博会場の「夢洲(ゆめしま)」まで2024年度中に延伸し、会場へ直接乗り入れる唯一の鉄道アクセスとなる。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が集計した交通手段別の来場者内訳では、55%の来場者が中央線を利用すると見込んでいるという。
もっとも、弁天町の周辺には、アミューズメント施設や観光スポットも複数点在。2019年に温泉テーマパーク 「空庭温泉 OSAKA BAY TOWER」が駅前に誕生したほか、自転車を使えば「京セラドーム大阪」までラクに足を運ぶことができ、「海遊館」のある大阪メトロ「大阪港」駅までは2駅でアクセスできる。
乗車や下車はもちろん、乗り換えも含め、そもそも多くの客が利用している駅だ。
「交通科学博物館」跡地を
新駅舎として活用
「弁天町」駅の改良計画については、「弁天町」駅の新駅舎は、京都鉄道博物館に機能移転して2014年に閉鎖された「交通科学博物館」の跡地を活用。
新駅舎にはエレベーター2基やエスカレーター上下4基、バリアフリートイレ2カ所を設置。2023年3月には、JR大阪環状線の1番・2番のりばに改良型可動式ホーム柵を設置すると公表されるなど、課題のバリアフリー機能を大幅に向上させる。
また、大阪メトロ「弁天町」駅とのスムーズな乗り換えを実現するため、段差なくフラットに移動できる乗り換え連絡通路を、大阪メトロと共同で整備。さらに、JR「弁天町」駅の内回りホームには、この連絡通路と直結する改札口も整備する。
ちなみに、万博期間中は新駅舎と連絡通路の活用に加え、既存のJR改札と大阪メトロ改札の移動導線により、スムーズな乗り換えを実施する模様。これらの改良計画は2025年春までに終わらせ、万博開幕前の開業に間に合わせる予定だ。
大阪メトロ「弁天町」駅の
デザインもリニューアルへ
2022年4月には、大阪メトロが御堂筋線・中央線の計9駅のリニューアルデザインを公開した。
その一つに挙げられる大阪メトロ「弁天町」駅は、万博やIRで乗り換えする利用客の増加に伴い、明るく使いやすいデザインにリニューアル。大型デジタルサイネージを取り入れることで照明や映像による演出を行い、アートを体感できる空間に駅を昇華させるという。
万博期間中の利用客は現在の約3倍にまで増加すると言われている「弁天町」駅は、JR、大阪メトロともに新しく生まれ変わる予定。国内外から訪れる多くの利用客を迎え入れるだけの機能・デザインを携え、来る大阪・関西万博に備える。
健美家編集部