2024年問題に向けて
先進的な物流施設の開発・運営を目指す
今年4月、三井不動産は、ロジスティクス事業における新規開発物件と、今後の事業計画について発表した。
2012年からロジスティクス事業をスタートした同社。現在までの累計総投資額は約8,500億円、2023年度中には1兆円に達する見込みだという。
この事業計画の背景にあるのが、物流業界で近年問題となっている「2024年問題」だ。拡大の一途をたどるEC市場だが、一方で運搬ドライバーの長時間労働や労働力不足が課題となっており、2024年には、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用される。
この規制より、流業界の売上鈍化、運賃上昇など、さまざまな問題が生じる可能性が危惧されているのだ。
リリースによると、この「2024年問題」への対策として、限られた人的リソースによる効率的なオペレーション構築や、従業員の負担軽減のための取り組み等が求められることを想定。今後も多様なニーズに応える先進的な物流施設を開発・運営を目指すとしている。
また同社は、自ら商業施設やECサイトにてオムニチャネルを提供してきたノウハウを活かし、「EC特化型物流センター」を開設。
先端技術を活用したDX施策、従業員満足度(ES)向上施策を推進すると共に、数々の物流施設を開発・運営してきた実績、パートナー企業などとのネットワークを活かし、労働力不足をはじめとする物流業界の課題解決のための取り組みを行っていく。
「イノベーション推進室」を新設し
DX活用による課題解決に寄与
これまでも物流DXの最先端機器体感ショールーム「MFLP ICT LABO」の開設や、物流総合コンサルティング会社「MFロジソリューションズ」の設立など、DXを活用した物流事業のイノベーションを推進してきた同社。
顧客の課題解決や物流戦略策定のサポートに注力するべく、DXによる省力化・機械化ニーズに特化した専門部署として「イノベーション推進室」を新設。
1)50社のサポート企業と連携しつつ最適なソリューションを提案する新サービス「MFLP &LOGI Solution」の提供開始
2)倉庫作業の大半を自動化した「EC特化型物流センター」を開設
3)将来的なドローン配送を見据えた賃貸用R&D区画の整備(「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」)
等を行っていくという。
「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」賃貸用R&D区画イメージ(リリースより)
また、サステナビリティへの取り組みとして
1)従業員満足とD&Iを追求した環境づくり
2)太陽光発電設備を最大限設置、自然エネルギーの更なる活用
3)全施設の共用部供給電力100%グリーン化
4)新築・既存全物件の外部認証取得率を100%に
5)地域に根差した物流施設の実現
を目指すと発表している。
国内で新規に開発をされるのは以下の6物件。この追加により、同社のロジスティクス事業で開発される施設は、竣工稼働施設が国内43物件・海外1物件・延床面積約370万㎡に、
開発中施設の国内15物件・海外3物件を合わせて計62物件、総延床面積は約530万㎡になるという。
<国内で新たに開発される6物件>
(1) 「三井不動産ロジスティクスパーク船橋南海神」
千葉県船橋市 2027年1月竣工予定
(2) 「三井不動産ロジスティクスパーク入間Ⅰ」
埼玉県入間市 2025年7月竣工予定
(3) 「三井不動産ロジスティクスパーク入間Ⅱ」
埼玉県入間市 2026年6月竣工予定
(4) 「三井不動産ロジスティクスパークつくばみらい」
茨城県つくばみらい市 2025年2月竣工予定
(5) 「三井不動産ロジスティクスパーク尼崎Ⅰ」
兵庫県尼崎市 2025年5月竣工予定
(6) 「三井不動産インダストリアルパーク海老名」
神奈川県海老名市 2026年6月竣工予定
「2024年問題」を目前に控え、これからも注目を集めるであろう物流業界。そのソリューションを提供する同社の事業も、今後拡大が見込まれる。
新たな雇用と人の流れを生み出す大型ロジスティックパークの開発だけに、今後も注目していきたい。
健美家編集部(協力:
(さいとうかずみ))