JR中央線中野駅前では2001年に北口のサンプラザ、中野市役所並びにあった警察大学校及び警視庁警察学校の府中への移転を機に駅前エリアの開発が始まっている。
もともと、中央線沿線は、駅周辺なども含め、古い木造住宅等が残されている、避難場所となる公園がない、道路幅が狭いなど防災上の懸念を抱えており、駅近くに広大な土地が生まれたのは防災的な観点からも歓迎すべきことだったのである。
その土地を利用して2012年度にまちびらきが行われたのが「中野四季の都市(まち)」。公園を囲む建物にはオフィスや大学などが入り、子どもの遊び場も誕生。働く人や学生などが年々増加、これらの影響で中野駅周辺を訪れる人は開発前に比べて約2万人増加しているそうである。
それに伴い、それまでオタクのまちのイメージもあった中野が住宅街、住みたい街として認識されるようになってきてもいる。
そもそも、中央線に加え、東京メトロ東西線も利用できる中野駅は始発もあって、交通利便性は非常に高い。その上、駅周辺には多数の飲食店が集まっている。最近では住宅が増えたことで生鮮食料品を扱うスーパーも増え、住みやすさも年々アップしている。 そうした状況下で新たに開発が決まってきている。

まずはそのうち、中野を変えた「中野四季の都市(まち)」と道を挟んで向かい側、中央線の線路に沿って細長い土地を利用した「囲町東地区第一種市街地再開発事業」である。
同プロジェクトは2020年9月16日に市街地再開発組合設立について東京都の認可を受けた。敷地は約2.0haあり、ここに住宅(約720戸)と商業施設・オフィスが建設される予定で、合わせて隣接する区立囲町ひろばと一体となる広場も作られる計画となっている。

建物は駅に近いところに低層に商業施設、上階にオフィス、住宅が入る棟が建ち、その奥に広場を挟んでもう1棟の住宅という構成。駅に近いほうの住宅が24階建て、奥が20階の予定で、高さはそれぞれ約100m、90m。

駅前では新北口駅前広場が整備される予定だが、そこからはペデストリアンデッキ等の歩行者動線を整備する計画となっており、駅直結のマンションということになる。
今後のスケジュールとしては2021年に権利変換計画認可を受け、同年の11月に工事に着手、2025年3月に竣工の予定。事業者は三井不動産レジデンシャル。
さらに、その奥にあたる囲町西地区でも市街地再開発事業が検討中とのこと。区画は現在のプロジェクトに比べるとややコンパクトだが、それでも十分タワーマンション等が建つだけの広さはある。さて、どうなることか。
健美家編集部(協力:中川寛子)