
交通利便性の高さと都市機能の多彩さが特徴のエリア
東京都心の千代田区飯田橋駅西口側で再開発計画が進んでいる。
なお、2019年以降11回の会合を経て、2023年に千代田区は再開発計画の前提となる「飯田橋駅周辺基盤整備方針」を策定しており、方針の中では飯田橋駅の周辺エリアで解決すべき課題が提示された。
方針の中で指摘されている駅周辺エリアの特徴は以下の通り。
1点目は交通利便性の高さに関連するものだ。飯田橋駅にはJR・東京メトロ・都営地下鉄など鉄道5路線が通っており、1日あたりの乗降客数が40万人を超えている。
加えて、外堀通り・目白通り・早稲田通りなどの幹線道路が交差する道路交通の要衝だ。

また、駅周辺に複数の医療・福祉・教育施設が集積していることが2点目の特徴として挙げられている。
そのほか、小石川後楽園や神楽坂などの歴史的な資源も点在しており、観光客の集客などに一役買っていると言えるだろう。
一方で、飯田橋駅周辺エリアにおける課題として、千代田区は以下の点を認識している。
まず、駅周辺の歩行者空間は混雑しており、駅とまちをつなぐ回遊性や利便性に課題がある。
飯田橋駅の西側には神楽坂があり、神楽坂エリアは周辺に勤務する人々などの人気を集めている。

しかし、特に地上の歩道と地下鉄コンコース、歩道橋を結ぶ縦方向の移動がスムーズではなく、駅周辺の回遊性を妨げている。
加えて、駅の西側と違って東側には駅前の滞留空間や交通結節点にふさわしい都市機能が不足しており、まちの顔となる魅力的な空間が形成されていない。
飯田橋駅周辺エリアの課題を踏まえて千代田区が示しているまちづくりの方向性の1つは「地域らしさ・暮らしやすさ・活力とにぎわいを育む」というものだ。
具体的には、業務・商業・宿泊・住宅・教育・医療施設など多様な機能が集積した拠点の形成を目指す。
加えて、医療・福祉・教育・スポーツなど、地域の「暮らしやすさ」を高める機能の育成にも力を入れる方針だ。
もう一つの方向性は「つながりを強化するまちづくり」だ。これは「駅と駅」「駅とまち」「まちとまち」のつながりを強化することを指している。
具体的には、歩行者デッキの整備等によって、飯田橋駅の周辺に跨る千代田区・文京区・新宿区を安全・快適につなぐ歩行者ネットワークの形成を図る。

また、駅前には、まちの顔となるゆとりと賑わいのある広場空間をつくる。
再開発計画の概要
飯田橋駅西口の東側では「富士見二丁目3番地区再開発」が進んでおり、6月初頭には再開発準備組合の設立が申請された。
再開発の対象エリアは駅西口の東側で早稲田通りと大神宮通りという通りの交差点角地だ。

※引用:千代田区
現在は雑居ビルが建ち並んでおり、1階には飲食店などが入っている。
再開発によって2つの建物が建つ予定で、地上130mの高層ビルと、地上40mの中層ビルの2棟を建設する計画だ。
高層ビルの主要用途は事務所、店舗、住宅、公共公益施設等で、低層部には、周辺開発と一体性に配慮した広場や安全で快適な歩行者空間となる貫通通路を整備する。
加えて、地域住民や来街者等の利用に供する滞留空間となる広場も設ける計画だ。
駅周辺の課題点として挙げられている、滞留空間の形成や都市機能の集積といったあたりのポイントを解決する施設となることが期待される。
飯田橋は東京都心の真ん中とも言えるような場所であり、駅の東側・南側が寂れているというわけではない。
一方で、駅前の交差点や神楽坂エリアなど、街の顔となるようなスポット・街並みは駅の北側と西側に集中している。
駅の東側・南側にも再開発によって人を集めるスポットができれば、飯田橋の街としてのブランド向上につながるのではないだろうか。今後の展開に期待したい。
取材・文:(はたそうへい)







