
2025年を通して、シルバー(銀)と並んでプラチナの価格が跳ね上がった。アメリカ株や日本株より、かなりパフォーマンスは良好で、プラチナの過去1年間における上昇率は+158%であった。
ゴールドに加えて、シルバーやプラチナへの投資を開始した場合、今後のインフレに対抗していくことができる可能性もあるだろう。
不動産投資家にとっても、金銀とならぶ主要貴金属であるプラチナへの理解を深めることで、資産保全への選択肢は増えることになる。
プラチナ投資の概要、他の貴金属とは異なる特徴は?
本稿ではプラチナ投資の概説と、それを取り巻く環境を整理してみたい。
プラチナは極めて貴重な鉱物であり、隕石によって地球上にもたらされたと考えられている。そのためかゴールド(金)やシルバーのように、あらゆる場所に存在している金属とは違い、局所的に埋蔵されている。

偏在していることから産出国も極めて限定的であり、南アフリカやロシアが産出量の大半を占める。
このうち南アフリカは電力供給が不安定で、たびたび工場の操業が停止してしまうので、プラチナ価格に大きな影響を与えている状況だ。
用途はほぼ産業用と宝飾用であり、自動車産業や医療産業など工業用に多く使われており、地金やコインなどの投資需要もある。
他には軍事用としても使われており、戦中の日本軍でも新型戦闘機において、過酸化水素の電解装置の電極に大量のプラチナを消費している。他に潜水艦のスクリューにおける静音性など、さまざまな局面で多用されるので、軍需物資としての側面もある。
近年の国際情勢緊張の度合いから鑑みると、プラチナ価格高騰に至っている原因には紙幣減価を恐れる投資需要以外にも、軍需という側面があるのだろう。
プラチナはゴールドに比べても非常に貴重で、ゴールド年間生産量に比較して約26分の1しか産出されない。
しかし世界各国の中央銀行では、ゴールドを準備資産としては組み入れるものの、プラチナを組み入れている国は存在していない。理由としては希少すぎて流動性に欠ける点や、ゴールド・シルバーに比べて人類との付き合いが短すぎるので、貨幣としての歴史を歩んできていない点などがあるだろう。
プラチナは古代エジプトのファラオの装身具として多少利用されていたが、近代まではそのポテンシャルを発揮していない時代が長く続いてきたことも、中央銀行が準備資産として組み入れない理由の一つかもしれない。
最近では、ロシア中央銀行が準備資産としてゴールド以外にプラチナ・シルバーも買い入れていくとしており、今後紙幣減価が世界的に進む場合は、他国にもこの流れが波及する可能性もある。
プラチナの相場は、近年ではゴールドを上回って推移してきた。
例えばIT革命と言われていた2000年時には、おおよそゴールドは1グラム1000円であり、プラチナは1グラム2000円であった。(税込み価格。以下も同)
リーマンショックが起きて2年後の2010年時点でのゴールド価格は平均約3500円であり、プラチナは約4500円と多少差が縮まったのだが、まだプラチナに優位性はあった。
しかし新型コロナ蔓延が始まった2020年においては、ゴールドは約6000円から7000円で推移しており、しかしプラチナは約2500円から3800円で推移と、完全に逆転して半値以下の価格にまで下落している。
2015年に発覚したフォルクスワーゲンによる排ガス規制の改ざん問題等で、大量にプラチナを使用する自動車産業からの影響でプラチナ価格まで下押し圧力が加わり、とばっちりを受けたような市況が長らく続いてしまった影響が2020年にはいっても継続されていた、ともいえよう。
そんなプラチナ価格は近年フォルクスワーゲン問題の呪縛から解き放たれて、ゴールド価格に追随し始めており、2025年末には約13000円程度まで上昇している。
ゴールド価格が同時期25000円弱であったので、ほぼゴールドの半値まで価格が上がってきたことになる。
実際に投資する方法は?
個人投資家がプラチナにアクセスする場合、証券口座があるなららばETFが一番手軽であろう。
【1541】純プラチナ上場信託や【1674】WisdomTree白金上場投資信託などが日本で上場されており、流動性もあるので投資しやすい。
現物の地金を買う場合は、田中貴金属・徳力本店・石福金属興業・アサヒメタルファイン・日本マテリアル・井島貴金属精錬・井嶋金銀工業など、さまざまな企業から購入できる。

取引上の注意点でいうと個人間で売買するより、信頼ある精錬業者から買うことで、トラブル回避につながるだろう。ちなみに大手業者の場合は、毎月のプラチナ積み立てを扱っているケースもある。手軽に毎月プラチナを買いたい投資家は、自動積み立ての検討も良いだろう。
地金以外には、実はコイン投資もできる。コイン投資では金貨や銀貨が一般的だが、プラチナ貨も生産されているのだ。
プラチナのコインは、カナダのメープルリーフコインやオーストリアのウィーンハーモニーコイン、中国のパンダコインやアメリカのイーグルコインやイギリスのブリタニアコインなど、さまざまな銘柄がある。

コイン収集を楽しみながら、資産形成も計れるので、個人投資家向きといえるだろう。
いくらでも際限なく刷れる紙幣より、ゴールドやプラチナ・シルバーに投資することでインフレヘッジを計りたい人々が増加していることを背景に、今後も貴金属市場は基本的には堅調な推移が見込まれている。
しかし当然ながら、投資には価格変動リスクが付いて回る。プラチナ投資を進める場合は、余裕資金で少額から試したい。
プラチナ価格は産業用や軍需用も多い側面から、景気動向や世界情勢に左右される可能性もあり、ゴールドとは性格や価格動向が違う点は押さえておきたい。
しかし産出量が限られている貴金属であり、増刷される紙幣よりかはインフレに対抗できるという見方もあるだろう。不動産投資家もプラチナへの投資を検討することで、インフレ対策の一助になるのかもしれない。
執筆:(ほったあつひろ)







