昨日の前編に続き、関東の木造高利回り物件に投資して、38才で家賃年収970万円というサラリーマン大家、マッツンさんに登場いただきます。去年、千葉県柏市に土地から購入して戸建てを新築し、利回り10%以上を達成したというマッツンさん。その詳細や、順調に規模拡大を進めてこられた理由、サラリーマン大家としての仕事と不動産投資のバランスなどをおききしました。
■ 築古物件のリフォームには極力お金を使わない方針
華子
サラリーマンをしながら戸建3戸と賃貸併用住宅から家賃収入を得られるようになりました。その後は、どうなったのでしょうか?
マッツンさん
1戸目と2戸目は現金買いでしたが、賃貸併用住宅を買う時にノンバンクの融資を使ってみて、融資を使うのもアリと思うようになりました。それで、次の物件は、1戸目を共担に入れて、ノンバンクで融資を引いて買いました。
川崎の築53年の3DKの戸建で、価格は400万円です。過去最高にボロボロで、残置物も多く、仲介会社さんは「 案内は多いけれど決まらない 」と疲れ切っている様子でした。
売値は580万円だったのですが、「 僕は買った後で面倒なことを言わないので安くしてください 」と言って、指値を通してもらいました。修繕費は56万円、賃料は7.5万円で、表面利回りは22.5%あります。
築53年の3DK、元値は580万円だった
華子
ボロボロだったなら、再生にお金がかかったのでは? 修繕費を56万円で納めたコツをおしえてください。
マッツンさん
僕は築古物件のリフォームにはお金をかけない方針です。直しても賃料を上げられるわけではないので、最低限のリフォームしかしません。この時は、水回りだけ直したのですが、プロパンガス屋さんの協力で安くなりました。
華子
それでも7.5万円の家賃がいただけるのですね。
マッツンさん
そこが戸建の強みだと思います。それと、この物件は1年保有して、750万円で売却しました。特に手放したい理由があったわけではなく、売り時みたいだから売ってみようかな、という感じです。スムーズに売れて手持ちのキャッシュが増えたのでよかったです。
■ 先輩投資家さんに学んでスキルを上げていく
華子
着々と、不動産投資家として実績を積んできた感じですね。
マッツンさん
次の5号物件は、初めて16号ルートを超えて、神奈川県秦野市の戸建を買いました。築25年の4DKで、価格は360万円です。賃料は5.4万円で、表面利回りは18%。秦野市まで行っても、家賃はそれほど落ちないと分かったのは収穫でした。
この時、初めて地銀から融資を引きました。購入後は、バランス釜のお風呂を給湯タイプに替えて、和室を洋室化しました。このときもプロパンガス屋さんに協力してもらって、リフォーム代は31万円に抑えられました。
その後も、横浜で300万円の戸建、川口で250万円の戸建を買いました。横浜の方はまだリフォーム中ですが、川口の方は家賃7.5万円で決まり、表面利回りは36%あります。ちなみにすべて自主管理ですが、めったに電話はかかってきません。
華子
まっつんさんは、先輩投資家さんと交流したり、アドバイスをもらったりする機会は多いんですか?
マッツンさん
はい。投資家の方が講師を務めるセミナーや勉強会にはよく参加します。亡くなってしまいましたが、前に健美家に出ていた
「 戸建2320 」さんの物件を見せたもらったこともあります。とても参考になりました。
参照:
都内の290万円戸建とオーナーさんを訪問!
華子
そうだったんですね。
■ ふんどし王子の影響で新築戸建て投資にチャレンジ
マッツンさん
2017年にニーノさんの新築セミナーに行った時に、ふんどし王子さんも参加していて、その場で「 ファンです 」とごあいさつして以来、ふんどし王子のセミナーには数えきれないくらい参加しています。
年齢が近く、学ぶところがたくさんあります。去年はふんどし王子さんの影響で、土地から買って戸建てを新築しました。
華子
詳しく教えてください。
マッツンさん
ふんどし王子さんは富山の高い家賃を設定できる場所に現金で土地を買い、格安ハウスメーカーで家を建てて、利回り10%以上を達成しています。関東では土地が高いので難しいと思いましたが、やるだけやってみようと土地探しを始めました。
最初は千葉の奥地の築古戸建を解体して新築を建てようとしたのですが、家賃が低いので、回らないんです。どうしたものかと思っていたら、これまで何度か物件を紹介してもらった不動産会社さんから、柏駅近くの任売の古家を紹介されました。
その方から物件を買ったことはないんですが、妻に、名刺交換した業者さんに「 物件情報はないでしょうか 」と定期的に電話をして情報をもらうよう頼んでいて、この情報はそのルートから入ってきました。
華子
行動力の賜物といった感じですね。
マッツンさん
妻のおかげです。「 家の中に草が生えていて、傾きも雨漏りもあります。いくらなら買いますか? 」と言われ、「 105万円で 」と伝えるとそれが通りました。形はよくないですが、柏駅から徒歩10分程度の25坪の土地ですので、破格だと思います。
その後、1,035万円で戸建を新築しました。それ以外に、解体費が90万円、地盤改良が80万円、残置物処理に15万円かかりました。賃料は11.8万円で、実質利回りで10.6%あります。
資金は土地を現金で買い、それを担保にして日本政策金融公庫で建物代を借りました。僕は物件を妻を代表にした法人で買っているので、女性経営者枠で金利等も優遇されました。新築戸建てがうまくいったので、次は新築アパートを建てたいと思っています。
華子
土地を現金で買い、地主になって融資を受けるという富山チームの鉄板の手法を関東でも、再現できたんですね。
マッツンさん
はい。この物件が埋まり、キャッシュフローは月に60万円を超えました。
■ 不動産投資も仕事もほぼノンストレス。こんな投資もあると知ってほしい
華子
ここまで順調にこれた理由は何だと思いますか?
マッツンさん
自分では、成功しているっていう感じはないんです。2011年に始めてようやく家賃年収が1,000万に届くところですから、スピードは遅いと思います。生活レベルもまったく変えていません。あとから来た人がどんどん先に行くのを見て、焦る気持ちもあります。
ただ、僕は優先順位の一番が家族なので、これでいいと思っています。途中、シェアハウスをやろうと思ったこともあるんですが、時間をさかれるのでやめました。妻や子供と過ごす時間をできるだけ多くもちたいんです。
華子
とても地に足が着いたやり方ですね。不動産投資の目標を教えてください。
マッツンさん
5年以内に月のキャッシュフロー100万円を達成したいです。それと、自分のやりたいことをマネタイズしたいですね。僕は会社の仕事で機械を作って物づくりをしています。それを自分の仕事につなげていけないかなと考えています。
華子
セミリタイアについてはどうですか?
マッツンさん
具体的な計画はありません。ただ、仕事でも何でも、イヤなことはやりたくないですね。いわゆる「 上司の変な作戦 」に乗せられないよう、職場でも自分の意見をハッキリいうようにしています。そうしたら、評価が高まって出世してしまいました( 笑 )
会社を辞めてこれをやりたい、ということが見つかっていないので、今はサラリーマンでいた方が社会の役に立てるかなと思っています。
サラリーマンでも、そうじゃなくても、楽しく自由に生きたいです。今後はそんな風に生きている先輩たちにたくさん会って、これからの選択肢を広げていきたいですね。
華子
人生の目標を教えてください。
マッツンさん
スケールが小さいんですが、自分の親が僕の面倒を見ない人だったので、自分は子供の面倒をちゃんと見て、ちゃんと育てたいです。家族には不自由なく、やりたいことをやらせてあげたいです。
華子
これから不動産投資を始める方に向けて、メッセージをお願いします。
マッツンさん
自分がメッセージなんておこがましいんですが…。僕は不動産投資では安全運転を心がけていて、ほぼノンストレスです。
仕事もイヤなことをせず、でも手を抜かずに取り組めています。こういう不動産投資もあるんだ、と知ってもらって、何かの参考にしてもらえたら嬉しいです。
華子の編集後記
マッツンさんの話を聞いて「サラリーマン大家さんのお手本のようだ」と感じました。何よりも家族優先、仕事も手を抜かない、土地値の高い関東にあって高利回りというリスクの低さ…。会社員をしながら自主管理でこれを実行するマッツンさんから、刺激を受けた方も多いのではないでしょうか。プロフィール右下にあるベスト3もぜひ読んでいただきたいと思います。マッツンさん、ありがとうございました。