近年、小型トラックやワンボックスカーなどを改造、移動販売を行うキッチンカーが増加している。よく見かけるのはオフィス街の駐車場、軒先など。販売しているのは弁当やハンバーガー、ピザその他多種多様で、日替わりで複数の店が出店している場所なども増えている。

増加している理由としては3点あり、ひとつは初期投資が少なくて済むこと。店舗を借りて店を始めるとなると、最低でも1000万円以上の資金が必要と言われるが、キッチンカーなら車両改装、保健所の許可取得、当面の運転資金を合わせても200万円以下で始められるという。
二つ目は店舗と違い、人の流れが変わって客足が減る、家賃値上げを迫られる、周辺の開発によって立退きを余儀なくされるなどといったリスクがなく、ある場所でダメでも、簡単に他の場所で試せるというメリットもある。
最後にもうひとつ、家賃を払う必要がないという点。これは営業を安定させるためには大きな要素である。出店先の場所代、駐車場代などを払う必要はあるものの、店舗の家賃と比べれば微々たるもの。出費を抑えて営業できるのだ。
では、こうした移動販売のキッチンカーに場所を貸すメリットは何か。ひとつは収益面。空きスペースの活用情報を提供している軒先ビジネスで飲食店販売が可能な、ビルの前や駐車場などを検索してみると、1日で2000円から4000円ほど。
これをウィークデーの5日間、4週間貸すと考えると、最安値で計算しても4万円。駐車場としてそれ以上の額で貸せているなら良いが、そうでないなら、貸してみる手はある。
もうひとつ、人が集まることで建物の認知度が上がるというメリットもある。オフィスや住宅として貸している建物では満室状態が続いている場合、物件をPRする必要ない。それは良いことではあるのだが、空室が出た場合にいちからPRをしなくてはいけないということでもある。
ところが、日常的に人が集まる場所であれば、そこに住宅やオフィスがあることも同時に認識される。意識したこともない、従ってどこか分からない場所よりも、賑わっていると認識されている場所をアピールするほうがやりやすいはず。不動産会社にしても同様だろう。
最近では移動販売、キッチンカーに関するサイトもいくつか出てきている。状況をチェック、貸せるものなら貸してみてもよいかもしれない。

ちなみに友人の不動産会社では建売住宅の販売現場にしばしばキッチンカーを呼び、それでファミリー層を集客していた。子どもが楽しめるようにとクレープ、アイスクリーム、ホットドッグなどの屋台が多かったが、誰に来てもらいたいかで種類を変えれば、一風変わった広告宣伝になるのではなかろうか。
【参考になる主なサイト一覧】
スペース活用情報サイト 自由市場
移動販売ナビ
YFプランニング
移動販売どっとこむ
CBケータバンク
イベントワールド
みんなの町の移動販売と屋台
イベント.JP
ネオ屋台村
健美家編集部(協力:中川寛子)