西九州新幹線の開業に伴う新駅
人口が増え駅周辺の開発も加速中
2022年9月23日に開業した、西九州新幹線。福岡県福岡市の博多駅と長崎県長崎市の長崎駅のうち、佐賀県武雄市の武雄温泉駅―長崎駅間が先行整備された格好だが、これにより新たに設置されたのが、長崎県大村市の新大村駅だ。
新大村駅は在来線の竹松駅と諏訪駅の間にあり、西九州新幹線と大村線が乗り入れる。新幹線ホームの高架下に駅舎および商業施設と、地上駅の大村線のホームが設置。なお、新幹線は自動改札駅だが、大村線は改札がなく無人駅の扱い。ただし、相互乗り換えは可能になっている。
新幹線の停車駅ができた大村市では、「新大村駅周辺土地区画整理事業」を推進。交通拠点として交通結節機能を強化するとともに都市機能の立地に必要な用地を確保し、利便性の高い生活機能の充実や、人々のにぎわい。交流の創出を目指している。
そうしたなか、大村氏は駅東側エリアにおいて、「Convenient(利便性の高いまち)」「Meet-up(出会いのまち)」「Relax(くつろぎのまち)」「Transport hub(交通の拠点となるまち)」の4つのまちづくり方針に沿い、民間事業者の開発ノウハウを活用するため、2021年6月に事業提案の公募を実施。
その結果、2021年1月、大和ハウス工業と日本エスコン、イズミで構成されるグループによる提案が評価され、優先交渉権者として選定、同年3月には事業予定者に決定している。
今年5月30日には、同事業の名称を「SAKURA MIRAI SHIN ?MURA(サクラ ミライ 新大村)」とし、その概要も決定した。
同事業では、分譲マンションや商業施設など、計7棟で構成される複合施設を開発。駅に近い2棟の分譲マンションには、ファミリー世帯がターゲットで3LDKを中心に多彩なプランを用いた計191戸を用意。共用部にはコワーキングスペースやキッズスペースを設置し、コミュニティの場も設ける。
分譲マンションの入居者だけではなく地域住民も利用できる、スーパーや衣料品店、クリニックなど12店舗(予定)も5棟にわかれて出店する。
スーパーはイズミが運営する「ゆめマート新大村(仮)」がオープンし、クリーニング店やスポーツジムなども開業する予定。電気自動車充電スタンドやカーシェアステーションなども敷地内に備えるという。
新駅の新大村駅に隣接し、長崎自動車「大村インターチェンジ」からは約1㎞、長崎空港からも約4㎞と近接し、広域への交通利便性は申し分ない立地。「サクラ ミライ 新大村」により多くの住居が供給され商業施設もオープンすることで、まちには賑わいが生まれる。
新駅設置を核としたまちづくりの王道と言えるだろう。今後だが、商業施設は2024年春開業予定、分譲マンションは2024年11月に竣工予定で、全面開業は2025年春を予定している。
人口減少が続いている長崎県とは対照的に、大村市の人口は増加の一途。戦後は4万人ほどだったのが、1996年には8万人、2009年には9万人を超え、直近では10万人に迫る勢いだ。
不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、大村市の中心となる大村駅周辺にある賃貸マンションの賃料は直近3年間で7.83%上昇している。これは長崎県全体の変動率4.07%に比べて高い水準。
今回や今後の再開発によっては、さらなる発展が期待される有望エリアと言えるだろう。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))