隣接エリアでは既に再開発建物の建設が進行中
神奈川県西部にある小田原市では、JR及び小田急の小田原駅西口について、再開発に向けた構想を策定している。
構想の対象となっているのは駅西口の眼前に広がるエリアで、現在はバス乗場やタクシー乗り場となっている。
※引用:小田原市
位置図では実線で囲まれた部分と点線で囲まれた部分とに分かれているが、今回構想の対象となっているのは実線で囲まれた「検討区域」とされている部分の方だ。これにはB街区とされているエリアも含まれる。
点線で囲まれているA街区については、もともと「新幹線ビル」と呼ばれるビルが建っていた。築45年を迎えて老朽化が目立っていたため、2020年から建て替え工事が進んでいる。
新幹線ビル建て替え後の建物は地下1階・地上17階建てで1階~3階に商業施設・医療施設が入り、4階以上が分譲マンションとなる。
主なデベロッパーはタカラレーベンで、開発の完了予定は2024年度。HPによると、2023年7月中旬時点では完売となっていた。
15階建てのゲタ履きマンションを構想
小田原市が作成した資料によると、小田原駅西口で解決すべき課題とされているのは主に以下のポイントだ。
- 買物する場所がなく不便
- 駅前がさびれている印象を受ける
- 駅前駐車場が日中満車でなかなか使えない
- 街灯が少なく夜は暗い
- 土地利用が最適化されていない
簡単に言ってしまえば、利便性が低いために人が集まりにくく、都市開発も十分ではないうえに車と歩行者の動線が分かれておらず、交通事故が起こる懸念もあるということだ。
小田原市はもともとB街区単独での開発を検討していたが、2023年7月時点では、都市機能確保の観点から交通広場とB街区を複合的に開発すべきとの結論に至っている。
小田原市が策定している開発案は4つあるが、共通しているポイントは交通広場を再整備して商業施設とマンションを建てるということ。
ただ、交通広場を屋根のない広場にするのか、交通広場とは別の「賑わい広場」を低層部の屋上に作るかどうかといった点などが、案によって異なっている。
※引用:小田原市
見る限り、左の整備案1は交通広場と憩いの広場を一体化して開発するような案で、その一部にしか屋根がつかないようだ。
右の整備案2は賑わい広場には屋根がつかず、交通広場には屋根がつくように見える。「低層部」とされている1階~3階は商業施設になることが決まっているので、こちらの方が商業施設は大きなものになるだろう。
※引用:小田原市
左の整備案3は整備案2との違いがわかりにくいが、ピンク色の賑わい広場が整備案2よりも駅側に広がっており、面積が広くなっている。
右の整備案4は交通広場もほぼ屋内に入れてしまおうというもの。夏や冬などは利用者の使い勝手が良くなるだろう。
現在の小田原駅西口は東口と比べるとあまり都市開発が進んでいないような印象を受ける。
しかし、タカラレーベンの進める開発と小田原市が構想を進める再開発も完了すれば、小田原駅西口の印象はだいぶ変わるだろう。
小田原駅は東海道新幹線の停車駅で、新幹線を使えば東京駅まで35分程度でアクセスできる。新幹線を使う前提であれば、東京都心に勤める入居者を狙えるエリアだ。今後の再開発の行方に期待したい。
取材・文:
(はたそうへい)