物流企業の誘致に向けた
大規模な土地の整備へ
東京都西部に位置する青梅市では、高速道路の圏央道青梅インターチェンジの北側で大規模な土地区画整理事業が進んでいる。
対象エリアは圏央道と豊岡街道という通りに挟まれたエリアで、埼玉県入間市との県境に当たるところだ。
※引用:青梅市
面積は約50.1ヘクタールで、現在は農業振興地域・農用地区域に指定されている。
農業用地の指定を解除して市街化区域へ編入するなどの手続きを進め、土地を整備して物流拠点を建てたいと青梅市は考えている。
青梅市が大規模な土地区画整理事業を計画するきっかけとなったのは、電気系メーカーである東芝の事業縮小に伴う青梅事業所の閉鎖だ。
東芝の青梅事業所は青梅市における雇用を支える存在となっていたため、事業所の撤退によって市内の雇用が減少してしまった。
青梅市が描いている青写真は、約50.1ヘクタールの土地を物流拠点として、市内に企業を誘致し雇用を促進するというものだ。
整備後の土地を物流拠点とする方向性で話が進んでいるのは、青梅市が当該エリアを「広域交通の結節点」と位置付けていることに基づいている。
前述した圏央道は、青梅から南へ八王子・厚木・茅ヶ崎へと伸びており、東へは埼玉県の入間・狭山・桶川へと伸びている。
さらに東へ進めば、茨城県のつくばを経て千葉県の成田空港に近い東金・木更津へと続いていく。
※引用:国土交通省関東地方整備局
圏央道は関東一円を囲むようにして位置しているので、青梅の高速道路に関する利便性は高いと言えるだろう。
関東地方を横切る方が近いという考え方もあるが、青梅は圏央道を使えば成田空港までダイレクトアクセスも可能な土地となっている。
交通利便性という点では、距離はあるもののJRの青梅線・中央線を利用すれば新宿駅や東京駅といった都心までアクセス可能だ。
物流拠点を整備して企業誘致を図ろうという青梅市の考え方は合理的と言えるだろう。
青梅市は土地区画整理事業の進捗に当たって東京都とも協議を進めており、2022年8月には都市計画の決定にまでこぎつけた。
青梅市長の浜中啓一氏は、市長主導で早急に土地区画整理事業を進展させたい意思を示しているため、今後の計画進捗に関する期待は大きいと言えるだろう。
青梅駅前では
再開発の動きも
青梅市では、企業誘致に向けた土地区画整理事業に加えて、JR青梅駅前の再開発事業も進んでいる。
再開発事業の対象となっているのは、駅を出てすぐ目の前のエリアだ。
※引用:青梅市
こちらは2021年4月に再開発組合の設立が認可されており、今年の8月には事業計画の変更が認可された。
市のウェブサイトで公開されている図面を見ると、再開発建物は14階建てで、1階は店舗が入る商業施設・2階は公益施設・3階~14階はマンションとなるようだ。
※参照:青梅市
市は青梅駅前を奥多摩観光の玄関口としてアピールしたいと考えており、地域住民の生活利便性確保も兼ねて商業施設を整備する方針だ。
東京都の中でも立川より西側で八王子を除くエリアは、あまり投資エリアとして目を引くものではない。
しかし、駅前の再開発や、企業誘致を前提とする大規模土地区画整理事業など、青梅市は今後に向けて面白い要素を持ったエリアであると言えるだろう。
もし東京の郊外で物件を探すのであれば、多摩西部のエリアに目を向けてみるのも良いのではないだろうか。
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取材・文:
(はたそうへい)