今後の開発指針を示す「品川駅西口地区まちづくり指針」
UR都市機構と京急電鉄は、品川駅の高輪口で進んでいる「品川駅西口土地区画整理事業」が、国土交通省から事業計画認可を受けたと発表した(2023年6月のプレスリリース)。
品川駅西口土地区画整理事業とは、品川駅の高輪口から見て第一京浜(国道15号)を挟んで反対側のエリアで進む再開発事業のことだ。
※引用:UR都市機構
対象区域内にはグランドプリンスホテル高輪および新高輪・品川税務署・商業施設の品川グース跡地などが含まれており、品川グースの一部建物や道路になっていた箇所などは、撤去と造成工事が進んでいる。
UR都市機構が発表したプレスリリースによると、施工地区面積は約11.9ヘクタールと広大で、総事業費は630億円。東京都心でのプロジェクトとしては、かなりの規模と言えるだろう。
土地区画整理事業が国交省の認可を受けたことで、関係各社によって作成された「品川駅西口地区まちづくり指針(高輪三丁目地区)」が示すまちづくりの実現に向けて、敷地の整備等が進むことになる。
作成された指針の中で当該エリアの課題とされているのは以下のポイントだ。
- 連携の乏しかった土地利用
- 歩行者ネットワークの脆弱性
- 緑地や公園が活かされていない
- 整備が不十分で課題のある交通基盤
そして、上記の課題解決とともに、まちづくりの方針として示されているのは以下のポイントだ。
- 江戸以前から残る緑地や地形を守る
- 緑地や地形を活かした空間形成に取り組む
- 「環境都市品川」を世界に打ち出す
- 安全で快適な歩行者ネットワークを作る
- 世界中の人々を迎え入れ、もてなす
- 安全な防災都市づくりに取り組む
- まちの持つ価値を未来につなげる
大枠の方針ということもあり、抽象的な表現が多いと言えるだろう。
ざっと読んでわかることは、今ある緑地は極力保護するとともに、外から見てわかりやすい場所に緑地を作るということだろうか。
また、グランドプリンスホテルの中に披露宴会場・宴会場などの施設はあるが、利用者が限定的とされている点も指摘されている。
海外からの玄関口として品川駅周辺を整備すると考えると、大型のコンベンション施設が入ることも予測できるだろう。
そのほか、「防災都市づくり」というところを見ると、災害時に帰宅難民などを受け入れる建物ができることも考えられる。
なお、一部敷地については、西武グループが計画建物の概要を公表済だ。詳細についてはこちらの記事で紹介している。
品川駅高輪口前プリンス側再開発・西武グループがとうとう動き出す。準備組合などが都市計画の素案発表。
品川駅の改良についてもガイドラインが公表される
駅前の土地区画整理事業と並行して進められているのが、品川駅の改良工事だ。
こちらはJR・京急・東京メトロなどの関係各社が集まって「品川駅 えきまちガイドライン 創造編 2023」という資料を作成している。
この資料は、品川駅を中心とした周辺エリアを東西南北の4エリアに分けて、それぞれの開発方針を示したものだ。
資料の中では品川駅のことを「えきまち」と呼称しており、今後の開発が「まちづくり」と言える規模のものになることが伺える。
※引用:東京都都市整備局
今後品川駅周辺がどのような街になって、どれだけの活気が出るようになるのか、今後の展開に要注目だ。
取材・文:
(はたそうへい)