2021年1月、名古屋市交通局は市内地下鉄4駅の駅名を変更すると発表した。同局が駅名変更を行うのは2004年以来約20年ぶりのことになる。

『中村区役所』駅は通りの名称にちなんで『太閤通』駅へ。『伝馬町』駅は熱田神宮の最寄り駅の1つであることを示す『熱田神宮伝馬町』駅へ。
そのひと駅となりの『神宮西』駅は『熱田神宮西』駅に改称されるのだが、中でも注目を集めているのは、市の中心街に位置する『市役所』駅が『名古屋城』駅というキャッチーな名称に変わることだ。
名古屋市役所と愛知県庁が隣り合わせに建つ官庁街、現『市役所』駅
現『市役所』駅は、その名の通り名古屋市役所の最寄り駅であり、隣には愛知県庁が建っている。また、周辺には愛知県警や法務局、地方裁判所などの行政関連施設が集約されているため、街を歩く人たちの年齢層は高く少々お堅い雰囲気が漂っている。
しかし、そんな“お役所のまち”からイメージが一転、今回の駅名変更により“名古屋を代表する観光地”としてこの街が広く周知されることになるのだ。

名古屋城、金シャチ横丁、名城公園など“集客装置”が充実するエリア
実は現『市役所』駅周辺では、少しずつだが近年街が変わりつつある。名古屋市役所の北側には名古屋城に隣接する食のエンターテインメントゾーン『金シャチ横丁』があり、その先には名古屋市が民間活力を投入して公園経営を行う『名城公園』が。
さらに公園内には、大相撲や国際スポーツ大会にも対応可能な『新愛知県体育館』が2025年に開業予定となっている。
名古屋を知らない人でもイメージしやすい『名古屋城』駅という駅名の獲得に加え、行政関連施設・観光資源・エンターテインメント・公園施設が集約される地域となれば、今後の昼間人口の増加は確実であり、街の賑わいは路線価にも大きな影響を及ぼすことだろう。



大学のキャンパスも拡張中、街の雰囲気が大きく変わる
もうひとつ、現『市役所』駅周辺の発展に期待感が感じられるのは、複数の大学のキャンパスがこの地域に続々と開設されていることだ。

もともと現『市役所』駅の北側一帯には、名古屋市営地下鉄の名城工場や公務員宿舎があったのだが、その跡地を活用して『愛知学院大学』の名城公園キャンパスがオープン。
2020年春には新棟も完成した。さらに2022年には『名古屋造形大学』の全学部が移転予定となっているため、今後は“学生の街”としての機能も加わることになる。
駅名の印象は街のイメージを大きく変える。その変化は街の価値を押し上げるきっかけにもなる。少々お堅いイメージの現『市役所』駅が、観光色を強めた『名古屋城』駅に変更されるのは2023年1月の予定。この駅名変更が地域にとってどのようにプラスに働くのか、今後の地価の推移にも期待したい。
健美家編集部