国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」にある、各都道府県の人口動向から、今回は西日本で人口が増えるエリアをみていこう。
多くの人は近畿圏と聞くと大阪府、兵庫県などでの人口増(図上では赤色)を想像するだろうが、実は意外な結果が出ている。
滋賀県
近畿のベッドタウン、守山市、草津市、栗東市の広い範囲で増加

近畿圏で人口増が目立つのはなんといっても滋賀県。
自治体としては京都府、大阪府、兵庫県に比べると馴染みが薄いかもしれないが、実は近畿圏のベッドタウンとして人気がある地域。
大津駅から京都駅へは東海道本線の新快速でわずか10分弱と便利である上に、京都では高さ制限などがあって供給が制限されるマンションも滋賀県では豊富。
かつ、琵琶湖周辺は歴史もあり、自然に恵まれてもいる。そうしたメリットが人口増を呼んでいるのである。
京都府
中心部でも人口は横ばい、増加するのはごく一部

その滋賀県に比べると、かなり危機的と思われるのは京都府。なにしろ、中心部である京都市ですら人口が増えるエリアはごく、ごく一部しかない。
また、それ以外でも増加が見込まれるのは京田辺市、木津町などがある。
それ以上に非居住地になると予測される青い地域が広範に渡っている。現状はインバウンドニーズで賑わっているが、人口がこれだけ大幅に減るとそうしたものを支えることも難しくなるのではなかろうか。
大阪府
大幅減少はしないが、増加は市内、茨木市、岸和田市などの一部

大阪府の場合は京都府とは異なり、増加はしないものの、それほど減りもしない地域(黄色部分)が広範に渡っており、比較的安定しているように見える。
増加するのは大阪市の中心部、茨木市、岸和田市、熊取町などのごく一部だ。
兵庫県
都心近くでも人が住まなくなる地域が点在

兵庫県も大阪府同様、それほど減りもしない地域が広範に渡るが、大阪府と異なるのはそれほど減りもしない地域に隣接して、人が住まなくなるだろうとされる地域があること。
大阪府の場合には遠隔地に人が住まなくなる地域(青色)があるが、兵庫では入り混じっているのである。また、増加するエリアは本当にぽつぽつと点在しており、大きな賑わいは維持できない可能性が高い。
広島県
広島市、東広島市を核に人口増エリアが

西日本全体を見た時、意外に増加エリアがあるのが広島県。
四国や山陰地域には増加エリアはほとんど見られないが、広島県には2つの核がある。それが広島市と東広島市で、滋賀県以外の近畿圏と比べ、まとまっていることが分かる。
広島市では中心部、駅周辺で再開発が行われ、街の様子が日々変化している。その辺りの勢いがまだまだ続くということだろうか。
西日本での投資を考えるのであれば、まずは広島県の様子を見てみてはどうだろう。ただし、都心部以外は人が住まなくなる地域が広いので、その点の注意は必要。
福岡県
福岡市湾岸エリア、東エリアで人口増

福岡県ではやはり、福岡市である。
湾岸エリア、区でいえば中央区、西区などに加え、福岡市の東側にある粕屋町、那珂川町などでの人口増が予測され、まとまった集積になっている。
また、比較的人口減少が少ない、横ばい状態と思われる地域も広く分布している。ただし、東側には人が住まなくなるエリアが多くなってもいる。
沖縄県
名護市から南は広範に人口が増加!

最後に人口が増えるエリアが非常に多い沖縄県を見て行こう。
名護市より南側の、特に海沿いではかなりの自治体で人口増が見込まれており、日本の他の地域に比べると異質。移住者も多く、リゾートニーズもあること、また、出生率が日本でトップということがこの結果を生んでいる。
健美家編集部(協力:中川寛子)