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不動産投資家が破綻・倒産する時-元メガバンク融資担当者は見た!part1-

岡元公夫さん_画像 岡元公夫さん 第123話

2020/11/17 掲載

最近、ある関西の大物不動産投資家が銀行取引停止処分となったとニュース等で話題になりました。

銀行取引停止処分とは、6カ月以内に2度、約束手形や小切手の不渡りを出した者に対して、取引停止処分日から起算して2年間、当座勘定や貸出の取引が停止されることです。

銀行取引停止処分=倒産・破綻では無いのですが、新規の融資が受けられなくなることから、資金繰りが悪化、さらに信用の低下につながり実際に事業ができなくなることが多く、「 事実上の倒産 」とみなされます。

普通、銀行は個人の不動産投資家には、当座勘定を開設し、小切手や手形帳を発行することはないので、銀行取引停止処分は不動産投資業界にとっては珍しいケースです。

では、通常、不動産投資家が、どのような状況に陥った場合に破綻するのか。そして、破綻すると、どのような末路をたどるのか。実際に銀行員として不動産投資家や不動産会社、そして一般事業会社の不良債権処理に携わっていた経験を交えて話します。

■ 期限の利益と喪失

まず、銀行から融資を受けている方は、民法上の「 期限の利益 」を有しています。民法第136条に「 期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する 」とあります。

融資を受けた方が、融資を受ける時に取り決めた約定通りに返済をしていれば、原則として銀行から一括繰り上げ返済を求められることはありません。そして担保である物件の処分等も求められることはありません。

では、どのような状況になると、銀行から一括繰り上げ返済を請求されるのでしょうか。

下記は、とある銀行の金銭消費貸借契約証書の期限の利益の喪失条項の抜粋・要約です。目を通したことがある方はどのくらいいるでしょうか。

不動産取引の契約書や重要事項説明書は全項目読んで理解していても、銀行取引約定書や金銭消費貸借契約証書については、借入金額や利率・毎月の返済額ぐらいしか読んでいないという方もいるのではないでしょうか。

第○条( 期限の利益の喪失 )

@私について次の各号の事由が一つでも生じた場合には、貴行から催告通知等がなくても貴行に対する一切の債務について当然期限の利益を失い、直ちに債務を弁済します。
(1) 私が債務の支払いを1回でも遅滞したとき。
(2) 破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立てがあったとき
(3)手形交換所の取引停止処分を受けたとき。
(4)私または連帯保証人の預金その他貴行に対する債権について仮差押え、差押えの命令、通知が発送された時

A次の各場合には、貴行の請求によって貴行に対する一切の債務は期限の利益を失い、直ちに債務を弁済します。
(1)私が本債務以外の債務の一部でも履行を遅滞したとき。
(2)担保の目的物について差押、または競売の手続きがあったとき。
(3)私が貴行との取引約定に違反したとき、または第〇条に基づく貴行への報告もしくは貴行へ提出する財務状況を示す書類に重大な虚偽の内容がある等の事由が生じたとき。
(4)連帯保証人が前項または本項の各号の一にでも該当したとき。
(5)前各号のほか債権保全を必要とする相当の事由が生じたとき。

■ 1回の遅延で期限の利益を喪失させることは少ない

上記条項の最初に「 支払いを1回でも遅滞したとき 」とあります。厳しいですね。ただ、実際は1回遅滞したからといって、銀行が期限の利益を喪失させることは少ないです。

まずは借入人に督促します。つい、うっかり口座に入金し忘れ、残高不足だったということも、よくあります。また、本当に返済に充てる資金が無いとしても、一過性の原因で翌月からは正常に返済できる場合もあります。

さらに地震・台風等の災害や業界の特殊事情等の要因により中期間約定通り返済できない場合も、その要因が解消すれば正常化に向かうと銀行が判断した場合は、期限の利益を喪失させずに、一時的に元金返済額を減額するとか利払いのみにするとかの返済条件緩和措置を取ることもあります。

今年のコロナ渦では、不動産賃貸業界でも、ホテル・民泊等の宿泊施設・店舗物件・外国人向けゲストハウスなどが打撃を受けています。売り上げが大幅に減ったり、宿泊単価を下げたり、家賃を減免・減額したりして、利益・キャッシュフローもダウンしている方も多いです。

ただ、コロナ渦が収まるまで耐えられれば、正常化に向かうところも多いでしょう。ですので、行政も金融機関も、新規の制度融資や既存借入の返済条件緩和で事業者を支援する傾向が強いようです。

とは言っても、倒産する会社も増えてきました。文頭に取り上げた関西の大物不動産投資家も、銀行に返済条件の緩和を求めたようです。しかし、認められなかったようです。

返済条件の緩和等で銀行の支援を受けられる方と受けられない方の違いは何でしょうか。次回は、その点についてお話しします。

プロフィール

■ 岡元公夫さん

岡元公夫さん

岡元公夫さんのブログ


亡き父と2代続けての元メガバンカー。
銀行員時代は、東証一部上場の大手不動産会社から個人の大家さんまで、融資主体に幅広く担当。
実家は祖父の代からの小規模ながらの大家さん。


■ 経歴

□2004年
実家の跡を継ぎ、東京城北エリアでマンション・アパート・戸建を取得開始。

□2008年2月
不動産賃貸業の修行の為、不動産開発・運営会社に転職し、プロパティマネジメントの責任者となる。

□2009年10月
不動産収入が年間6千万円ほどになり、デッドクロスもクリアできる目途がついたことから、サラリーマンを卒業。

□2011年
東京エステートバンク株式会社(東京房屋®)を設立。国内・台湾・中国の投資家・会社経営者の方にコンサルティングを行っている。


■ 所有物件

□築44年RCマンション
 1LDK×4戸、2K×8戸

□築28年RCマンション
 1R×10戸

□築21年鉄骨マンション
 2LDK×6戸、2DK×6戸

□築14年木造アパート
 1R×5戸、2DK×2戸

□登記上築60年 木造戸建(実態は新築同様)
 2LDK×1戸

□木造戸建てリノベシェアハウス
 2棟×10室

□区分所有マンション
 2LDK×1戸

□駐車場12台
 バイクガレージ26台

□再開発予定木造戸建
 3棟


■ 保有資格

  • 宅地建物取引主任者
  • ファイナンシャルプランナー
  • その他生損保等金融関連諸々
  • 税理士試験科目合格
    (簿・財・相・固)

■ 著書

岡元公夫さん:著書-1
元手100万円から! 気軽で手ごろなマンション投資で年800万円稼ぐ方法(明日香出版社)

岡元公夫さん:著書-2
はじめての不動産投資1年生 儲かるしくみと損する理由(わけ)がわかる本 (明日香出版社)

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