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八王子アパート階段崩落事故等にみる大家の責任。損害賠償は当然、場合によっては刑事罰も。

岡元公夫さん_画像 岡元公夫さん 第129話

2021/5/8 掲載

先月、東京八王子でアパートの外階段が崩落して、入居者の方が巻き込まれて、お亡くなりになられました。謹んでお悔やみ申し上げます。

今回の八王子の事件は、築8年と新築住宅における瑕疵担保期間10年を義務化した品確法( 住宅品質確保促進法 )の期間内です。

それ以上に、設計段階では鉄の部材を使うはずだった階段の踊り場に、施工会社が防腐処理していない木材を使用して、そこが腐食したのが原因で崩落したらしいので、責任は大家でなく、一義的には施工会社にあるのでしょう。

■ 事故を起こしたのは大家さん業界では有名な施工会社だった

この施工会社は、建築費が安いので大家さん業界では、以前から有名でした。私の大家の知人でも、ここで建築してもらった方々がいます。この施工会社が建てたアパートは、報道によると120棟以上あるらしいですが、他の物件で同様の施工がされていないことを祈るばかりです。

本件の施工会社以外でも手抜き工事や欠陥住宅の事例は、全国で散見されます。時々、テレビの特番とかでもディスクローズされてますね。

また、建物はきちんと施工されていても、適切な修繕・メンテナンスが適宜施されていなければ、経年劣化して不具合が生じるものです。死亡事故になっていないので大きくは取り上げられていませんが、階段やベランダが崩落したり、崩落しかけているケースは、散見されます。

最近は築古物件がトレンドなのか、メディアでもよく取り上げられています。ただ、事故があっても被害に遭われた方がいなかったり、軽傷で済んだので、ニュースにならないケースもあります。

崩落で特に多いのが木造建物のベランダです。経年劣化による床の防水切れや壁面のヒビ割れから雨水が漏水し、躯体の木部が腐食すると、崩落につながります。屋根と違って雨漏りしていても室内に漏水することが少なく、発見が遅れやすいこともあります。

では、鉄筋コンクリート造なら大丈夫かというと、それも違います。2009年には沖縄県浦添市の当時築35年のマンションで廊下が15mにわたって崩落する事故が起きています。

人に被害はありませんでしたが、下敷きになった車は潰れました。浦添市が公表した調査報告書では、施工不良や経年劣化が原因と推測されています。適切な修繕・メンテナンスをしていれば、防げたかもしれない事例です。

上記のような事例が起きた場合、大家は経済的にも、場合によっては刑事上も責任を負います。

■ 民事責任

大家の過失、例えば築古アパートの鉄製外階段が、再塗装をせずに見た目にもサビていて、一部にはガタがきているのに放置して崩落した場合は、大家の過失による為、大家に被害者に対する損害賠償義務が生じます。( 民法第415条や民法第709条による )

しかし、今回の八王子の事件のように、原因が施工会社にあり、通常の管理の中でも予見できなかった場合は、大家に過失はなかったとも言えます。

では、大家に過失がなければ、被害者に損害賠償しなくてよいかというと、そんなことはありません。

民法第717条1項に、「 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない 」と、あります。

上記から、テナント等の占有者は無過失を立証できれば免責されますが、建物の所有者である大家は過失がなかったとしても、損害賠償義務を負います。これを無過失責任といいます。建物所有者である大家の責任は重いのです。

八王子の事件では、所有者の大家が被害者に損害賠償した場合、大家は、本源的な責任のある施工会社に損害賠償請求できるでしょう。

ただ、施工会社に資力がない場合、建物の補修は、引き渡し後10年以内なので品確法や住宅瑕疵担保履行法に基づく制度でカバーできるかもしれませんが、被害者への損害賠償分の回収は難しいかもしれません。

リスクを避けるためにも、火災保険、特に「 賃貸建物所有者賠償責任補償特約 」等の付保は必須ですね。

■ 刑事責任

八王子の事件では、施工会社の施工時の責任者に業務上過失致死傷罪による刑事責任が生じる可能性が大です。

しかし、もし仮に、新築時の施工が適正だったのに経年劣化による不具合が生じ、大家が業務上必要な注意・修繕を怠ったケースや、リノベ時に構造上必要な柱や壁を大家の判断で省いたりしたケース等で事故が起きた場合、大家が刑事責任を追及されることもあります。

また、火災が発生して被害者が出た場合、消防用設備の不備等を見過ごしていたら、大家が有罪判決を受けることがあります。

大家は、住まいという人々の生活に欠かせないインフラを提供する立場です。利益を追求するのは民間の経営者ですから当然のことですが、常に遵法性を保ち、入居者さんに安心安全な生活環境を提供しなければならないことを心掛けねばなりませんね。

プロフィール

■ 岡元公夫さん

岡元公夫さん

岡元公夫さんのブログ


亡き父と2代続けての元メガバンカー。
銀行員時代は、東証一部上場の大手不動産会社から個人の大家さんまで、融資主体に幅広く担当。
実家は祖父の代からの小規模ながらの大家さん。


■ 経歴

□2004年
実家の跡を継ぎ、東京城北エリアでマンション・アパート・戸建を取得開始。

□2008年2月
不動産賃貸業の修行の為、不動産開発・運営会社に転職し、プロパティマネジメントの責任者となる。

□2009年10月
不動産収入が年間6千万円ほどになり、デッドクロスもクリアできる目途がついたことから、サラリーマンを卒業。

□2011年
東京エステートバンク株式会社(東京房屋®)を設立。国内・台湾・中国の投資家・会社経営者の方にコンサルティングを行っている。


■ 所有物件

□築44年RCマンション
 1LDK×4戸、2K×8戸

□築28年RCマンション
 1R×10戸

□築21年鉄骨マンション
 2LDK×6戸、2DK×6戸

□築14年木造アパート
 1R×5戸、2DK×2戸

□登記上築60年 木造戸建(実態は新築同様)
 2LDK×1戸

□木造戸建てリノベシェアハウス
 2棟×10室

□区分所有マンション
 2LDK×1戸

□駐車場12台
 バイクガレージ26台

□再開発予定木造戸建
 3棟


■ 保有資格

  • 宅地建物取引主任者
  • ファイナンシャルプランナー
  • その他生損保等金融関連諸々
  • 税理士試験科目合格
    (簿・財・相・固)

■ 著書

岡元公夫さん:著書-1
元手100万円から! 気軽で手ごろなマンション投資で年800万円稼ぐ方法(明日香出版社)

岡元公夫さん:著書-2
はじめての不動産投資1年生 儲かるしくみと損する理由(わけ)がわかる本 (明日香出版社)

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