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2021年度の不動産融資動向-スルガ銀行と不動産投資家との争いの影響は?-

岡元公夫さん_画像 岡元公夫さん 第132話 著者のプロフィールを見る

2021/8/10 掲載

今年も既に7カ月が過ぎました。ほとんどの銀行は3月末決算です。では4月初めから新年度の融資方針が決まっているかといえば、そうではありません。株主総会とその後の取締役会で、その年度の経営方針が本決まりになることが多いです。

7月ぐらいになると、各支店にノルマが通達され、本格的に営業し始めます。2021年度は、どのような不動産投資向け融資方針になるでしょうか。今回は、今現在の状況とコロナ禍に影響されている融資動向を俯瞰してみたいと思います。

銀行

■ スルガ銀行と不動産投資家との争いの影響

ここ数年、不動産融資過熱に対する監督官庁による引き締めがありました。また「 かぼちゃの馬車 」等のサブリースシェアハウスの破綻、エビデンス改ざんや二重売買契約等による不正融資など、不動産融資を取り巻く金融環境は荒れに荒れ、大家向け新規の融資が厳しくなりました。

ついには、今年3月にシェアハウスオーナーから委任を受けた被害弁護団が、シェアハウスを代物弁済し、借入債務を解消するという前代未聞の合意をスルガ銀行から勝ち取りました。

スルガ銀行の第三者委員会がエビデンス改ざんや偽造に多くの幹部を含む行員が関与していた事実を公表していて、銀行の責任が免れられないという点はありましたが…。そして現在、新たに一棟物収益物件オーナーの被害者団体が結成され、シェアハウスのように代物弁済相当の対応をスルガ銀行に求めています。

スルガ銀行の行員が、どのように関与しているかによって、結果は変わるでしょう。重要なのは、ことはスルガ一行にとどまらず、この件により、全国の銀行に「 サラリーマン大家・素人大家に融資するのはリスクがある 」と認識させたことです。

私は、シェアハウスにせよ、一棟物にせよ、大家は不動産賃貸業者であり、プロの経営者であるべきだと思います。

ここ十数年、個人向け収益物件取得融資は、専業・大口向けのプロパー融資に加え、元々資産家の相続向けであったアパートローンを純資産のまだ少ないサラリーマンにも門戸を開くことにより拡大してきました。

ほとんどの銀行は、収益不動産取得資金を貸す時に「 事業者宛 」と考えていましたが、今回のスルガ銀行による代物弁済は、事業者でなく「 消費者的発想 」が通った前例となりました。

スルガショック以降、「 専業大家には融資するが、サラリーマン大家への融資は原則しない 」という銀行が増えました。アパートローンを廃止し、プロパー融資に一本化した銀行もあります。

現在進行形で続いているスルガ銀行と不動産投資家との争いは、これからも全国の金融機関のサラリーマン大家への融資姿勢に影を落とすでしょう。

■ 今年度は個人大家向けの融資の門戸は広がっていく

では、銀行が個人大家向けの融資にずっと後ろ向きかというとそうでもありません。日銀の調査によると、銀行による個人の大家業向け新規融資額は昨年の10〜12月期に約4年ぶりに前年同期比プラスに転じました。昨年は、コロナ禍対策融資対応で銀行の融資部門は多忙でしたが、徐々に落ち着いてきています。

多法人スキーム、エビデンス改ざん、レントロール偽装、二重売買契約などへの対応策も銀行内部で整備され、新規の融資を出しやすい環境も整いつつあります。今年度は、個人大家向け不動産融資への門戸は広がっていくと予想します。

ただし、融資条件は厳しいままでしょう。まずは借入返済期間ですが、残存耐用年数が引き続き基本となると予想されます。中には耐用年数超えの融資をしてくれる金融機関もありますが、以前のように耐用年数を過ぎても何十年と見てくれるところは稀で、多少伸ばしてくれる程度となるでしょう。

借入期間が伸びなければ、家賃収入に対する返済比率が高まります。銀行は、以前にも増してストレステスト( 金利が上昇・家賃が下落しても返済可能か )をかけて、借入期間内にきちんと返済してもらえるかをチェックするはずです。

以前フルローンを出せていたのは、借入期間を長くして、毎年の借入返済を少なくできたことも理由の一つでした。伸びない借入返済期間の中で、きちんと返済できるシミュレーションをすると、どうしても自己資金投入額が多くなってしまいます。

今、融資を申し込むと、自己資金を1〜3割求められるのは、無理難題を突き付けているのではなく、それぐらい自己資金を投入しないと資金繰りが回りませんよという銀行からの教育的指導という側面もあります。

一般事業会社、特に地方の会社は総じて銀行から借り入れをしてまでの新規投資に慎重で、銀行は貸出先がなくて困っています。一般事業会社に比べ、長期的に安定した業績が見込め、それなりに担保も保全できる不動産賃貸業は、銀行にとって魅力的な融資先です。

スルガショック以降、サラリーマン投資家から融資の申し込みが殺到し、お腹一杯状態だった一部の金融機関の中にも、最近になって以前のように積極的に融資するようになったところもあります。

消費者・不動産投資家・副業的な感覚を捨て、今はサラリーマン大家でも、これから専業大家を目指すという気概をみせ、事業計画に落とし込めば、銀行もそれに応えてくれるでしょう。

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プロフィール

■ 岡元公夫さん

岡元公夫さん

岡元公夫さんのブログ


亡き父と2代続けての元メガバンカー。
銀行員時代は、東証一部上場の大手不動産会社から個人の大家さんまで、融資主体に幅広く担当。
実家は祖父の代からの小規模ながらの大家さん。


■ 経歴

□2004年
実家の跡を継ぎ、東京城北エリアでマンション・アパート・戸建を取得開始。

□2008年2月
不動産賃貸業の修行の為、不動産開発・運営会社に転職し、プロパティマネジメントの責任者となる。

□2009年10月
不動産収入が年間6千万円ほどになり、デッドクロスもクリアできる目途がついたことから、サラリーマンを卒業。

□2011年
東京エステートバンク株式会社(東京房屋®)を設立。国内・台湾・中国の投資家・会社経営者の方にコンサルティングを行っている。


■ 所有物件

□築44年RCマンション
 1LDK×4戸、2K×8戸

□築28年RCマンション
 1R×10戸

□築21年鉄骨マンション
 2LDK×6戸、2DK×6戸

□築14年木造アパート
 1R×5戸、2DK×2戸

□登記上築60年 木造戸建(実態は新築同様)
 2LDK×1戸

□木造戸建てリノベシェアハウス
 2棟×10室

□区分所有マンション
 2LDK×1戸

□駐車場12台
 バイクガレージ26台

□再開発予定木造戸建
 3棟


■ 保有資格

  • 宅地建物取引主任者
  • ファイナンシャルプランナー
  • その他生損保等金融関連諸々
  • 税理士試験科目合格
    (簿・財・相・固)

■ 著書

岡元公夫さん:著書-1
元手100万円から! 気軽で手ごろなマンション投資で年800万円稼ぐ方法(明日香出版社)

岡元公夫さん:著書-2
はじめての不動産投資1年生 儲かるしくみと損する理由(わけ)がわかる本 (明日香出版社)

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