■「防犯三種の神器」の誤解
昨日の前編に続き、防犯対策をテーマにお届けします。
多くの人が信頼している「オートロック」「防犯カメラ」「ディンプルキー」。しかし、犯罪者の視点から見ると、これらには致命的な問題があります。
1)実は、オートロックは泥棒の標的になる設備である
留置場で泥棒に質問したことがあります。
泥棒「ありますよ。何回も」私「そんな時はどうするのかい?」
泥棒「笑顔であいさつしたら、相手も笑顔であいさつしてくれますよ」
<オートロックの問題点>
・一度建物内に侵入してしまえば、住民以外の第三者に仕事を邪魔される心配が低い
・住民も「オートロック内にいる人は住民か、その知人」と思い込む
・「オートロック」があるから、玄関の防犯強化を考えない
2)防犯カメラを怖がらないという現実
実際に犯行のあった共同住宅に呼ばれると、犯人がエントランスや裏口から侵入する様子が克明に記録されている場合が多いのです。
「防犯カメラ作動中」のシールと共に、明らかにカメラが設置されているのが分かるはずなのに、犯人は何もなかったかのごとく行動しています。
数年前に多発した、某国の窃盗団の場合、ヒットエンドランで母国に帰るので、顔が特定されてもさほど問題にしていないのです。
3)優秀すぎる鍵が生んだ皮肉な結果
日本の鍵メーカーの技術は優秀で、いろんな手口を調べて、その対策をすぐに取っていきます。
その結果、犯罪統計を見ると、玄関からの侵入手口のほとんどが、バール破壊やサムターン回しなど、そもそも鍵穴を狙っていない手口であることがわかります。
つまり、日本の鍵は優秀で、泥棒としたら「そこに挑戦したくない」からなのです。
■本当に効果的な防犯対策
1)空き巣は「空振りが多い職業」
一般的な泥棒は、実は空振りが多いのです。侵入したけれど盗るものがなにもなかった、ということが多いのです。
つまり、ローリターンの仕事なのです。ローリターンには、ローリスクしか背負えません。
ということは、ちょっとした対策を的確に行うことで、泥棒被害の確率を大幅に減らすことができるといえます。
2)防犯対策は「安全度比較競争」
空き巣は空振りが多い仕事である以上、少しでも侵入しにくいところは避け、簡単なところを狙う心理があります。
つまりは、周辺物件との安全度比較競争なのです。
隣よりも安全度が高ければこっちには来ない、ということになります。あくまでも相対評価でいいわけです。それだけで相当な効果があることを知ってください。
3)各部屋を守ることが最重要
共有部分で守ろうと思えば、人的警備導入は多額で採算が合わず、防犯機器だけでいくとしても、外構をつくったり、窓に鉄格子をつけたりするような、がんじがらめのお城のような物件にするわけにもいきません。
つまり、各部屋を守ること!それが最も適しています。
泥棒の行動・手口を考えると、侵入口は扉のある所と、ガラス窓に限られますから、まずそこの対策が必要になります。
■実践的防犯対策
1)玄関対策はワンドア・ツーロックが基本
警察が何十年前から言っている「ワンドアツーロック」にしてください。同じタイプの機器をつけても、一つの手口を2回行うだけになりますから、違うタイプの機器による「ツーロック」にした方がいいでしょう。
例えば、シリンダー錠とデジタルキーといった方式です。
2)デジタルキーの隠れたメリット
デジタルキーは防犯性能を高めるだけではありません。
大家さんや管理会社の利便性が格段に高まります。
具体的には、「暗証番号設定」だけで済むので、鍵の業者間の受け渡しが不要になります。
内見のときに、仲介会社から「鍵を貸してください」と言われて、そのやりとりがたいへんだったりしますよね。時には紛失されたり。そんなときは、「その部屋は暗証番号◯◯◯◯で開きますので、それで内見してください」と言えばオシマイです。
さらに、入居者がいったん便利な「鍵を持たなくていい生活」をすると、他に引っ越そうと考えても、また鍵を使う生活はレベルが落ちた感じがして、結局退去しないという効果も期待できます。

デジタルキー
3)窓対策は防犯フィルムがベストチョイス
窓の防犯対策では、総合的に言うと「防犯フィルム」がイチオシです。
<防犯フィルムのメリット>
- 防犯ガラスより低コストでの導入が可能
- ガラスの内側(室内側)に貼り付けるので、地震などのガラス飛散防止効果も期待できる
- 紫外線をカットするので、UV対策された部屋になって、床や畳が日焼けしにくくなる
- 一般的な集合住宅であれば、防犯フィルムの強度で泗棒に充分対抗できる

実際の現場「ガラス割りされた窓」

防犯フィルムを張ったガラスはヒビが入るだけで侵入を防止
明日の後編では、マンションの特有のリスクと防犯対策等について紹介します。









