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借金をしても相続税は1円も下がらない!

渡邊浩滋さん_画像 第19話

1.「 相続税対策によるアパート建築で空室率増加 」でBSテレビに出演

不動産調査会社「 タス 」によると、平成28年3月の新築賃貸アパートの空室率は東京23区で30%を超え、神奈川県では35.54%、千葉県では34.12%になったそうです。

このことは9月30日の日経新聞の朝刊にも取り上げられるほどで、社会問題に発展しそうです。この要因は、平成27年に相続税が増税になったことを受けて、アパート建設が急速に増えたことによる影響とされています。

その点について、私のところにも取材がありまして、先日9月7日BSジャパンの番組「 日経プラス10 」に出演させて頂きました。そこで、アパート建築で相続税が下がる仕組み、なぜアパート経営で失敗するのかをお話しさせて頂きました。

2.相続税と借金についての誤解

相続税が増税になるからと、後先考えずにアパート経営を始めてしまい、「 建てなきゃよかった 」と後悔している方が増えています。

アパート建築をして失敗する例として、サブリースの家賃保証が当初の想定よりも下げられて、借入金の返済ができなくなるということがあります。

今回、テレビや新聞で取り沙汰されたのは、サブリースの家賃保証が下がる可能性があり、それを知らなかったことでトラブルに発展した事例です。サブリースについては最近は各地で警鐘が鳴らされています。

私はもう一つ、アパート経営が失敗する要因として、「 借金を多くする方が良い 」という誤解があると感じています。相続対策というと「 借金をしなきゃいけない 」という固定概念を持っている方が非常に多いからです。

しかし、実際には「 借金しても相続税は1円も下がりません 」

不動産投資をされている方でさえ、そのことを誤解している人がいることに驚きます。

具体例で考えてみます。もともと3億円の土地を持っていた人が、2億円の借金をした場合の相続税評価はどうなるでしょうか?

3億円( 土地 )−2億円( 借金 )=1億円

と考える方がいますが、これは間違いです。正しい計算は次のようになります。

3億円( 土地 )+2億円( 借金で受け取った現金 )−2億円( 借金 )=3億円

つまり、借金をする前と財産額は変わらないのです。


借金をすると、借金分の現金が増えるためです。では、なぜ借金をすると相続税が下がるという誤解がちまたにはびこっているのでしょうか?

それは、「 賃貸物件を建築すると相続税が下がる 」ということと、ごっちゃになっているからだと思います。確かに、賃貸物件を建築すると以下のような理由から、相続税は下がります。

◯家屋を賃貸にした場合の家屋の評価額の比較(固定資産税評価額が建築費の70%の場合)


家屋を賃貸した場合、その敷地である土地の評価も下がります。

◯家屋を賃貸にした場合の土地の評価額の比較(借地権割合70%の場合)


上記の例で、2億円で借り入れた現金をアパートの建築費用に充てた場合の相続税評価を計算してみましょう。
※借地権割合70%、建物の固定資産税評価額を時価の60%と仮定

2億3,700万円( 貸家建付地 )+8,400万円( 貸家 )−2億円=1億2,100万

3億円の土地の評価が、2億3,700万円に減額され、2億円の建築資金が、8,400万円の評価に減額されたのです。



この減額分が相続税が、下がる要因なのです。これは、借入金をしてなくても、手元の現金を使ってアパートの建築費用に充てても同じ結果になります。

借金をしたから相続税が安くなるわけではありません。借金をしたのは、手元に現金がないから。つまり、「 借金をするのは、現金を調達する手段であり、相続税を安くするための手段ではない 」のです。

3.相続税の節税分より借金の利息の方が多いという矛盾

借金をして、現金よりも相続税評価が低いアパートに変えたことで、相続税が下がったということです。

問題はここにあります。相続税評価額だけが下がれば問題ないのですが、実際の価値まで下がることです。どういうことかというと、借り入れた現金よりも、アパートの価値( 得られる収益など )が低いということです。

例えば、借り入れをすることで、利息の負担が増えます。2億円を30年間、利息2%の元利均等返済で借りたときの金利総額は、約6,613万円になります。将来的に多額の大規模修繕費用もかかります。

これらの負担を上乗せしてまでやる意味があるのか( 借入金+利息+大規模修繕費用 < アパートの価値? )、慎重な判断が必要です。

ちなみに、上記の例では、アパート建築する前の相続税(相続人が子ども2名の場合、小規模宅地の減額は考慮していません。)が6,920万円で、アパート建築後の相続税が1,180万円です。

節税額は、「 6,920万円−1,180万円=5,740万円 」です。

5,740万円の節税をするために、約6,613万円の利息を払うことになるのです。借り入れしても、それ以上の価値のあるアパート建築なのか、冷静に判断しましょう。

最後に。出演させて頂いたBSジャパンから写真立てとお手紙を頂きました。事務所に飾っています!



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健美家不動産投資コラム

プロフィール

■ 渡邊浩滋(わたなべこうじ)さん

渡辺税理士

税理士・司法書士・大家
渡邊浩滋総合事務所代表

サイト「大家さんの知恵袋」

■ 経歴

大学在学中に司法書士試験に合格

大学卒業後総合商社に入社。法務部にて契約管理、担保管理、債権回収などを担当

商社を退職後、税理士試験に合格
その頃、実家のアパート経営(5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚。 経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出する

資産税専門の税理士法人に勤務した後、2011年12月、独立開業

税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動し、税理士・司法書士のワンストップサービスを提供している

2011年、「行動する大家さんの会」を設立

2013年、「一般社団法人 大家さんの道しるべ」代表理事就任

資格専門学校の講師、賃貸住宅フェアでの講演、セミナー講師等、幅広い分野で活躍中

2017年からは日本全国の大家さんを救うべく、フランチャイズ展開を開始。
同じ志を持つ税理士を求めている。

■ 主な著書


大家さん税理士による 大家さんのための節税の教科書(ぱる出版)


大家さんのための超簡単!青色申告(クリエイティブ ワークステーション)


「税理士」不要時代(経営者新書)


税理士大家さん流 キャッシュが激増する無敵の経営 (ぱる出版)

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