各銀行には懇意な取引先が加入する集まり「法人会」が存在する。銀行が主催し、定期的に総会やセミナーなどを行う団体である。
取引が深まってくるとこの法人会に勧誘されることがあるが、この勧誘に対して不動産投資家はどのように対応するべきだろうか。その是非と活用法について解説していきたい。
1.法人会とは、その銀行を主要取引行とする経営者の集まり
多くの銀行に用意されている法人会では、定期総会、著名人を招いてのセミナー、ゴルフコンペなどが開催されている。基本的に参加者はその銀行とメインやサブメインの取引をしている法人であり、その地域の有力な経営者が集う団体でもある。
また、基本的に会費が掛かり、イベントに参加しなくても年会費が徴収される事がある。そこまで高い会費であることは少ないが、参加する予定が全くなければ、余計な支出と感じる人も少なくないだろう。
しかし、各銀行は法人会の会員を増やし、懇意にする取引先を増やそうとするため、取引が進んできた法人に関しては会員の勧誘を行う事がある。
2.法人会の活用方法
法人会には入るべきだろうか。
その結論は人によって異なるだろうが、
「その銀行と取引を厚くし、おかわり融資をもらう」
「地場の情報・人脈を集め、経営に活用する」
という目的があるのであれば、加入しておくことをお勧めする。
なぜなら、法人会に入ることにより以下のメリットを享受できるからである。
①定性評価アップ
法人会に加入すると、その銀行での心象が高まる。特に支店長や役員・理事長クラスの人が多くいる法人会の会場では、少しでも名前を憶えてもらうことにより、多少なりとも審査へ良い影響が与えられるからである。
当然、審査結果をひっくり返すほどの効果はないが、銀行の役員席にとっても全く知らない経営者よりも、顔を知っている経営者の方が、安心感を持つであろう。
理論的ではないかもしれないが、銀行の審査判断に多少なりとも援護射撃ができるのであれば、会費は払っても良いと考えることもできるだろう。
②地場の経営者と知り合える
法人会のもう一つの目的は、地場の経営者と顔見知りになり、情報交換を行ったり、場合によっては不動産の情報を得たりすることである。
これは名簿に加入するだけでは意味がないが、実際にイベントに参加し、交流を重ねることにより、大きな収穫を得ることもある。
エリアが同じであるがゆえに、ローカルな情報が飛び交っていることが多く、大家業と言えど無視できない情報を得る事も出来るのである。
運が良ければ、大きな商業施設や工場移転の情報や、不動産についての情報を得ることができるかもしれない。
3.ドミナント戦略においては加入のメリットが多い
結論として、地場銀行での反復取引を狙い、エリアに特化した経営を行う場合、法人会は多かれ少なかれメリットをもたらす集まりだと言える。
比較的参加者は高齢化しており、友達を作るという空気ではないことの方が多いが、長くそのエリアで経営をしている先輩方の話を聞くことで、自身の経営に何かのヒントをもたらすかもしれない。
また銀行によっては若手特化の法人会なども設置していることもあるため、そのあたりから飛び込んでみても面白いかもしれない。
4.まとめ
銀行からの勧誘項目の一つ、法人会の加入。
会費や時間を取られる事があるため、好き嫌いが分かれる分野ではあるが
「銀行との反復取引」
「地場情報の取得」
を良しとする投資家は、参加してみるのもいいかもしれない。
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執筆:
(はんざわおおや)