急ピッチで再開発が進む福岡市
鉄道網にも大きな変化が起きている!
九州の玄関口として知られる、福岡県福岡市。都心の博多駅には在来線だけではなく新幹線が乗り入れ、同駅から都市型空港の福岡空港までは地下鉄で約6分。市内にはバス網も張り巡らされていて、移動に不便することはない。

そんな同市では、さらなる利便性の向上を目指し、鉄道網の再整備も進められている。そのひとつが天神南駅から博多駅を結ぶ地下鉄・七隈線の延伸工事で、これにより天神での乗り換えなく博多駅までアクセスできるようになる。市西南部から博多駅までの移動は最大14分短縮し、都心部内での移動も楽になり、交通渋滞や地下鉄空港線の混雑緩和が期待されている。2023年3月に開通する予定で、それに伴い「櫛田神社前駅」も開業するという。
一方、西鉄(西日本鉄道)の天神大牟田線では、周辺の重体や事故、地域の分断を解消するため、2010年度から博多区内南八幡町~西春町間の約1.86㎞の高架化工事を進めていて、今年8月には高架線に切り替える予定だ。これにより、周辺7か所の踏切が撤去される。また、同工事に並行して福岡県が進めている、春日原駅(福岡県春日原市)~下大利駅(福岡県大野城市)間の約3.3㎞も高架化される。

これに伴い、雑餉隈(ざっしょのくま)駅~春日原駅の間に新設されるのが「雑餉隈新駅(仮称)」だ。昨年12月には新駅名称の募集が行われ、西鉄や福岡市、地元代表などによる選考会を経て最終的に西鉄が決め、今年夏ころに発表されるという。

出所:福岡市ホームページ
新駅の場所は、雑餉隈駅から南東に約600mで、JR南福岡駅からだと約700mの距離。既存の雑餉隈駅とは別に設置され、同駅の改札は天神寄りに数十メートル移動する。なぜ、これだけ近い距離に新駅を設置するかというと、雑餉隈駅には駅前広場がなく、路線バスが乗り入れていないことが関係する。近隣住民がバスを利用する際はJR南福岡駅まで行く必要があり、不便を感じる人は少なくない。新駅には駅前広場を整備し、路線バスを乗り入れることで利便性を高めるのが狙いだろう。
また、雑餉隈自体は福岡市博多区南部と、同市に隣接する大野城市西部にまたがる地域を指し、福岡市のベッドタウンとして人気が高いエリアだ。それを裏付けるように、大野城市の人口は緩やかに増加していて、2021年には10万人を突破している。新駅を設置するとともに路線バスも拡充することで、さらなる人口増加が期待できる。不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」の「住まいインデックス」によると、同市の標準的な賃貸マンションの賃料は直近3年間で4.51%上昇していて、需要は確実に高まっている。今回の交通インフラの整備が、さらに人気を押し上げるかもしれない。
福岡市内では「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」の2大プロジェクトが進行中で、前者では福岡ビルと天神コアを地上19階・地下4階の1棟ビルに建て替える「福ビル街区建替プロジェクト」や旧大名小学校跡地に「ザ・リッツカールトン」を含む複合高層ビルを建設する「旧大名小学校跡地活用事業」など、後者でも福岡東総合庁舎の建て替えやJR博多シティの拡張、西日本シティ銀行本店の建て替えといった、複数の再開発が行われているところ。まちの中心部が生まれ変わろうとしている。

出所:福岡市ホームページ
新たな施設が増えると雇用は拡大し、エリアに集まる人は増えていく。周辺地域に対する波及効果も大きく、鉄道の沿線にもさまざまな影響を与え、今回の新駅の誕生も決して無関係ではない。福岡市の発展は、ますます勢いづいていくだろう。
健美家編集部(協力:
(おしょうだにしげはる))