
ビル解体工事の発注者は
不動産事業に注力する「Osaka Metro」

南海電鉄「難波」駅の北西にあるイチエイ総合ビルの解体工事が、2021年7月より着工されている。一見すると何の変哲もないビル解体工事のように見えるが、発注者は「大阪市高速電気軌道株式会社」。つまり、「Osaka Metro」ということになる。
Osaka Metroは民営化された2017年以降、鉄道事業に偏重した構造からの脱却を目指し、非鉄道事業として都市開発・不動産事業に注力している。
最近で言えば、2021年1月には天神橋筋六丁目にOsaka Metro初の商業テナントビルをオープンさせ、2021年12月には関東不動産開発とのタッグで上本町のタワーマンションを着工させるなど、自社沿線を中心に非鉄道事業を積極的に推し進めている。
なにわ筋線の開業に、南海「新難波」駅の新設。
10年後に大きく繁栄しそうなエリア


もう一つ興味深いのが、イチエイ総合ビルの立地だ。場所は、南海「難波」駅前のスクランブル交差点「難波西口」の北西に位置。すなわち、2031年に開業予定のなにわ筋線に合わせて新設される南海「新難波」駅の南側に隣接することになる。
そこに、Osaka Metroが先行投資した形と言える。このエリアは、2031年の開業が予定される南海「新難波」駅の建設とともに、周辺の区画整理などを進めていくことも想定される。
大阪・梅田の再開発ラッシュが続く“キタ”とは対照的に、コロナ禍の影響で地価が下降線をたどる“ミナミ”だが、この一帯は将来的にキタと並ぶだけの特大のポテンシャルを秘めている。
解体後の使い道は未定ながら
期待される「Osaka Metro」の再開発
イチエイ総合ビルの解体工事は、2022年7月までに完了予定。解体後の用途は今のところ未定だが、近年のOsaka Metroは着実に実績を積み上げているだけに、このエリアにどのような新しい風を吹き込んでいくのだろうか。
また、今後はどのエリアに不動産事業を展開し、どのような再開発を仕掛けていくのだろうか。いずれにしても、Osaka Metroの非鉄道事業から目が離せない。
健美家編集部